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第2章プロローグ
昼は賑わう公園も、見晴らしが良い分灯りなんかも設置されておらず、夜はとても薄暗い。
そんな公園の隅は星の光もろくに差さないほど木々が生い茂っている。
そこに倒れる2人の少女の姿がそこにはあった。
「…ねぇ紗那。」
「…なん、だよ。こっちは、まだ…息、切らしてんのに。」
「あはは…私も疲れたよさすがに。…あのさぁ、愛華、どこの学校行くか知ってる?」
「えぇ?…いや、聞いてないよ。」
「まだ第1希望の欄書いてなかったんだよねぇ。私達さぁ、失敗、だったね。」
「…まぁ、成功ではないよな。」
「だからさぁ、今度はちゃんと愛華のために正しいことしたいなぁ。」
「今度って?」
「高校生になったらだよ。」
「正しいってのが何かは分からんけど、私らでも行けるような高校じゃないとな。」
「だからこれからは毎日、進路調査書を見るようにしてね。多分見せてくれないと思うから、こっそりね。」
「はいはい。できれば、遠くがいいんだけどなぁ。」
その少女達の服はボロボロで、髪はぐちゃぐちゃ。
それでも体にはたった一つの傷もアザもなかった。




