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それぞれの末路  作者: 途山 晋
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再会

美鈴は赤西家に着いた。

インターフォンを押すと、凄い勢いで母親が出てきた。そして、美鈴を見て少しがっかりしたようだった。

美鈴は、思わず「すみません」と言ってしまった。拓馬君じゃなくて。

母親は、「いえ、こちらこそ」と返した。

美鈴には昨日より、元気そうに見えた。

家に入ると父親が立っていたが美鈴を見て座った。父親も期待をしていたのだろうなと美鈴は思った。

「あの後に、犯人から連絡は?」と美鈴は尋ねた。

「いえ、まだ無いんです。でも、必ず帰ってくると信じてます」

そう答えた父親の目には硬い意思が宿っていた。母親の目にもそういう印象を感じられる。

「そうですね。絶対帰ってくるはずです」

美鈴も安心させるためにそう返した。

何か新しい動きがあるまで、静かに待つのも嫌だったので、拓馬君がどういう子だったのかを聞くことにした。

両親は、次々といろんなことを話して来た。

まだ、五歳なのだから記憶もあることが多いのだろう。話を聞いてることは美鈴には苦痛にはならなかった。

そして、そんな時に電話が鳴った。


「もうここから帰れるかい?」宮田は尋ねた。

「うん。大丈夫だよ‼」

さっきから、車の中でずっとそわそわしてた拓馬はもう外に出たくてたまらないようだ。

「そうか。じゃあ、ここでお別れだ。怪しい人にはついていくなよ?」

自分が言う台詞でも無いなと心の中で苦笑しながら宮田はそう言った。

「大丈夫‼そんな人にはついてかないよ」

俺についてきたから心配なんだけどなと思いつつ、頷きを返した。

「じゃあな」と言って車のドアを開ける。

「バイバイ」

そう言って拓馬は車から勢いよく出て行く。

宮田は、拓馬が曲がり角でいなくなるまで見ていたが、それを見届けると研究所へと車を発進させ、研究所へと向かっていった。


「もしもし?」拓馬の父親は緊張した様子で話しかける。

そして、昨日と同様に何か話していたが違うのは、父親の怒声が響かなかったところだ。

そして、彼は受話器を置いた。

「誘拐犯でしたか?」と美鈴は聞いた。

「はい。公園に拓馬君を降ろしたから、まだそこの近くにいるはずだ。迎えに行ってあげて欲しい。と」

「公園…ですか」最初に誘拐したところにまた戻したということか。

「早く行きましょう」と母親が言った。

「そうですね」と美鈴は同意し、三人は家を出た。

三人は、赤西家の車で一緒に行った。

運転してるのは父親だが、美鈴が止めようとするほどのスピードで運転した。

助手席には母親が座り、美鈴は後ろの席に座って周りにいないか探していた。

公園への道に行く途中で、美鈴は男の子を見つけた。

「あれ、拓馬君じゃないですか?」

美鈴は、後ろを指差しながら言った。

両親二人は前にしか目がいってなかったようだった。その為にすごい勢いで後ろを振り向いた。

美鈴は、思わず身を引いた。実際には背もたれのせいで引けなかったが。

「拓馬‼」

両親は、拓馬に気づいて口を揃えて言った。

そして、そこで車を停め二人は降りた。

美鈴は、路上駐車は駄目ですよ。と言うか迷ったが、空気的にやめようと思い二人に続いて降りた。

「拓馬‼」

二人は降りた後に、次は気づいてもらう為に呼んだ。

拓馬は後ろを振り向き顔に驚きを表した。

そして、「お父さん、お母さん‼」と喜びの声をあげた。

そして、三人は抱き合った。

美鈴は、それを少し涙目になりながら見ていた。そして、自分はここには関係ない第三者なのだと自覚した。この雰囲気を壊してはいけない。

彼女は、三人が落ち着くまで待つことにした。傍観者となって。

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