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aI was mixed  作者: 阿賀野基晴
第3章 1人の愛
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第46話:仲間と友達

愛那との出会い、どんなことをしてきたかを話した英梨。

私達は黙ってそれを聞いていた。


「…私は、ずっと2人に嘘をついていたんです。さも、愛那さんとは初めて会ったかのように…。」


悔やむように、伏せる。


「ちょ、ちょっと待て。じゃあ初めてあった人か、金井さんに捕まった時はどういうことなんだ!?」


確かに、そこが気になるところである。

金井に捕まることなく、余裕で勝てたのではと。

だが、そんなことを考えなくとも、私はなんとなく、分かっていた。


「入学する前に、愛那さんと会って話をしてたんです。インフルエンザで遅くはなりましたが、私が愛華さんに接触するように算段をつけていました。愛那さんは…愛華さんに友達を作らせようとしてたんです。」


やはりそう言うことだった。

愛那と事前に話を合わせていたのだ。

私のために。


「私も、友達になってもらえるなら大賛成だったんです。たまたま2人が生徒委員に入ってくれたから私もどうどうと相談に行けました。愛那さんも、愛華さんと同じ委員になったのは何かと都合がいいからだと思います。」


「愛那、めちゃくちゃ考えてたんだな。」


本当にそうだ。

私なんかのために。


「最初は…愛那さんに対してすごく動揺するように演技をしてました…。あ、もちろんバレーの時とかは演技じゃないですよ!?慣れてない人の前だと動けないのは本当なんです…。それで、私は、姑息な手段で愛華さんに近づこうとしていました。本当に…ごめん…なさい。」


泣き出す英梨。


「その後、かなり遠回りしましたけど、金井さんに捕まった時、私はチャンスだと思いました。手っ取り早く、フラグが立ったなと、そう思いました。私が殴られたりすることは別にどうだってよかったんです。でも、愛那さんはそれが許せなかったようですね。私の良かれと思った行動は、本気で愛那さんを怒らせてしまいました。」


あの時の怒りは、英梨が拉致されたものと、自信を大切にしない英梨に対してのものだったのか。


「結局、私は計画的に、動いていたんです。愛華さんと、紗那さんと友達になりたかったのは本当です。でも、その手段は最低なものでした。それをまだ、2人に言っていないのに…愛那さんに、会いに行けるわけないじゃないですか…っ。」


英梨がお見舞いにも、メッセージの返信にも、葬式にも来なかったのはそう言うことだったのか。


「私は…最低だ…。何が愛華さんのためだ…。もっと早く言っていれば、あの日も愛那さんと一緒にいれたかもしれない。私だって戦えることを言っておけば、あの日愛那さんは死ななかったかもしれない。愛華さんは事故に合わなかったかもしれない!!私は…最低だ!!!!」


歯を食いしばる英梨。

拳も固く握りしめているのが分かる。

私は立ち上がり、英梨の下へ行く。

英梨の肩を掴み、グイっとこちらに向ける。


「全部、私のためにしてくれたんでしょ!!!だったら、もう、全部許す!!!私も、ずっと最低な奴だった!!!愛那と紗那達以外の人間なんてみんなクズだと思ってた!!最初は英梨さんも、同じように思っていた!!だから…私も最低なんだ…。だから…おあいこだよ!」


「…ぅう!!!」


紗那も立ち上がる。


「私も後悔ばかりだ!!なんであの日、2人と一緒に帰らなかったんだ。鞄なんて無視して、一緒にいたかった。愛那ともっと話したかった!!!それでも…!!」


紗那が私を見る。


「私達は前に進むよ!!英梨さん!!!私だって!あの場にいたのにずっと後悔してる!!!それでも前に進むよ!!愛那との約束を果たす!!!不良を全部、潰すんでしょ!!英梨さんはどうするの!??!」


