アイス
とある夏の話だった。
特に用もなく歩いていると、ふと気づいたら陽
が暮れていた。
暗い世界の中を進むのも嫌なので、と 灯の
付いた路地に入っていった。
「おねーさん、暑くない?アイスあるよ?いい
の冷えてるよ。どう?」
アイスなんだから冷えていて当たり前だと、
思いながらも暑さを紛らわすために、私はつい
ていこうと決めた。
そのアイスは未知の味がした。今までの人生と
かけ離れた風味だった。
「また来てね」アイス売りのおじさんがニヤリ
と笑ってそう呟いた。その台詞が頭の中をクル
クルと2回転3回転したあと、
夜空にかける流れ星を見た。
綺麗だった。