8/19
カミサマ、ホトケサマ、ノゾムサマ
その後、なんとか無罪を勝ち取った泉水は満身創痍で警視庁を出た。
空はすっかり真っ暗だ。
「もう、なんで一日に二回も取り調べられなきゃいけないのよ。真っ暗じゃない。こんな真夜中に暴漢に襲われたりしたら、警察はどう責任とってくれるってのよ!」
泉水の嘆きは夜の空に吸い込まれていく。そして、そのままガックリと頭を垂れた。
「所持金も心許ないし、家は焼けちゃったし。まずは住むところを探さなくちゃだな」
泉水はとぼとぼとあてもなく歩く。今日は久々にカプセルか漫喫かな、なんて思いながら近くのコンビニに入ったとき、ポケットの中のスマホが振動した。
『昼間言ってた黒咲さんの名前と電話番号と住所、送っておいたよ』
「パパ大好き!」
泉水は感動して半泣きになる。
「助かったー」
泉水は心からホッとした。今日の寝床が見つかったと。
『泉水ったらよっぽど黒咲さんのことが気に入ったんだねぇ』
「そうなの。じゃ、そのうち帰るから」
『楽しみにしてるよ。おやすみ』
泉水はニッコリとした笑みをスマホに向けて、ガッツポーズをとった。
「うっし! 寝床確保だぜ!」