第44話:仲間探し2
バイブレーションと着信音が両方鳴った。
メッセージが届く。
『今日は病院行けそうか?遠いから無理はしなくてもいいけど。』
そのメッセージに対して、返信をする。
『今日も行けそうにないです。』
今日も、昨日も、その前も断った。
こんな時に申し訳ない。
でも、断る分には理由があるのだ。
どんな顔をして会えばいいのか、分からないから。
真面目な性根が『どの面下げて会いに行くのだ』と囁く。
昔の写真を見ながら、思い出しては涙を流す。
「私は、なんで何もしなかったんだ。」
漏れるように出たその言葉は、誰もいない自室で響く。
後悔と、後ろめたさしか残っていない。
合わせる顔がない。
嘘つきの私は、今日も1人泣く。
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紗那が手伝ってくれることにはなったが、実際どうやって情報を集めていくかはまったくの未定だった。
期限こそないものの、早くした方が良いに決まっている。
紗那が退院祝いの料理をしている間、私は秋山の時の様に、SNSを見たりして、情報収集を試みる。
「…やっぱり、どこから切り込んでいけばいいか分からない。」
紗那も知らない愛那の話だ。
誰とかを知りたいのだが、そもそもどこで何をしていたかも知らない。
期間も詳しくわからない。
やはり頼みの綱と言えば北条くらいだった。
「う~~ん。」
「なんか浮かびそうか?」
料理の合間に紗那が声をかける。
「…よし、ちょっと思い出すから待ってて。」
今現時点でできることといえば、わずかな北条との会話から何かを見つけることができないかだ。
愛那とモールに行った日に、何か含ませた物言いをしていた気がする。
確か、治安が良くないとか。
ここら辺と言っていたな。
つまりあの時で言うと、電車で少し移動していた、あのショッピングモールのあたりと言うことか。
あの場所は私の家と学校のちょうど間あたりだ。
そして本郷達からなる巨大グループは私の学校の周辺であるとしよう。
詳しくは分からない。
と言うことはそのあたりまで愛那が行っていた可能性が高い。
では、当時の仲間はあのあたりに住んでいた人である可能性が高い。
愛那は北条と喧嘩をすることで知り合った。
他の人達は?
北条の話だと、北条と接触した時はまだ1人だった。
当時の仲間が何人いるかは分からないが概ね出会いは北条と変わらないだろう。
多分。
この段階程度だと、可能性だけで考えることになるから、なるべく仮定しまくりで話を進めていく。
他にも思い出せ。
愛那の言葉、北条の言葉、周りの雰囲気や噂、私が過ごしたすべての時間を。
事故があった日、愛那に対して本郷のグループが最近になって本腰を入れ出したと言っていたな。
そのせいで、私が拉致されてしまったわけだ。
と言うことは、本腰を入れなければならなかったということだ。
もっと言えば、向こう側に情報がなかったと見える。
愛那たちの情報が濃ければ、本腰を入れてからそう時間がかからないはずだ。
愛那のことだ。
そう言った対策をするとしたらとことんする。
顔も名前も伏せて行動していただろう。
もっと思い出せ。
英梨が金井達に捕まった時。
その日にも北条に会っている。
その時彼女は言っていた。
名前も知られていないロングヘア中学生が暴れていると。
愛那の事だろう。
思い出せ、考えろ。
私の頭の中で複数の仮定が無数の線でつながっていく。
数々のパターンを考え、予想を立てる。
答えは、導き出せた。
「…分かった。」
心臓がドクンと鳴る。
汗まみれで、かなり集中していたことに気付いた。
こう考えるのはあまりにも非科学的だが、私の予想に対して愛那の心臓が応えてくれた気がした。
「ほんとか愛華!!」
「多分。1人だけだけど、多分分かった。」
あくまで推論だが。
あとは確認するだけだ。
「明日行くよ。」
絶対安静中だが気にしない。
「絶対無理すんなよ。」
紗那に言われた。
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次の日。
私は学校の方へ行くことにした。
もちろん朝からは行けないので、夕方、授業が終わる時間を見計らって。
紗那には昨日の時点で私の考えを既に伝えている。
驚いてはいたが、まだ話半分と言った感じだった。
その考えが正しいかどうかを確かめるために、紗那には向こうで、その人と接触してもらわなければならない。
後は私が行くだけだ。
紗那に真相を聞いてもらうこともできるが、私の仕事だから、私がやる。
そうこうしている内に地元の駅に着いた。
後はこの電車に乗るだけ。
だった。
「愛華さん。」
改札を通る前に、私は引き留められた。
聞きなれた声で。
いや、ずっと考えていた声で。
「愛華、授業早抜けしてきたんだ。」
隣には紗那がいる。
こちらから行くはずだったが、来てもらったようだ。
「英梨さん。よく来てくれたね。」
申し訳なさそうに、英梨は俯いていた。
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場所を駅からすぐ近くにある小さな公園に移し、テーブルのようなものを囲むベンチに、向かい合うように座る。
紗那が英梨の隣に座ろうとしたら、英梨は断っていた。
今日は横でサポートしなくていいとのことだ。
いつもは隣でサポートして話すのがやっとだが、今回は違うらしい。
「英梨が話したいことがあるって、それでこっちに来たんだ。」
英梨の方からの話。
「私たちの事は言ってる?紗那。」
「いや、私からは何も言ってない。」
やはり、何もこちらからのことは言っていないのか。
「英梨さん。私達も英梨さんに聞きたいことがあるの。」
「多分、それは私の話と同じです。…私から、話してもいいですか?」
重々しく、たどたどしく、でも、はっきりと言う。
いつものオドオドしていた時とは違う。
「…私は、愛那さんと以前から知り合いでした。」
予想は、的中していた。
「高校に上がる前に、愛那さん達とチームで、不良相手に戦っていました。愛華さんのことも、紗那さんのことも、ずっと前から話は聞いてました。ずっと、前の事から。」
ということは。
過去の私のことも、知っていたのか。
「初めて会ったのは、中学3年生に入った頃です。」
英梨は語り始める。




