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aI was mixed  作者: 阿賀野基晴
第3章 1人の愛
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第49話:最後の仲間3

優と私の謝罪の後、私達紗那たちがいるベンチへ向かった。

いや、正確には紗那たちがいたベンチだ。

私がベンチに行くと、そこには誰もいなかったのだ。

スマホを見ると紗那から『先に英梨を送ってくるから』とメッセージが来ていた。

要は、二人とも気を使ってくれたということだ。

私は礼を言って久しぶりの旧友と話すことにした。


「優はどこの高校に行ったんだっけ?」


初歩的な質問だが、私と紗那と愛那以外の人の情報は全くと言っていいほど知らないのだ。

こんな質問自体失礼なのだろうが、仕方のないことだ。

知ったかぶりをするよりはいい。


「私は阿東高校だよ。愛華知らないかもだけどほとんどの人がそこに進学してるよ。」


阿東高校とは私達の地元の中学校阿東中学校のように同じ地区内にある高校だ。

そのくせ、駅から2駅くらい先の場所にある。

私の地区がそもそも大きい地区と言うのもあるが、まぁそんなことは今はどうでもいい。


「愛華は阿原高校だったっけ?」


「うん。何で知ってるの?」


「いや、色んな人を伝って聞いたんだよ。」


そうか、そんなことができるのが普通なのか。

羨ましい…。


「私は高校でもバスケやってるけど、愛華は?」


「私は生徒委員会っていう委員会をやってるよ。生徒の相談に乗ったりする、主に雑用をする委員会なんだけどね…。」


「え、そうなんだ。なんかちょっと…あ、そんなことないか。」


「今の私じゃ意外だった?」


「…ふふっ。少し。」


今の私からはそんなアクティブなことをするようには見えないだろう。

昔の私ならそんなことはないのだろうが。


「愛那と紗那は何やってるの?同じ学校でしょ?向こうでもやっぱり一緒にいるんでしょ?」


「紗那は同じ生徒委員だよ。愛那は…。」


そうか。

愛那のことは、ほとんどの人が知らないことなのだ。

敢えて言っていないのだから。


「愛那は…この前事故に合って…。」


スッと言うことができたらよかったが、私にそんな能力はなかった。

言いよどんでいると、優の方から察してくれた。

それでも、驚きを隠せないようだったが。


「…え、ほんとに!?…そんな。そ…っか。」


かける言葉が見つからないと言った顔だ。


「うん。でも私は大丈夫だから。ごめんね、本当なら皆に知らせなきゃいけなかったのに。」


「…そうだね。もっと早く知りたかったかも。でも…愛華は悪くない。愛華、大変な時は力になるよ。こんなこと虫がいいかもしれないけど、ずっと私、愛華達と話せなくなったこと後悔してたんだ。だから、これからは前みたいに、ちゃんと愛華と話していたい。辛いときは言って。」


優はまっすぐこちらを見ながら言う。


「…うん!ありがとう。」


「それじゃあ…はい。」


「ん?」


優は手を差し出して、私から何かを要求する。


「スマホ。私の連絡先教えるから。」


「あ!うん!!!」


私はスマホを渡して、優の連絡先を手に入れた。

私の数少ない交友関係が広がった。


「ありが…あ、そうだ。」


私はこの流れで本題を思い出した。

お礼を言う途中で。

原口についてのことだ。


「優、原口智代さんって知ってる?」


「原口さん??あの2年の時に転校した子?」


知っていた。

しかも、原口は想像通り転校していたのだ。

道理でアルバムにはないわけだ。


「そう!その子の事で聞きたいことがあって。」


「ん??いいけど。原口さんも阿東高校だよ?」


「え!?そうなの!?」


阿東中学校を転校して、またこちら側に戻ってきたということだろうか。

いや、阿東中と阿東高がそもそも少し遠いように、阿東の地区がそもそも広い。

別の中学から阿東高王を受験することなんてある話だ。


「それで、原口さんがどうかしたの?」


「あ、いや…。」


そういえばそもそもどうやって聞き出せばいいんだろうか。

こんな話を優にしてしまっていいのだろうか。

あまり大ごとではないにしろ、関わらない方が良いに決まっている。


「実は少し話したことがあって、今はどうしてるかなって。」


申し訳ないが嘘をつかせてもらった。


「確かに愛華とは接点まったくなくなっちゃったからね。私原口さん友達登録してるよ。グループ一緒だからね。あげようか?」


「本当に?!?」


優は原口の連絡先を持っていた。

もちろんそこまでは期待していなくて、せめてすんでいる地域だけでも知れたらよかったのだが、話がかなり進めた。


「是非!ください!!」


私は原口の連絡先を得ることができた。


「さて…。じゃあ、私はもう帰るね。…ありがとう、愛華、来てくれて。」


「ううん。私の方こそ。ありがとう。話してくれて。」


「また、次は他の人も呼んでご飯でも行こう。」


「うん!」


別れ際の社交辞令のようなものだが、実現することを願おう。

それを言って、優は帰っていった。

それと同時に視界の外から紗那がこちらへ来る。


「よ。どうだった?久々に楽しかったか??」


「ふふっ。今までが楽しくないみたいな言い方をするね。…楽しかったよ。」


「そうか。よかった。」


ニコッと笑ってこちらを見る紗那。


「次会う時は紗那も一緒ね。」


「ああ。もちろん!」


「あ、英梨のことありがとうね。こんな時間まで私に付き合ってくれて申し訳ない。」


「英梨も今日は泊まっていきたいって言ってたけどな。着替えもないからって言って帰るっていうから送っといたよ。」


英梨はやはり紗那が送ったようだった。


「ちゃんとお礼を言っておこう。」


私と紗那は駅を後にした。

原口についての続きは家に帰ってからだ。

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