表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
aI was mixed  作者: 阿賀野基晴
第3章 1人の愛
65/71

第62話:最終決戦1

私達は裏口に近づいて中の様子を見る。

中には受付と言えば聞こえはいいが、入り口を見張る用の人がいる。

表向きの不動産を演じるためか、いや実際に不動産をしているのか、奥にはオフィスのようなものも見える。

多分構成員はほとんどグループの人なのだろうが。


さて、ここからどう入るかと言うと、原口のメッセージに対してある返信をしていたのだ。

私達はそれを待っている。


「…お疲れ様です。少し休憩しませんか?交代しますよ。」


「あぁ、原口さん、ありがとう。じゃあちょっと一服してこようかな。」


そう言って入り口の人と原口が交代した。

私達はこれを待っていたのだ。


「ありがとう原口さん。」


「ふふ。いいんですよ。私もちゃんと仕事ができてよかったです。」


「よし、行こう!」


中へと進み、階段へと向かう。

階段は非常口マークの扉の向こうにあるようだ。


「皆さん、私も交代が終わったらそちらに行きますから!」


「おう!!行ってくる!!」


階段を上っていく。

最上階まで。

慎重に。


「…ついたな。」


「紗那、英梨。準備はいい?この階に、原口さんが言うにはあの人がいるはずだから。」


「おう。あいつの相手は私達に任せておけ。」


「また後でですね、愛華さん。」


そう言って、紗那と英梨は階段の扉を開けて中へと行った。

ここからはしばしの別行動である。

その間に、私は私の仕事をする。


*********************


「原口が言うには、あいつは端から2つ目の部屋にいるらしい。」


英梨と紗那は端から2番目の部屋に来た。

外には会議室と書いてある。

廊下にある扉と扉の距離から見るとこの部屋はかなり大きめなことが分かった。

ここに既に何人か集まっているのだろう。


「英梨、大丈夫か?」


「全然大丈夫です。勝ちましょう。」


「あぁ、リベンジだ。」


そう言って扉を開けて中に入った。


「!?!?なんだ!?」


中にいたのは、北原だけだった。


「あぁ??あの時の奴らか。ッチ。イラつく顔見せやがって。っていうかてめぇらどうやって入った?死にに来たのか?あぁ!??」


座っていた椅子を蹴り上げて近づいてくる。


「久しぶりって程でもないか。リベンジしに来たんですよ。本当は弱い北原さん。」


「あ???…ただでさえ北条のことと前の喧嘩の事でイラついてるんだ。いや、ちょうどいい。お前らでストレス発散させてもらうぞ。」


「来いよ。」


机も蹴りどけて、一気に間合いを詰めてくる北原。

その勢いに乗ったまま、固く握られた右こぶしが紗那めがけて打ち込まれる。


「…っっ!!!!」


その手を紗那の後ろに隠れていた英梨が掴む。


「っっっせい!!!!」


その勢いをそのまま使って投げる。

机や椅子を巻き込みながら吹き飛ばされた。


「っがはっ!!!」


「さんきゅ英梨。…もちろん私も同じようにできたけどな?」


「ふふ。私だって怖くないっていうのを見せたかったんですよ。」


そういって二人でハイタッチする。


「…お前ら。なめてんのか?なんで追い打ちしない!!」


「そんなの決まってるだろ。なぁ?」


「そうですね。」


「お前の喧嘩はもう私達には通用しないからだよ。」


「…死ねよ!!!!!」


冷静でないように見えるが、その動き1つ1つはとてもきれいな動きだ。

本当に鋭く、早く、そして重い。


「だからこそ、もう当たらない。」


紗那も英梨も北原の攻撃をよける。

これが紗那と英梨が愛那から学んだ闘い方だ。


「っくそ!!」


そう言って北原は動きを止めた。


「避ける闘い方を徹底してんのか?だったら私が動かなければどうなる?…来いよ、おい!!」


紗那と英梨の動きを逆手に取った行動だった。


「…っ!」


二人とも、うかつに近づくことができなかった。

北原は腕を下げてリラックスしているように見えるが、その姿勢からの攻撃が強いのだ。


「お前ら。いったい何をしに来た?何を求めてきた?お前らに利益になるようなものはないはずだ。のこのこ来やがって。私に勝ったとして、どうするんだ?」


「…お前には関係ないだろ。勝負に集中しろよ。」


「…お前ら以外に誰か来ているのか?…!!」


そう言って北原は扉の方を見る。

紗那と英梨はまずい顔をする。


「私の気を引くことか???」


そう言って、北原は扉の方へと動き出した。


「待て!!!」


紗那と英梨が後ろを追う。


「…ふっ、了解!!」


その動きに合わせて北原は回し蹴りを紗那に当てた。


「!?紗那さん!!」


「お前もだよ!!!」


英梨に低い位置から拳を当てる。


「っっく!!!」


英梨はぎりぎり腕で防いだが、衝撃はすさまじいもののようだ。

そのまま北原は扉の方へと行こうとする。


「…おらぁ!!!」


蹴りで飛ばされた紗那が近くの椅子を扉の方向に向けて投げた。

それが北原に当たる。


「がはっ!!!」


足元に当たったのが幸いして北原は体勢を崩した。

その間に紗那が扉に近づかせないように扉側に立つ。

英梨は逆方向の窓側に立ち、挟み撃ちの形となった。

倒れた北原に向けて紗那がさらに机を投げる。


「なっ!!おま…!!!」


北原は頭を下げて机を避けた。


ガシャァアアン!!


窓ガラスが割れて、最上階から机が落ちる。


「…なかなか不良らしいことするじゃねぇか。だが、今ので何人の人が騒ぐと思う?ここにも誰か来るだろう。てめぇらさては頭悪いな?終わりだよ。ここには本郷もいるしな。」


「…頭悪い??ふふっ。こんなに頭の良い作戦は他にはねぇよ。」


「あぁ??…まぁいい。まずは…。」


北原は窓側に飛び、英梨に襲い掛かる。


「こいつから殺る!!!!!!」


************************


ガシャァアアン!!


窓が割れる音は扉の向こうの階段まで響いた。


「よし、行こう。」


私は立ち上がり、扉から出る。

向かう場所はもちろん最奥、あの女がいる場所だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