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aI was mixed  作者: 阿賀野基晴
第3章 1人の愛
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第63話:最終決戦2

私は最奥の扉を開けた。


「…おぉ、今すごい音しただろ。丁度見に行こうとしたんだが、何の音だった?」


どうやらここの構成員の一人だと勘違いしているらしい。

大規模なグループだし、知らない人がいてもおかしくはない。


「はい!どうやら窓ガラスが割れた音のようです。こちらが対処するので席につかれたまま大丈夫ですよ!」


その流れに咄嗟に合わせる。


「あぁ、そっかそっか。それじゃあよろしく。それから…。」


ヒュッ


何かが、頬横を通った。


カランカラン


金属の何かが落ちる音がした。

それは、果物ナイフだった。

果物ナイフが投げられていた。


「お前。どこのどいつだ??」


どうやら、バレていたようだ。

油断した。

当たりはしなかったが、初手でナイフを投げてくるとは。


「ん?いや、見覚えがあると思ったら、叶江とうろちょろしていた奴だろ。叶江をたぶらかしたのもお前か?調べはかなりついてんだよ。渡辺愛那。」


私は後ろにたじろぐ。

やはり愛那のことはもう情報が出回っていたのだ。


「殺したって聞いていたが、生きていたようだな。まぁ、探す手間は省けたよ。殺すためのね。」


ドクン


心臓が鳴る。


「殺されませんよ。北条さんを助けに来ました。」


「あいつを助けたかったなら関わらないことだったな。あいつはもう終わりだよ。この後の会議の後であいつは人として死ぬことが決まる。」


「その会議がなくなるとしたら、それは叶いませんね。」


「ということは、私をどうしてくれるってことかな?」


「再起不能にします。」


私は拳を構える。


「…喧嘩するなんて久しぶりだ。…殺してやるよ!!」


私は距離を詰めた。

北原の様に、低い姿勢で。

そして胸めがけて拳を振る。


ドン!!!


「…軽いな。なめてんのか??」


私の拳は容易く本郷に捕まれた。

だが、それは予想の範囲内。


本郷が逆の手で私の頭にエルボーを繰り出す。

それを、逆手で同じように掴む。

その掴んだ手を引いて本郷に頭突きを食らわせた。


「っく!!」


そこから体勢を立て直し、体を捻りながら一撃を当てる。

当てる。

当てる。

当て…。


「…軽いって言ってんだろ!!!」


本郷が蹴りを私の胸に当てる。


「ぅくぅ…!!」


私は後ろへと飛ばされる。


「お前、喧嘩も大してしたことねぇだろ。私が聞いていた女とは程遠いな。誰だお前。」


「私は…渡辺愛華だ。」


私は再度、拳を構える。

今回は負けられないのだ。


「まぁいい。自分の弱さを悔やんで死ね。」


今度は本郷が近づいてきて私の顔面に向かった鋭いパンチを繰り出す。

ガードは間に合ったが、衝撃はキツイ。

その流れに沿ってラッシュが来る。

私に攻撃できる隙を与えまいとしている。


「ほらほらほら!!!!ガードといて一発で気絶する方が楽だぞ!!」


それほどまでに、一撃が重い。


「…っっ!」


「急におとなしいな!!おらぁ!!どうしたよ!!」


私は思い出す。

愛那、紗那、英梨の動きを。

愛那と同じ力があるはずなんだ。

愛那は動画を見ただけで戦い方を学んだのだ。

私にもできるはずだ。

思い出せ。

あの塞ぎこんでた頃の私は愛那と同じ動画を見ていたはずだ。


「…ふっ!!!!!」


拳を、振るうというより、まっすぐ通す。

そんな感じだった。

その一撃は本郷の攻撃の中をすり抜け、顔面へと当たった。


「なっ!!!」


一気に本郷の体制が後ろのめりとなる。

拳は最短距離で、伸び切ったその先が一番強い力が出る。

さらに、呼吸、力の入れ方も大事だ。

そう言ったあらゆる部分が、今はうまくできる気がする。

そのまま体を回転させながら飛び上がり、本郷の胸に向かって上から拳を振り下ろす。

遠心力と自重を使った一撃だ。


「がはぁ!!!!!!!!!」


かなり効いたはずだ。

私の手もかなり痛い。

本郷は背中から倒れこむ。


だがまだ倒したわけではない。

すぐに起き上がろうとする。

私はもう一発、心臓に向けて一撃を放つ。


「…!!!!!!!!!」


心臓部を強く推すと、心臓マッサージと同じ現象が起こる。

つまり無理矢理心臓を動かしたわけだ。

これを正常な時にするともちろん気を失う。


「…っふぅ~。」


私は距離を取り、本郷の様子を見る。

ピクリとも動かない。


「…よし!!!!!!!!」


完全に、勝ったのだ。


「っはぁ~~~~~怖かったぁ。…じゃない!!はやく鍵を探さないと!」


北条がいるはずの部屋の鍵があるはずだ。

北条の部屋はどこか分からないが、出られないようにしていることは分かる。

どこかに鍵があるはずだ。

私は机の引き出しや棚を見る。

だがどこにもない。


「もしかして。」


倒れている本郷の服をあさる。


「…!あった!!」


鍵がたくさんついたキーホルダーを見つけた。


「…正解~~。」


「!?…!あああああぁぁぁあ!!!」


足に鋭い痛みが走った。

連続的に。


目を見やるとスタンガンで攻撃されたらしい。


「はぁはぁ…。危ないところだったけど、念のため鍵を持っていてよかったよ。」


倒れた私にもう一撃、スタンガンを当てる。

今度は気絶させるかのように、長く。


「ゆっくり寝てな。起きた時がお前の最後だからよ。」


「うっ…っく…!!……。」


私は意識を失ってしまった。


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