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それぞれの末路  作者: 途山 晋
7/40

開始

宮田が男の子のいる部屋に入ると、男の子はゲームをしていた。

ポテトスナックの袋も空いていた。

宮田はやっぱり、あのお菓子は子供から大人まで好まれるのかと思ったが、まぁ、今は関係ない。と、本来の目標に視点を戻した。

そして、男の子を呼ぼうと思ったが名前を知らなかったのを思い出した。

宮田が「坊や、名前はなんていうんだい?」と聞くと、男の子は元気に「たくまだよ‼」と言った。

名前を確認し宮田は今までの、言葉と見た目から多分5〜6歳だろうと検討をつけた。

「よし、たくま君。君の力が必要なんだ。貸してくれるかい?」

「うん‼ヒーローのおじさん‼」

本当に元気だなと思いながら、「じゃあ髪の毛を何本かもらうよ?君の髪の毛には力があるんだ」

「そうなの?じゃあ、あげるよ‼」

「ありがとう。少し痛いかもしれないが我慢してくれよ?」

そして、たくまの髪の毛を数本抜いた。

たくまは少し痛がったようだ。

宮田は、「大丈夫かい?」と声をかけた。

「うん。大丈夫。悪いやつを懲らしめてね」と言うたくまを、彼は健気だなと思い罪悪感が生まれた。しかし、それも直ぐに消えた。

彼の研究欲には、敵わなかった。

だが、抜かないで切れば良かったぐらいには思い苦笑した。

そして、再び研究用の部屋へと戻った。


「さてと、始めるか」

宮田は、部屋に入るなりそう言った。

準備は、既に終わらせている。

あとは、この髪の毛から複製を作ればいいだけだ。

そして、遂に実験は始まった。

髪の毛を、装置にセットし不老にするための処置を施した。

複製の、完成まではそう時間が掛からなかった。彼が、呆気に取られる程度だ。

目の前には、さっきまで話していた男の子が立っている。

たった、これだけの髪の毛からこの完成度なのか。と彼は少し驚いた。

そして、この「たくま」がちゃんとさっきの「たくま」と同じかどうか調べないといけないと気づいた。

まずは、記憶だ。

「君の名前は?」

「たくまだよ‼おじさん誰?」

答え方は同じで、質問も同じ質問だ。

「私は、正義の味方だよ。この辺りを守っているんだ」

「すごいね‼おじさんは、ヒーローなんだ‼」

どうやら、実験は上手くいったようだ。

「おじさん。なんで、僕は裸なの?」

たくまは不思議そうにしている。

宮田自身、聞かれるまで気づかなかった。

服も一緒に出てくる訳無いのだ。成功したのかどうかしか気にしてなかった。

「えーと。あれだよ。君は悪いやつに捕まってて僕が助けたんだ。そこで、服を奪われたんだね。きっと」

即席で、作ったにしては良くないか?と彼は、自画自賛した。

「そうなんだ?服は無いの?」

信じてくれたことにホッとした。

「すまない。忘れていたよ。少しの間はそのままかもしれない」

「わかった。我慢する」

「ありがとう。たくま君」

彼はそう言った後、話す時は同じ「たくま」でいいが、考える時にはややこしいなと思った。

これから、複製の方は「Cたくま」として考えよう。勿論、クローンのCだ。

これからは、Cたくまとたくまの行動を何日か観察して本当に成功したか確かめよう。

また、不老になったかどうかも確かめよう。

細胞の老化が止まるのなら、髪の毛を切ればいいか。それで髪の毛が伸びなければ成功だ。

彼は、ここまでくればもう成功したも同然だと安堵した。

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