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聖女と王家の呪い~婚約破棄されたので呪いは放置しますね~

アリス・メイガスは、代々聖女を産む家系で現時点唯一人の聖女。

しかし、義妹のメリッサの誘惑と嘘に騙されたベリウス王家の王太子であるアルスは、アリスを聖女の地位から追放し、国外にも追放する。

追放された、アリスはアリーと名前を変えて隣国ネビリウム王国で治癒師として仕事をしていた。

アリス元いアリーの腕前は評判となり、ネビリウム王国の王太子であるカイウスと対面し、面識がある為正体がバレてしまうが──?




「アリス・メイガス。貴様はメリッサを影でいじめ抜くという非道な行いをした! よって聖女の地位を剥奪! 婚約破棄! 国外追放だ!」

 と、元婚約者に言われて私はさっさと荷物をまとめて屋敷を出て、身分を隠し馬車に乗りました。


「王家の呪い封じてるの私なんだけど、あの馬鹿(アルス王太子)すっかり忘れてるのかね。まぁ、何もできない妹を聖女にしたんだからこれから国は荒れるぞ」


 と呟き隣国のネビリウム王国へと向かいました。


 そして、とある村に到着しました。

 辺境の地故、魔物が来てけが人が多く出ているという村に。


「すみません、治癒師を募集してると聞いたのですが」

「お嬢さん、本当に治癒できるのかい?」

 と、治療をしている方がおっしゃったので、私は代わり、治療しました。

 一瞬で、綺麗になり元通り。

「おお、おお! 動く、動くぞ、元通りに!」

「よし、採用だ! これからバリバリ働いて貰うよ! ところで名前は?」

「はい、頑張ります。えっとアリー、です。」

「よし、アリー。一緒に頑張ろうね!」


 私は隣国の村で身分を隠し名前も偽り、生活することになりました。



 半年程生活して、生活にも慣れていると、立派な貴族服を身につけた男性がやって来ました。

「凄腕の治癒師がいると聞いたのだが」

「カイウス殿下! はい、こちらに! アリー! 王太子様がお見えだよ!」

「は、はい……」

 私はちょっとびくびくしながらカイウス殿下と対面しました。

 するとカイウス殿下は、驚いた表情をしました。


──ヤバい、これ、バレた──


「済まないが、アリー嬢と二人っきりで話したい」

「分かりました、奥の部屋をどうぞ」


 そう言っておくの客間へと移動しました。


「どういうことですか、ベリウス王国の聖女アリス」

「はははは……その実は……」

 私は正直に話しました。


「アルス王子は何を考えている? 影はちゃんと使ったのか? そもそも、ベリウス王国の王家の呪いを忘れたのか?」

「多分忘れているのかと……」

「……だろうな、ベリウス王国は水は濁り、食べ物は腐り、人々は痩せ細っていると聞いた。その状況を聞き、各国の代表と話し合いに行っていた女王陛下が急いで帰ろうとしていると」

