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aI was mixed  作者: 阿賀野基晴
第3章 1人の愛
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第61話:決戦

北条がいない私達は機動力なんてものはないに等しい。

つまり、北条を助けに行くために自転車を走らせているわけだ。

原口に聞いてもらったのは北条がいる場所だった。

その場所は家からは少し遠いところだが、なりふり構っていられない。

私達は全員で北条が捕まっているであろう場所へ行く。

自転車は私の分と紗那の分と原口の分、それから愛那の自転車を英梨が使っている。

英梨にしては少し大きぎるような自転車だが、まぁサドルも下げているし問題ない。


「愛華さん。策はあるんですか?」


自転車に乗りながら英梨が言う。


「それについてなんだけど。原口さんは今から行くところどんな所か分かる?なるべく詳しい情報が欲しくて。」


もちろん、私達はその場所に行ったことはないから、原口に案内してもらっている感じだ。


「私もあまり行ったことはないんですけど、表向きには不動産会社ってことになっているビルですね。中は入り組んではなかったと思います。人は…正直誰がいるとかまでは分からないですね…。」


「ってことは北条がどこにいるかもわからないってことか?」


「そうですね…。ただそこに北条さんも本郷さんもいることは分かっています。乗り込むにしても、正直他に誰がいるのかもわからないですね…。そこまでは私も聞くことはできなかったので。」


「本郷って人のこともどんな人か分からない?」


「北条さんが言ってたことだけですけど、喧嘩が強い、頭が切れる、1グループの最高権力保持者ですからね。相当なものだと思います。あ、ちなみに私は会ったことはないです。」


「…そっか。う~ん…。」


策は練っているが、情報が少なすぎる。


「でも私がいるから中には入れると思いますよ。一応北条さんの直近みたいな立場ですからね。」


「え、そうなの??」


原口の地位もなかなかのものなのではないのだろうか。


「一応ですよ!?なので皆さんは私の知り合いと言うことで入れてもらえるかもしれないってわけです。」


「とりあえず中に入って…そこからどうするか…。」


私は自転車をこぎながら考える。


************************


しばらく自転車に乗り、目的地であるビルに到着した。

人通りは少なく、ましてや交番すら近くにないような、不良が溜まるにはもってこいの場所だった。

表向きは不動産であると聞いていた通り、それらしい看板がある。


「私がちょっと中の様子を見てきますね。皆さんはここで待っていてください。」


「ありがとう原口さん。もう少し策を練っておくね。」


ある程度パターンごとに策は作ったが、まだ決まってはいない。

早くしないと北条が危ないこともあり、焦る。


「…ん?…あいつ!!」


紗那が言う。

私達は今裏口の近くの物陰にいる。

紗那が裏口の方を見ながら誰かを見つけたようだ。


「あ、あの人は…。」


私も目を向ける。

その人は私達を先日ぼこぼこにした北原という女だった。

あの、かなり強かった女だ。


「まずい…。彼女は私達の顔を知っている…。余計に中に入りづらくなった…。」


かなり状況がよろしくない。


そこに原口が帰ってきた。


「…すみません。どうやら今日は本郷さんの直近メンバーが集まる日だそうです…。なので私達は入ることができないそうです…。」


「なっ!まじかよ…。どうするよ愛華。」


「どうりであの人が中に入っていったんだ…。…だめだ、全然思いつかない…。」


もう皆を、傷つけるような選択は避けたい。

それが第一にある時点で、今回はもう八方塞がりだ。


「…愛華。私達は大丈夫だ。お前のしたいように指示してくれ。」


紗那が言う。


「そうですよ。私達なら大丈夫です。それに何かあってももう油断しませんからね。ケガもしませんよ!!」


英梨が言う。


「私も、内部を今から見てきます。私だけが入るのは大丈夫だと思うので。行ってきます!」


そう言って原口は中にまた入っていった。


「…ありがとう。もう少しだけ考える。」


私は、熟考する。


「………。」


「愛華…。」


「………。」


「愛華さん…。」


ピロン


原口からメッセージが届く。

内容は以下の通りだった。


『本郷さんは一番上の階にいるみたいです。北条さんも多分最上階のどこかにいるはずです。最上階には誰も行けないことになっているようなので、エレベーターではなく階段を使ってください。なるべく私が他の人の気をそらすので。』


原口は原口で中でできることをするようだ。


「…よし。」


私は目を開いた。


「…今から言うとおりに行動してもらうよ。」


「おう!!!」


「はい!!!」

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