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壱 第3の死体

「あり得ない、もっと他に何かあるはずだ。」

彼はいつも僕を否定する。僕を、というよりは、彼は否定することを生きがいにしているとしか思えないくらい、否定する。自分がこの世で一番正しいと思っているみたいだ。だけど、現実はそうはうまくいくものでもなくて、彼はいつも痛い目に逢っている。それでも、なんとか大きな事故を起こさずにここまで来ている。彼は運がいいのだ。そんな彼も、刑事部長となり、大躍進を遂げている。本当に運がいいとしか思えない。

 第二の変死体が見つかって約一か月。第三の死体が見つかった。今度は被害者の自宅。いつもは元気な被害者男性がなかなか顔を見せなくなってしまったことを不審に思った大家さんが警察に連絡。そこから事件が発覚したのである。

「死後、約一か月、ってところですか。」

この道何年といわんばかりの古い鑑識の大御所が言う。彼は警察の中では有名で、鑑識親父と言われている。年齢は今年、50歳になるらしく、本当に親父になるような年齢になってきたが、彼自身、奥さんも子どももなく、本当の親父にはなれていない。しかし、もしかしたらっていうのがあるかも知れないことを考えると、何とも言えなくなる。本人は、70になってから嫁は探す、などと言っているくらいだから大したものだ。

 話がそれてしまったが、鑑識の話によれば、第3の死体も第2の死体と変わらない時期に殺されたという計算になる。つまり、連続殺人は続いているっていうことなのだ。もし仮に、あれから一か月、ずっと一日に一人殺されていた計算をするとこれまでに30人は犠牲になっている計算になる。そんな大量殺人、聞いたこともないが、これ見よがしに否定もできないので、ここはあえて死体捜索を優先事項とするのだろう。

 この死体、内臓の一つ、脾臓がすっかりなくなっていたという。


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