馬鹿返しの悪役令嬢
馬鹿にされた。この私こと、ステイルが。
私は悪役令嬢と呼ばれている。そのことに不満は無い。自ら、そうなることを望んでいる。
だって、馬鹿馬鹿しいから。ニコニコ笑顔を振りまいて、他人と仲良くする令嬢など、始末に負えない。
ところが、馬鹿にされた事件。それは、とある令嬢が私を犯罪者として告発した、というものだ。
その令嬢は沈着冷静。聖女だ!とすら言われている高潔な存在。
だから、誰も彼女に意見しない。彼女の名はアリア。
アリア曰く、私ことステイルが、侯爵家の男性を謀殺した。動機は男の関連。
だから、私とアリアは対峙することになったのだ。
「アリア嬢、この度の告発、どういう了見で?」
私は冷たい眼でアリアを見ながら言った。
「それはこちらの台詞です。ステイル嬢、何故貴女ほどの方が、謀殺など?」
真剣な表情で語るアリア。
私は見抜いた。演技である。こいつこそが真犯人である。
悪役令嬢の、直感。
私は、現状手にしているデータを、さっと頭の中で描いた。
「アリア嬢。私が、クロード侯爵家のクロード様を謀殺した。毒で。そういうことですね?」
「その通りです。毒殺など、最低の行為です。大人しく出頭を」
「はん。で、どうやって部屋の護衛二人を突破したのかしら?自室で殺されていたはずでは?」
「……なんとでもなります。護衛のキルバン殿と、エイハル殿は、クロード様のことを、あまり良く思っていなかったはず。だから、その二人が扉を開けていても不思議ではありません」
「なんでそん
なこと知ってんの?」
「え?」
「貴女を試したのよ。毒殺は情報で明らかにされている。それは間違いない。でも、いつ、キルバンとエイハルがいるなんて、知れたのかしら?私のところにそういう情報は、届いていないけれど」
「し、知っています。私に渡された情報では……」
「この私が調査していないとでも思っているの?届いてないよ、そんな情報。貴女が殺したんでしょ。どうせ、浮気されたとかその手の類だろ。どっちが悪役令嬢か、知れたもんじゃないね」
「言わせておけば!……そう、そうよ。わかったわ。キルバンとエイハルが私を売ったのね」
「どっちでもいいけど」
私は呆れ顔をした。
「見当違いもいいところ。貴女に相応しい言葉があるのだけれど、使ってあげましょうか?」
「言ってみろよ!!」
憤慨するアリアに、私は近寄ってささやいた。
「ざまぁ」




