結果
宮田は、昨日と同じように車で市の中にある公園を探し回った。
しかし、結局見つかることは無かった。
彼は今更、そういえばこの市でホームレスを見たことは無かったと思い出し苦笑した。
時間は四時半。三十分程探していたことになる。彼は研究所へと戻ることにした。
いつもの部屋へ行くと、助手の彼がいた。
「こんな朝から何処へ?」
「あぁ、ホームレスを探しにね」
「そうでしたか。収穫はありましたか?」
「いいや、無かったよ。しかも今更、ホームレスを見たことが無いと気づいた」と苦笑しながら言うと、助手も「そういえば」と苦笑して返した。
「それにしても、起きるの早いな」と笑いながら、宮田は聞いた。
「若いですから」と彼も笑顔で返した。さっきは苦笑次は笑顔で返し合いだな。宮田は思った。
私も若い頃はそうだったかな。と考えたが、あまり思い出せなかった。
今でも、三十代だから若いはずなのにそんなことを考えてしまった。これが、歳を取るということかな。と彼は考えた。
宮田は、ホームレスが見つからなかったので依頼主に頼むことにした。
しかし、時間を気にして後にすることにした。昼頃にしようと思い、助手が読んでるのと違う本を探した。
本は幾らでもあるのだが、読んでない本は勿論無い。そこで、記憶の薄れてきた本を探してたのだが、なかなか見つからない。
暫く探してやっと見つけた。
助手は、本を読むのに集中してこちらの様子に全く気づかなかったようだ。
譲ってくれることも少し期待してたのは、気のせいということにしよう。
そんなことを考えながら、近くの椅子に座り本を読み始めた。
「美鈴さん、わかりましたよ」
それを聞いて彼女は、部屋の中に向かっていった。
「宮田 悠斗って名前みたいですね。年齢は三十七歳。わかったのは、これくらいです。住所は、この市の」と言って地図を出して「ここです」と指をさした。
「わかりました。ありがとうございます」
「どういたしまして」
美鈴は部屋を出た。
住所もわかったから、家にいってみよう。もしかしたら犯人かもしれない。たまたま会った相手が犯人なんて、都合が良すぎる。とりあえず、今出来ることはこれしかない。
そう思い、彼女は宮田の家に向かった。
その家は公園の近くにあった。
大分古い感じの家だな。と思いながら、インターフォンを押すが反応が無い。
その後も何度か押したが、反応はやはり無かった。昼だし、仕事があれば出て来るわけが無いか。
そう考えて、また夜に来ることにしようと考えた。
どうせ、仕事は入らない。時間ならある。
そして、その場を去っていった。




