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aI was mixed  作者: 阿賀野基晴
第3章 1人の愛
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最終話:愛


「おい愛華!急がないと遅刻するぞ!!」


「遅刻するって…一緒に言ってる父さんも同じ状況でしょ。」


「だから急いでんだろ!!くっそ…引っ越しまでは我慢だなこりゃ。」


「おっさん、私と愛華は準備できたからもう行くな。」


「はぁ!?ちょ!おい!!」


私と紗那は家を出る。

時間もぎりぎりだから駅まではかなり急ぎ足だ。

私達の登校時間は学校に慣れると同時に少しずつ遅くなり、今はこんな感じでぎりぎりになることがままある。


「おはよう愛華、紗那!!今日の数学の課題全く分かんないからあとで見せてよ~。」


「おはよう。うん、後でね。」


「愛華!春休みのバスケの試合の助っ人!!お願いしてもいいかな??」


「うんうん。いいよ。また日程ちゃんと教えて?」


「もちろん紗那も一緒にやってくれるよね?」


「ん?いや、私は~…。」


「はいはい、紗那はバレー部が借りるからねぇ~。」


「ごめん。この前もう約束しちゃったんだ。英梨と一緒に行ってくるよ。」


私達は3学期の終わりになる頃には同学年の人にはかなり知り合いが増えていた。

もちろんみんなよくしてくれる。

相談室の方と言えば、もちろんおろそかにしているわけではない。

ほぼ毎日放課後には相談室に行っている。

相談者は来る頻度はあまり多くはないが、それでも部活中の友達が抜け出して遊びに来てくれたりと毎日楽しく過ごしている。


母と佐倉先生は先月籍を入れ、今は私の家から佐倉先生も登校しているのだ。

近いうちに学校の近くに引っ越すことが決まっており、紗那も親がいない時はうちで預かることになっている。


それから、もう一ついいことがあるのだ。


「愛華、紗那。おかえりなさい。学校はどうだった?」


「楽しかったよ。お母さん今日は仕事いいの?」


「うん。…もう、お腹も膨らみだしたしね。今日から仕事は産休です!」


母が妊娠したのだ。

どうやら、女の子らしい。


「うわ、ほんとにおっきい。」


私は母のお腹に手を当てて驚く。


「…愛華、名前はあなたが決めていいよ。」


「え?いいの??」


「おぉ!重大任務じゃん。」


「うん。実はもう決めてるんでしょ?」


見透かしたように母はそう言った。


「…うん。実はね。」


「それで、どんな名前なの??」


「…聞いたらこれしかないってみんな思うだろうなぁ。」


私はクスっと笑って言う。


「名前は―。」


生まれてくるこの子が、私の妹が、きっと幸せでありますように。

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