第3章プロローグ
夜。
人気のない路地裏。
ここがいつものたまり場で、もはや椅子などを持ち寄って少し快適な空間であるほどだ。
「あのさぁ、私ここ抜けようと思うんだよね。」
その空間には現在、4人の女がいる。
「え?!おい、ふざけてんの?」
「本気本気。ここまでやったけどさ。さすがに規模もでかいし、時間もかかりそうだし、他にやりたいことがあるっていうか…。」
伸びをしながら、簡単に言う。
「待って!!ほんとに言ってんの!?ここまでやったのに!?もう最終的な計画が始まるって時に!?」
かなり有名な不良グループ。
その3割を潰して、本格的な作戦へと移行する段階であった。
「愛!!あんたがいないと成り立たないの分かるでしょ!!」
そんな段階ではあったが、私はこの計画から脱退することにした。
「私も気になります。どうしてこのタイミングなんですか?」
「そうだよ。これからって時なのに…。」
「…隠さず言うけど、私の姉、双子なんだけどさ。もうずっと、他人との関りを断ってるんだ。」
さっきまでの雰囲気が鎮まる。
「その姉のためにさ、高校は友達作りとか、そういうのを手伝っていきたいんだ。」
「…。」
沈黙が続く。
「分かったよ。でも、こんな言い方悪いけど、天秤にかけていいほど、こっちも軽い話じゃない。私は愛がやるって言ったから乗ったんだ。」
「ごめん。北条。」
「…あぁ!!もう!!分かったよ。この計画は保留にしておく。その姉に友達ができたら、絶対戻ってくるように。遅かれは早かれ絶対私等は狙われるから。」
私達は抜け出せない位置まで来ているのだ。
「私も、愛那さんの意見を尊重します。」
「私も。そもそも愛那さんがいないと進まないし。」
「わがまま言ってごめん。ありがとう。」
中学3年のある夜の話だ。




