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黄昏にて  作者: にわせたか
第1章 再出発の町
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12 レナトスの町(6)

 4人が半時ほど歩いたあと、道が石畳の舗装に代わってきていった。

 ここがレナトスの中心部であり町で一番栄えている場所である。

 人通りも多くなり、街頭には様々な出店が立ち並んでいる。

 賑やかな町中、人込みをかいくぐりながら4人は歩いて行った。


 4人が目指す学校もここからすぐの所にある。

 途中、大きな広場があり、一際大きい、白レンガ作りの建物が目に入る。レナトスの町で1,2を争う大きなこの建物の上階には広場を一望できる展望場もあり、青々とした空とそれに漂う雲に溶け込むようなこの白い建物はレナトスの政が行われる町議館である。

 ここで現町長であるテオ=クラティア以下町議会が開かれており、町人の意見を反映した町議が日夜されているという。

 決まった事柄に関しては町議会以下の役員がこのレナトスの町全域に触れ回ることが多いが、町議会選挙の結果や、特に重大な決まりが決定したことがあれば、この町議館から見渡せる広場に町人を集めて公のものとすることもある。


 シュウは町議に関してやこの町議館などは興味がなかった。そうそう縁がないだろうと思いながらも通学路の途中にあるこの建物を眺めながら歩いて行った。


一方、町議館を広場越しに向かい合うように立っている建物も印象的である。

いつ作られたか分からない、はるか昔からそびえ立つ、レナトスの町を印象付ける建物である。

その建物からは不思議な音楽が流れており、周囲にもそれを聞くために立ち止まっている人もいた。


「あ、ヘリテージから音楽が流れてる。多分9時ね。急がないと授業に遅れるわ。早く行きましょ!!」


その建物は区切りがいい時間に歌や音楽が流れ、人々から《ヘリテージ》と呼ばれていた。



《ヘリテージ》


この建物はこう呼ばれる。町議館と比べても負けない、特に高さに関しては倍はあり、立方体と言ってもいい建物。


現在の人類が逆立ちしても作れない技術力の塊である。


印象的なのは人が入る事を許さないかのように、この構造物には窓も扉もなにもない事である。

更に白い町議館とは対称的な漆黒の壁面である。

艶があり、硝子の様な表面は一面黒一色であり、独特の雰囲気がある。



この立方体の建物の上部には白文字でデジタルとアナログの表記で現在の時刻が出ている。

このヘリテージは時計塔としてのレナトスの町の人々から利用されている。なにせ、今や時計作る技術もない為、いつでも正確な時刻分かるこの存在は大変重宝されていた。

隣接しているのが広場であるため集合場所としての存在でもあった。



更に上部にはデジタルの表記でおそらく、人類が歴史を数えていったと思わしき年数が表記されていた。


「14231」と。



現在、歴史学者の研究から、この「ヘリテージ」に映し出されている数字が紀年法としては文献から旧来使用されていたと言われる西暦を指し、西暦14231年とされている。


しかし、このヘリテージを今の歴史上で初めて発見された時に表記されていた数字は10028だったらしい。

そこで、このヘリテージを見つけた時、人類は新たに斜陽暦と呼ばれる紀年法を作った。とはいっても10000の位を省いたものだったらしいが。

しかしながらも、西暦10028年に取り替わり、斜陽暦28年と人類は新たに歴史に刻み、このレナトスの町を作ったとされる。

そして現在が斜陽暦4231年というわけである。


今の人類はこのレナトスの町から徐々に繁栄を広げることとなり、レナトスの町は人類が再び繁栄を取り戻す足がかりとなった為に「再出発の町」とも呼ばれるようになる。


シュウ達はこのレナトスの町から人類は再び始まったと聞かされているが、何故この町から始まったのかは教えられなかった。

周囲の大人にその質問をするとうまい具合にはぐらかされるのが常であった。


このヘリテージは大きな町には大抵あるという。・・・・・・というよりヘリテージの周囲に今の人類は町を作っていったともされる。

各町にあるヘリテージは大小様々らしいが、概ね構造としては同じらしいが確認されている中ではレナトスの町のこれが一番の大きさをほこっているらしい。




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