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それぞれの末路  作者: 途山 晋
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依頼

夜10時にも近く、暗い部屋でコポコポと音をたてる液体を覗いている白衣を着た男がいた。

集中しているようだが、その集中はこんな時間に相応しく無いインターフォンの音で途切れた。

「こんな時間に誰だろうか」と呟きながら、その男は玄関へと向かった。

電気を付けて、戸を開けるとそこには黒いスーツに身を包んだ男がいた。

「やっと見つけましたよ。宮田博士」とその男は言った。

宮田博士と呼ばれた男は、「なぜ、私の名前を?」と尋ねた。

「今、貴方の力が必要なんです。我々の願いを聞きいれてくれないでしょうか?」

そう言って、手紙のようなものを渡してきた。

質問に答えないし、強引な人だと宮田は思いながらそれを受け取った。

「返事は明日でいいので。それでは」

そして、男は暗闇の中へと消え去っていった。

宮田は、電気を消し鍵を掛けた。

静かに、ゆっくりと。


そして、宮田はその手紙のようなものを読ん

だ。

それには次のようなことが記されていた。

(株)峯田製薬

私は峯田製薬の社長、峯田 和徳という者だ。今回、君には私の望みを叶えるのに協力してもらいたい。

その望みは、不老になることだ。

私はこの地位を手にいれ、離したく無いと思

っている。今ある財産と、地位を保ちたいのだ。その為に君に協力してもらいたい。

そして、なぜ君なのか。それは、私の求めている人材に当てはまったからだ。

一つは、遺伝子について研究してること。

二つ目は、そこまで有名ではなく能力があること。

君は、遺伝子の研究をしていて、ある論文を出して学界を追放されたようだが、研究を続けていると知った。

更に、優秀な論文もいくつか出している。

そこで、君を選んだ訳だ。

もし、この提案を受けてくれれば研究費も負担するし、法に引っかかる事もなんとかしよう。

君に興味があれば、その旨の返事をして欲しい。

それでは、改めてよろしく頼む。

と、そこには書いてあった。

宮田は、馬鹿らしいとも思ったが魅力的だとも思った。

研究費も出して貰えて研究を出来るのだから、当然心が動かされない訳が無い。

そして、何より嬉しかった。

自分を必要とする人間がいる事が。

しかし、まずはしっかりと考えなければいけない。そう思った。

まずはおかしな点はないか。学界を離れた自分に頼ってくるのは少しおかしい。

他には、法にひっかかるところというのも気になる。もしかしたら、そういうことをさせようとしてるのか。

しばらく悩み、結局は受けることにした。

やはり、魅力的な提案だったし、これ以上失う物もない。

そして、信じたかった。本当に自分の力が認められていることを。

絶対に成功させてみせる。それが、道徳的に正しくないことだとしても。

宮田は、急いで手紙を書いてまた来るであろう、黒いスーツの男を思い浮かべながら、眠りに入っていった。

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