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それぞれの末路  作者: 途山 晋
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美鈴が公園に来ると人は全くいなかった。

私が子供の頃には公園は子供が多かったのに、最近では全然見かけない。そう思いながら、この公園を調べることにした。

美鈴は一通り調べたが、何も見つからなかった。もともと期待をしていたわけでは無い。そして、彼女は例の母親のところに行くことにした。

拓馬が一人で何処かに行ってしまったのか。それとも、誰かに攫われたのか。美鈴は拓馬の母親の話を聞いて、勝手に誘拐されたと思い込んだ。

そして誘拐したのは、話に出てきた母親だと。実際には、ずっと話してたらしいから、誘拐した犯人は別にいるのだろうが、共犯者として考えられる。そう思っている。

美鈴は、例の母親の家に着いた。

戸には、松坂と書かれたプレートが掛かっていた。

インターホンを鳴らすと、少しして女性が出てきた。

そして「どちら様ですか?」と尋ねて来た。

「すみません。私は警察の者です。お話を伺ってもよろしいでしょうか?」と、警察手帳を見せながら美鈴は尋ねた。

「えっ?は、はい。大丈夫です」

松坂は少し慌てて言った。

やっぱり怪しい。美鈴はそう思った。

「拓馬君が、まだ帰って来てないのは知ってますか?」

「はい。当たり前じゃないですか。赤西さんにも聞いていますし、さっきニュースも流れてました」

松坂は、少し怒ったように言った。

「失礼しました。それでは、不審な人物を見ませんでしたか?」

「不審な…人物…。いいえ。赤西さんと話してましたし、あまり外に目はいってなかったので。拓馬君は、誰かに攫われたんですか?」

「そうですか。いえ、まだ決まったわけではありませんが、その可能性もあるので」

そして、美鈴はなかなか隙を出さないなと思った。そして、かまをかけるかと思った。

「拓馬君の服装は知ってますか?」

「知ってますよ?確か青い服で、紺のズボンでしたよね?」

「知ってましたか。そうです。では、そんな格好の男の子が現れたら警察に連絡を。それではありがとうございました」

そう言って、彼女は去って行った。

彼女は、そのまま署に戻った。

そして、やっぱりあの人は犯人の関係者だと確信した。拓馬君を見てない筈なのに、格好を知っていた。つまり、何処かで見たということだ。

彼女はその考えをブツブツと言いながら下を向いて歩いていると誰かにぶつかった。

「あ、すみません」と言って彼女が相手を見ると、お世話になってる先輩刑事だ。

「おぅ。気をつけろよ。で、どうしたんだ?そんな呟きながら。リアルツイッターか?」

と、彼は笑いながら彼女に聞いた。

私は彼が好きだ。恋愛的にではない。

彼は特に私を差別しないし、性格もよくて、お父さんに似てる気がするから。

彼女は、彼のことをそう思っている。

「高木先輩。実は、少し困ってて」

そして、彼女はさっきまでの会話を一言一句思い出しながら話し、自分の考えも話した。

「なるほどな。よし、お前のいいところと悪いところを話してやろう」

「なんでいきなり」と、彼女は言ったが手で遮られた。

「まず、いいところは熱心にやるところ。いつも頑張ってる」

「ありがとうございます」

「で、良くて悪いところは決めたら諦めないことだ。これは、捜査に必要にも邪魔にもなる」

「はい。これで終わりですか?」

「いいや、まだある。最後に悪いところだ。

それは…愛想が無いことだ」

「本気ですか?」

「いや、冗談だ」

高木は、こういうところがな〜。と小さい声で言った。

「何か言いました?」

「何も言ってない」聞き取られたか。と次は心の中で思った。

「じゃあ、ちゃんと言うぞ。それは、情報量が少ないところだ。もっと情報を得ないとな。それに公園を調べただけで、周りに聞き込みをしていない。それじゃ、駄目だろ」

美鈴は、すっかり失念していたと反省した。

「すみません。以後気をつけます」

「素直なのもいいところだな。ご褒美に情報をやろう。松坂って親が拓馬君の格好を知っていたから犯人だと確信したらしいが、今日の昼のワイドショーで出てたよ。その人はニュースを見たって言ってたんだから、知ってて当然だ。あと、動機が無い。じゃあ、しっかりな」

そう言って、高木は少し急いで去っていった。

美鈴は、改めて考え直さないといけない。と思い、もう一度署を出た。

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