初めての出会い
真守が目を開けると、そこは見慣れない森の中だった。周りを見回しても、日本の風景とはまったく違う。木々は異様に高く、葉の形も奇妙で、森の中は不気味なほど静かだ。
「ここは…どこだ?」
真守は困惑しながらも、歩き出すしかなかった。どこかに人がいればと思い、森を抜けようとするが、道に迷いかけていた。彼は近くにあった水面に映る自分の姿を見て驚いた。そこに映っていたのは、20代前半の若々しい自分の姿だった。そんな自分の姿に驚いていると、遠くから軽やかな足音が聞こえてきた。
「あなた、大丈夫ですか?」
澄んだ声が耳に届き、真守が振り返ると、そこには一人の女性が立っていた。彼女は美しい金髪を肩に流し、青い瞳が印象的だった。服装はこの世界のものらしく、真守には少し異質に映った。
「ええっと…私はここがどこかもわからなくて…」
「あなた、もしかして異世界から来たのかしら?」
エリスは微笑みながら、真守に歩み寄った。彼女の顔には恐れや不安の色はなく、むしろ親しみを感じさせる優しい表情だった。
「え? 異世界? どうしてそれを…?」
「この辺りではたまにそういう人が現れるのよ。私はエリス、この近くの町に住んでいるわ。もしよければ、その町まで案内するわ。」
真守は驚きながらも、彼女の提案に乗ることにした。エリスは真守の不安を察したようで、彼に笑顔を向けながら歩き出した。
道すがら、エリスはこの世界について話し始めた。町には商人や職人が集まり、日々の生活が営まれていること、そして真守のように異世界からやって来た人々が時折現れることがあるという話を聞くと、真守は少しだけ安心した。
まずは生活の基盤を整えようと、真守は町の中心にある役所を訪れた。そこには、木製の受付カウンターがあり、役所の職員が忙しそうに書類を処理している。
「働くための登録をしたいんですが…」
真守が受付の女性に声をかけると、彼女は無表情で書類を一枚差し出した。
「ここに名前と年齢、得意なことを書いてください。」
真守はペンを握り、少し考えてから「保育士」と書き込んだ。しかし、彼女はその単語を見て眉をひそめた。
「これは何ですか?」
「子どもたちの面倒を見る仕事です。幼い子どもを安全に保育し、遊びや学びを通じて育てる職業です。」
「そんな仕事は聞いたことがありませんね…。まあ、登録しておきますが。」
彼女は怪訝そうにしながらも、書類を受け取り登録を済ませた。真守は少し不安を抱えながらも、新しい生活が始まる期待感で胸が高鳴った。