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黄昏にて  作者: にわせたか
第1章 再出発の町
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25 オタリア(7)

駆けつけたフラムにすぐさま飛び乗るとシュウはオタリアの集団と距離を取った。


フラムはオタリアの集団に常に意識を向けており、シュウからの手綱から伝ってくる意識にすぐさま対応できるかのように神経を集中させている。


シュウは今までの戦闘の疲労と乗馬での揺れで胃の中の物が飛び出しそうなのを抑え、フラムの首に手紙が括り付けてあるのに気が付いた。


オタリアに注意を払いながら手紙を開けると、それは北壁警備隊ゴーリキ隊長からのものであった。


『シュウよ。簡潔に説明をする。オタリアを一網打尽にする作戦じゃ。

北壁の東2番の壁門を開けておく。そこまでの経路については人の避難はこちらで済ませておく。建物のことなんて気にするな。あとはもう分かるだろう?フラムとおまえさんならできると信じている。』


手紙の内容はこれまで警備隊で手伝いをしていたシュウが理解するには十分の説明であった。


・・・・・・隊長、了解。


 手紙には続きがあった。


 『フラムに装備を持たせている。やつらの意識を向けるのに使えると思って持たせている。』


 後方を振り返るとフラムのお尻に弓と矢が据え付けてあるのに気が付いた。

 ウェインが扱う長弓ではなく、小型の弓だった。


 確かに、遠距離からオタリアの意識をシュウに向けさせるにはそれはうってつけの武器だった。


 シュウは手に持っている天津風を消失させると、弓を手に持った。


弓に視線を落としシュウは少し項垂れる。


隊長。大事なことを忘れてるよ


俺、弓の扱い、どへたくそなんですよ


 シュウは取り合えず弓を構え、オタリアの先頭集団に狙いを定める。

幸い、フラムに乗ってしばらく立っていたため、意識も呼吸も大分戻っていた。


矢を発射する。しかし、発射されたへろへろな矢があたらぬ方向に飛んでいき、虚空を掠めた。宙を空しく切った矢は地面に刺さり、オタリアの集団に空しくも踏み倒された。




 ・・・よし!これはダメだ


 にっこりと、シュウは諦めたような表情でガッツポーズを取り、改めて、暴走するオタリア達を誘導しながらフラムを走らせた。


手紙は邪魔になりそうだったので捨てた。手紙には最後にこう書かれていた。


『最後に、無事終わったら、また説教じゃ。』


◇  ◇  ◇


長時間、シュウとオタリアの集団ともみ合っていた為、全てのオタリアが既になにもしなくてもシュウに意識が集中していた。特別な何かがない限り、しばらくは意識がシュウ以外にはいかないだろう。ゴーリキ隊長からの弓は結局、全く意味をなさなかった。


必ず噛み殺してやるといわんばかりの殺気をひしひしと感じながら、シュウはフラムと北壁に向かっていった。


恐ろしいことに、フラムとオタリアの距離が開くと、オタリア達は絶対に逃さまいと今以上のスピードを上げて追いかけていった。


シュウはなるべく建物がないルートを選んでいるつもりだが、それでも約50匹の巨躯の集団を引き付けている。建物の被害は免れなかった。


オタリア達は進行方向にある周囲の建物などお構いなしに、それが目に入らないかのように突進していく。また、それを物ともせずに追いかけてくる。


浜辺から北壁までは主に漁港、またそれに関する建物が多く建っていた。


今日せっかく獲った魚を一時的に保管する倉庫だったり、漁師達が大事に扱っていた道具類倉庫、市場や渚停の一部等、日常的に通っていた石畳み補装された道路、道路に置かれた色々なもの、せっかくみんなで作り上げていたものがめちゃくちゃに踏みつぶされていく。

オタリア達が通った跡は、それまでの風景がどうなっていたかわからないほど、原形を留めていなかった。



こいつら・・・・!!


シュウは歯を食いしばりながら、どうしようもない感覚に苛まれるまま進むしかなかった。


 浜辺から北壁まで約30km、そこまでの経路は他の街並みと比べると悲惨な変貌を遂げた。


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