第64話:最終決戦3
「…愛華。」
「…ん?」
誰かが私を呼ぶ。
「……愛華。」
この声は愛那だ。
「…愛那??どこ??」
また、あの夢だろうか。
「…愛華。」
「愛那!!」
今度ははっきりと見える。
確かに、目の前には愛那がいた。
「愛華。」
「愛那ぁ!!!」
私は愛那に抱き着く。
すごい!
ちゃんと触れる!!
実態があるのだ!!
「おぉっとっと!…愛華、苦しぃ。」
「これは夢??それとも私の中の愛那なの??」
「ちょ!ちょっと苦しい…。」
「あ、ごめん。」
私は手を放す。
「げほっげほっ。っふ~~。あ~えっと。久しぶり。愛華。」
何度見ても、夢にしてはとてもリアルな愛那だった。
「私もいっぱい話したいんだけど、どうやら時間があまりないようだからね。」
「ん??時間??」
時間がないとはどういうことなんだろうか。
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「はぁ…はぁ…。やっと気絶したか。」
本郷はスタンガンの電源を切り、拘束するための道具を取る。
「お前も北条と一緒に売りに出してやるよ。」
「…触るなよ。」
「!?!?!?」
本郷は驚いて後ろに飛び下がる。
「なっ…!?なんで!?!?」
「…愛華は寝てるよ。その間は私が相手する。」
「??な、何言ってんだ!??気絶したはずだろ!?…まぁいい。」
もう一度スタンガンを用意する。
「次は死ぬまで電気を流してやるよ!!!」
スタンガンを振りかざし襲い掛かる。
「!!」
スタンガンを素手ではじき、顔面に手のひらでまっすぐ、張り手を突く。
「ぶっ!!!!!!」
本郷の体が後ろに飛ぶ。
スタンガンも下に落ちる。
「スタンガンは一瞬触るくらいならかなり強い静電気みたいなものだよ。それでもかなり痛いけど、最初から触るつもりなら一瞬なら耐えられる程度だ。」
「ぐっ…お前…誰だ!??」
「私は…渡辺愛那だ。」
そう言って、構える。
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「英梨!!!!」
英梨に襲い掛かる北原に対して、紗那は間に合いそうもない。
「死ね!!」
「…はいっっ!!!!」
パァン!!!!!!!
手を打った鋭い衝撃音が響く。
北原の拳を、真正面から受け止めたのだ。
「…っっはいぃ!!!!!」
そのまま、北原の顔に蹴りを入れた。
さらにそこに追いついた紗那が蹴りを入れた。
「ぐはっっ!!」
やはり北原もかなりのダメージをおっているようだ。
普段なら攻撃を防がれたからと言って防御に意識が回らないなんて事はないだろう。
それでも、防いだ英梨側への衝撃もすさまじいようだ。
英梨が手を振りながら痛みを和らげている。
「よく抑えたな英梨!!ここらでもう終わらせるぞ。」
「了解です!!」
立ち上がる北原。
その目にはもう冷静さなどなかった。
「はぁ…くそっ…がぁ!!!」
「もう終わりだよ。お前。」
紗那と英梨が構える。
するとドアが激しく開く。
「北原さん!!!」
下の階にいたであろう人達が上がってきたのだ。
その中には原口もいる。
周りに気付かれないように申し訳なさそうに頭を下げる。
原口は一階で静止するためにいたのだが、やはりあれだけの騒ぎお起こしたのだ。
止めることはできないだろう。
「大丈夫ですか北原さん!!」
英梨も紗那も無視して全員北原に駆け寄る。
「はぁ…はぁ…。…っ!!!!!!」
その駆け寄った人たちを、北原は殴る。
「!?!?!」
紗那も英梨も、人数が増えたところでどうと言うことはなかく、平静を保っていたが、その北hらの行動には驚きを隠せなかった。
「…はぁ…はぁ…誰が…助けに来いって言ったぁ!???」
駆け寄った人を、憂さ晴らしをするかのように殴り続ける。
「…っおい!!やめろよお前!!」
紗那がその間に割って入る。
「っ!!!!!!」
そのまま北原は紗那を殴る。
駆け寄っていた人たちはみな北原を恐れるように端に逃げていた。
「くそ…っ。私が、お前等なんかに負けるはずがねぇだろ!!!!」
紗那の髪をつかんだまま北原は殴る。
さっき殴られた人はその一撃だけで気絶しているようだ。
それほどに、手負いの北原の一撃が強いということなのだ。
「さっさと…死ねよ!!っぶっ!!!」
紗那も黙って殴られるわけではない。
北原の胸を殴る。
そのまま北原は倒れこんだ。
「…はぁ…私は…!!自分勝手で、仲間をないがしろにするようなやつが大嫌いだ!!!昔から…!!!!お前ら!!!見てろ!!理不尽にお前らを殴るこいつを私達が倒す!!!」
紗那は周りの女たちに言う。
「…はぁ…くそ…がぁ…!!」
北原が立ち上がる。
「…行くぞ。英梨。」
「はい!!」
「…っふぅ~~~~。…殺す!!!!!」
大きく息を吐いて北原は一気に向かってくる。
一瞬でその動きにはキレが戻ってた。
だが、紗那も英梨も、その動きに対応する。
紗那が北原の下に潜り込み、顎に一撃を入れる。
そのすぐあと。
間髪入れずに英梨が渾身の突きを鳩尾に入れた。
力が入らなくなった鳩尾に。
「…っぁっ!!!!!!!」
そのまま、北原は膝から崩れ落ちた。
「…はぁ…はぁ。」
「……っふぅ~~~~。」
紗那と英梨が顔を見合う。
「…。」
北原は倒れたまま起き上がらない。
完全に意識を失っている。
「「よっしっ!!!!!!!!!!!」」
二人で手を叩き合った。
完全勝利だ。