「アルス王子廃嫡だけじゃすみませんよねぇ」

「そうだな、ところでベリウス王国に戻る気は?」

「女王様に悪いけどありません、父も義妹の嘘を信じ切ってましたし、周囲には味方はいませんでしたのでそんなところに帰るつもりはないです」

「では、宜しければ、我が国の為にその力を振るってはくれないだろうか?」

「はい、良いですよ」

「だが、今の立場だと各地を回れないな、よし我が国の聖女として名乗るといい。ああ、勿論今回は本当の名前でね」

「どうしてですか?」

「宜しければ、私と結婚を前提に付き合っていただきたい、ベリウス王国に留学してた時から貴方が恋しかったのです」

「まぁ……」


 学校に通っていた頃を思い出します。

 アルス王子に蔑ろにされていた私を大切にしてくれていました。


「でも、カイウス王子。貴方は婚約者がその後できたのでは?」

「ははは……隣国の王女でしたが……従者と駆け落ちしてしまい」

「あらまぁ」

「なので傷心期間ということで今はフリーです、どうかこんな私ですが」

「いいですわ、カイウス王子、貴方の婚約者となりましょう」

「感謝します、アリス」


 それからカイウス王子に案内され、王都へと向かい、聖女認定と婚約の契約を交わし、私は正当なネビリウム王国の第一王子の婚約者で、聖女の地位を得ました。


 カイウス王子は私が行く先々を共にし、一緒に病人やけが人の治療をしました。


 私の負担も減り、そしてカイウス王子は国の状況を把握できる良い機会だったと語りました。

 私が聖女になり、結界を張ったことでけが人も減少、皆が安心して働ける様になりました。





 一方──

「アルス! 私が居ない間に馬鹿なことをしたな!」

 ベリウス王国の王宮ではアリア女王による裁判が行われていた。

「ば、馬鹿なこととは何事です母上⁈」

「そ、そうです女王陛下‼」

「何故アリスを無実の国外追放し、嘘つきの何の力も無い小娘と婚約した!」

「へ? ですが、メリッサはメイガス家の──」

「馬鹿者! その娘にメイガス家の血は一滴も入っておらぬ! メイガス家の血筋は母方で、父親は娘婿だ! アリス以外血を引く者は現状おらぬ!」

「で、ですがそれが何故……」

「馬鹿者‼」

 アリア女王は更に大きな声で息子のアルス王子を怒鳴りつけた。

「我が王家の呪いを忘れたか! 昔の国王が自分の地位を盤石にする為に、王弟を無実の罪で投獄した際、王弟が『ベリウス王家の呪いあれ! ベリウス王国が存在する限り、私の呪いは続くだろう、国は荒れ、人々は痩せ細り、魔物が活性化し、瘴気が噴出するであろう!』と!」

「あ、あんなの作り話……」

「ではないからこの様ではないか!」

 アリア女王は怒鳴り付けた。

 其処へ集団が入ってくる。





「アリア女王陛下、失礼いたします」

「其方は、ネビリウム王国の第一王子、カイウス殿ではないか⁈ 我が国に何用だ! 今は貴殿らの相手を──」

 私はフードを脱いだ。

「アリス⁈」

「義姉様⁈」

「アリス⁈ 一体どういうことだ⁈」

「彼女は国外追放されて我が国に来たのです、そしてその働きで我が国の聖女となり、また私の婚約者──いえ、妻となりました」

「ふ、ふざけるなよアリス!」

「ふざけてるのは貴方でしょうアルス王子。義妹の言うことを鵜呑みにして私から聖女の地位を奪い、婚約破棄し、国外追放したのは貴方でしょう?」

「それは……」

 私の言葉に反論できないアルス王子。

「アリス姉様ばかりズルいズルい!」

「ズルい? 義母の言う通りに動いて私から何もかも奪った貴方には言われたくないわ」

 メリッサに冷たい視線を向けます。

「アリア女王陛下、どうでしょう、父上からの打診ですが我が国と合併するのは」

「それは吸収されるのとどう違う?」

「ベリウス王国がある限り呪いが続くなら無くなってしまった方が民の為です、それに貴方の残る跡継ぎは幼い弟二人と娘一人のみ、メイガス家の血を引くアリスは私の妻ですしね」

「……」

「民を思うなら、どうかこの要求をお飲み下さい。ああ、ご安心をアルス王子廃嫡、現メイガス家の当主夫妻とメリッサ嬢は爵位没収、共に財産も没収して国外追放しますが、アリア女王には侯爵の爵位を用意します、そしてここの統治をお願いしたい」

「……分かった要求をのもう」

 苦虫を噛み潰した顔でアリア女王は仰いました。


「と言う訳だ、其処の連中を連れて行け!」

「離せ! 母上、母上!」

「いやぁ!」


 私達は王宮を後にしました。

 こうして、ベリウス王国は無くなり、ネビリウム王国の一部となりました。

 すると、あれほど荒廃した土地や苦しんでた人々が嘘のようにいなくなりました。

 土地は以前よりも良くなり、人々は気力を持って生きれるようになりました。


「良かったのかい、仮にも父親だったんだろう?」

「だからです、母が居なくなってすぐ再婚し、継母とメリッサを家に入れて好き勝手させたのは許せませんから」

 父の追放の件を報告された私はそう答えました。

「大丈夫だよ、アリス、もうここには君を傷つける者は居ないから」

「カイウス様……」

 私達はそっと口づけを交わします。

「愛してるよ、私の可愛いアリス」

「愛してます、私のカイウス様」


 豊かな国土となったネビリウム王国を見ながら私達は愛を誓い合いました──







久々、気分転換に短編を書いてみました。

宜しければ読んでくださると幸いです。

さくっとよんで楽しんで頂けたら幸いです。

では。

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― 新着の感想 ―
うーん、かんっぜんに自業自得ですねこれは!!バカな義母にクズな妹、それに騙される父もバカ、なぜクズ妹にころっと騙されたのか不思議でなりません。差別しろとは言いませんが、実の娘のことをどうして信じないの…
めでたしめでたし。困ったことになる民はいなくなったのですね。良かった。 前書きでカイウスがネビリウムではなくベリウス王太子になってます。
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