「…うぅ!!私も…やりまずっ!!!」


涙を流しながら言う。


「だったら、ちゃんと、言うよ。」


私も気づいたら熱くなっていた。

涙も流れている。

でもそんなことはどうでもいい。

私は英梨に手を伸ばす。


「英梨。今日からあなたは私の友達だ。一緒に、戦ってくれる?」


「…!?…はぃ。こちらこそ…よろしくお願いします。愛華さん、紗那さん!!」


最も身近にいた、1人目の仲間は、ぐしゃぐしゃになりながらもにっこり微笑んでくれた。

私は今日、友達ができたのだ。


**************************


「それで、愛華さんたちの話は何だったんですか?」


青春チックなことを近所の公園でしてしまった後、私達は、せっかくこっちまで来た英梨を自宅に連れてきている最中だった。

熱い展開故に、英梨には私達の話をしてはいなかった。


「私達の話は大体話す必要なかったよ?」


「英梨が愛那と昔行動していたかどうかを聞こうとしてただけだ。」


「あ、なるほど。え、じゃあ私の事気付いたんですか?!愛那さんに少し聞いていたとか??」


「いや、私も分からないんだが。気付いたのは愛華だしな。」


「あぁ。北条さんがわざわざ私の提案に乗ったってことは、私が知っている人の可能性があったから、後は知っていることを中心に考えてたら英梨のことが分かったっていうか、勝手にそう決め打ちしたっていうか…。」


「わぁ、すごいです!!!」


「でも間違いじゃなくてよかったよ…。」


ほんと、間違いだったらとんだ言いがかりになるところだった。


「それで、これから相手にしていく人たちなんですけど、北条さんって知ってますか?」


「北条さんは知ってるよ。あぁ、そこから話さないとだった…。」


また私の説明不足だ。


「実は…。」


なにから説明するか迷う私。

それを見た紗那が説明を買って出てくれた。


「愛華が入院中に北条と話して、昔のメンバーを集めることになったんだって。それで、英梨のことを割り出したっていうか、誘いに来たんだよ。」


「そう!そういうこと!!」


私は紗那に指をさして賛辞を贈る。


「なるほど。っていうことは北条さんとはもう会っているんですね。じゃあ、もう一人のメンバーの目星はついていますか?」


「あ、そう。それが聞きたかったんだ。」


英梨はなんとか分かったが、他のメンバーは分からない。

何人いるかも分からなかったが、今の英梨の言葉で後1人であることは分かったが。


「英梨はそいつとは今も会っているのか?」


「いえ、今は会ってないんですけど、愛華さん達は知ってる人だと思いますよ?確か愛那さんとは同じ中学校だったって言ってたし。」


「え?!そうなの!?」


同じ中学校の人??

誰だろう。

全く聞いたことないし、分からない。


「ってことは私も知ってる人なのか?う~~ん。愛那とあの頃話してた奴なんていないしなぁ。バスケ部の人なんてそんなことするような奴はいないし。」


「私も全然わからない…。」


「え、そうなんですか??う~~ん。でも確かに、愛那さんとは元々は凄く仲が良かったわけではないみたいでしたよ。もちろん一緒にいるときは話してましたけど。私ともよく話してくれたし、とてもいい子でしたけどね。」


英梨が言ういいこと言うことは、がつがつではなく気さくに話しかけてくれるという解釈でよいのだろうか。


「スマホで話したりはしないのか?」


「あ、私スマホは高校から持ち始めたので、連絡先とかも知らないんですよね。愛那さんと北条さんは卒業するころに一度会って連絡先をもらってたんですけど…。しかも行った高校も知らないですし…。」


「じゃあ、また情報収集か…。」


本当に私は、何かするたび情報収集から始まっている気がする。


「それじゃあ英梨、その子の名前、教えてもらえるか?」


「はい!その子は…。」


多分私は、その名前を本当に知らない。


原口智代(はらぐちともよ)さんです!」


私はその人の、顔も、見たことなかったのだ。

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