行方
美鈴がナンバーを調べることを頼んでおいた人のところへ行くと、予想外の反応だった。
「ごめん。昨日調べようとしたら、止められたんだよね。だから、わからないんだ。なんか、その事件はもう調べてはいけないとか言われてさ」
まさか、気づかれているとは思わなかった。
そして、あの車の持ち主も、もうわからなくなってしまった。
彼女は、やれることが少なくなっていくことに苛立ってきた。
もう、やれることは拓馬君が返されるか確認するぐらいしか無くなってしまった。
仕方ないと思い、礼だけ言って部屋を出て行った。向かうのは赤西家だ。
宮田は、そろそろ拓馬が起きたかなと思い部屋に行くことにした。もうそろそろ昼も近い。そして、本を読むのをやめて部屋に向かった。
C拓馬は、いつも通りに起きてまた寝ていた。彼もやはり疲れるのかもしれない。だからと言って拓馬の両親に会わせることは出来ない。
宮田が拓馬の部屋に行くと拓馬は起きてた。
彼が入ると直ぐに「もう帰れるの?」と拓馬ら尋ねた。
「あぁ、そろそろだよ。昼ごはんは家で食べるかい?」
「うん‼」
「そうか。じゃあ、直ぐに行く準備をしようか」
「わかったよ。あと、おじさんに言うの忘れてたことがあるんだけど」
宮田は不思議に思い、「なんだい?」と尋ねた。
「ずっと起きてたら、夜にピンポンって何回も来てたよ?」
「そうなのかい?誰だろうね?多分大丈夫。心配しないでもね。とりあえず、準備をしてね」
「わかった‼」と言って彼は身支度を始めた。宮田は、それを確認して部屋を出た。
そして、一体誰だろうかと考えた。
こんな夜に何の用だ?あり得るとしたら、依頼主の関係者だ。とりあえず、保留しとこう。
そして、彼も準備を始めた。しかし、特にすることは無いと思い拓馬の部屋に戻った。
そこには、準備を終えた拓馬がいた。
「よし、じゃあ行くよ」そう声をかけて彼は拓馬と一緒に外へと向かっていった。
「わぁ、外久しぶりだな〜」と拓馬は言った。
「そういえばそうだね。ずっと中で退屈になってたろう?」
「うん。少しね」と拓馬は笑って返した。
宮田は外に出て気になったのは赤い軽自動車があることだ。
なぜあるのかと考えて、依頼主の言葉を思い出した。確か、車を支給するって言ってたな。拓馬が言ってた夜のもそれか。
あとで、礼を言わないとな。そう思いながら彼はその車に向かっていった。
鍵は掛かってなかった。鍵は運転席に置いてあった。
拓馬を助手席に乗せて、目指すのは最初に出会った公園だ。