閑話 クルハside
5、6話のクルハ視点みたいな感じです。
どうやら、人が入ってきたようです。入ってきたのは銀髪の誰もが見惚れてしまうような美少女でした。この人がご主人様なら大丈夫かなと思いましたが、人は見た目で判断してはいけないとお母さんに教えてもらいましたし、油断はしません。
どうやら話を聞いていると、戦闘ができる奴隷が欲しいとのことでした。私は『剣技』のスキルレベルはLv9ですし、戦闘ができますが、ステータス隠蔽で隠してありますし、私は選ばれないでしょう。
どうやら、私を買うとのことでした。なぜ私を買うのでしょうか。ステータス隠蔽で隠しているのに。まさか、『鑑定』持ちでしょうか。しかし、『鑑定』を持っている人は、10歳の『鑑定の儀』で明らかになった時にすぐに、王都『デルミス』に連れて行かれるので誰1人として市民に『鑑定』持ちはいないはずなのですが。警戒しておきましょうか。
「私は、レナ。よろしくね。」
「こちらこそよろしくお願いします。ご主人様。」
私はこのご主人様が心配になってきました。奴隷への常識を教えた方が良いのかもしれません。幸い、私は元冒険者なのである程度の常識は知っていますし。
どうやら、ご主人様は1泊小金貨1枚と銀貨2枚もする宿『ミカミノ』に泊まっているようでした。平民からしたら、こんな宿は1年に1回泊まれたら凄いくらいですのに。
宿に入ったら、すぐさまお風呂に連れて行かれました。まぁ、身なりは綺麗にしないといけませんしね。
どうやら、ご主人様も一緒に入るようです。私は勝手に服を脱がされて、ご主人様も服を脱ぎ始めましたが、見慣れない物を身につけていました。どうやら、下着っぽくはありますが私には分かりません。
わしゃわしゃと髪を洗われています。しかし、この石鹸は凄くいい香りがします。
ご主人様の目が私の胸とご主人様の胸を行ったり来たりしています。大丈夫ですよ。まだ、大きくなりますって。
お風呂から出たら、ご主人様が私用の下着がないと言って、すごく大きな服を渡してきました。
「採寸してもいいかな?」
「はい。大丈夫です。」
採寸?をすると言って、私の胸や腰などを変な線がついた紙のような物で、あちこちを巻き付けられました。これには、なんの意味があるのでしょうか。
すると、何もないところから、ご主人様がつけていたものを出しました。ご主人様は、『アイテムbox』スキルを持っているのでしょうか。『鑑定』と『アイテムbox』スキル持ちなんて初めて見ました。
「クルハ、これつけれる?」
流石に、分かりませんし、正直に答えておきましょう。
「すいません。わかりません。」
2回ほど聞いて、やっと理解できました。つけるのが難しいのですよ、この『ぶらじゃー』は。
すると、またご主人様は1人で唸り始めました。ご主人様は不思議な人ですね。
おや?また、アイテムboxから何か取り出したようです。
「クルハ用に服を作ってみたけどサイズが合ってるか確かめていい?」
服を作ってくれていたようですが、どうしても作っているようには見えませんでした。もしかしたら、不思議なスキルを持っているのかもしれません。
まずは、『じゃーじ』なる物を渡されました。初めて聞く服ですし、何よりこの服はとても動きやすそうです。しかし、奴隷風情に渡してもいい代物なのでしょうか。これだけでも、金貨30枚はありそうなのに。
「凄いですねご主人様。この服はとても動きやすそうです。しかし、私みたいな奴隷風情にこんなもの渡してしまっても良いのでしょうか…」
「大丈夫。なんなら、他の服も作ったから。」
なんと他の服まで作っていたそうです。もう、驚きを通り越して呆れました。
「そんな。先ほどの服でも十分ですのに、こんなにも素晴らしい物をいただいたら…」
「貰ってよぉ。どうせ、私じゃ着れないだけだし。」
仕方ないですね。しかし、こんなにもいい物を戴いたことですし、ご主人様には全力で恩返ししないとですね。
「クルハ〜。クルハ専用の武器を作りたいんだけど何か要望ある?」
いい服まで戴いて、さらに武器まで戴くなど、流石に奴隷の扱いではありません。ここはしっかりと断っておきましょう。
「いえ、武器くらいは、自分で調達しますから。」
「ダメ。クルハはそれでいいんだろうけど、私がダメ。クルハは戦闘奴隷なんだよ?あっさり死なれちゃったら困るじゃん。」
うっ。これを言われると何も言い返せません。仕方がありません。申し訳ないですが、戴くことにしましょう。
「確かにそうですね。では、お言葉に甘えてさせて頂こうと思います。私が使う武器は存じ上げないかもしれませんが、『刀』と言う物です。私が元々冒険者の時にダンジョンで手に入れた物です。一応、最東の国『ジャーパン』で作られているようですが、ここからだと、馬車でも1年くらいかかりますし、なにより海を渡らないとジャーパンに行けないので、まぁ諦めることにします。まぁ、ロングソードでいいですよ。刀を使う前に使ってた武器ですし。」
「刀なら作れるし持ってるよ?」
「ほんとですか!?」
本当ですか!?まさかこの街に『刀』を作れる人がいたなんて!
もし嘘だったら、やんわりとですが怒りますよ。
「お、落ち着いて。」
あ、興奮しすぎてしまいました。一旦深呼吸しましょう。
「今からでも出そうか?」
ありがたく見せていただくことにしましょう。
「すいませんがお願いします。」
「はい。これが私の刀。大通連って言うんだ。」
凄い。感想が出ないくらいには凄いです。ただ、これだけはわかる気がします。ものすごく品質がいいと。これだけ凄いと、最高品質はあるかもしれないですね。
「凄いですね。私が使っていたものよりも凄く強そうに見えます。私のは品質が『A』でしたし、これはもしかして最高品質の『SS』ですか?」
「品質は『SSS+』だね。正直言って強すぎるから使わないけど。」
やはり、ご主人様は『鑑定』スキル持ちのようです。鑑定は王都でしか出来ない筈ですし、何よりあそこは鑑定で高品質なものが出ると、貴族がでしゃばってきますからね。鑑定持ちで間違い無いとみても良いでしょう。しかし、ご主人様にも秘密がありそうです。このことは黙っておきましょう。あと、普通に『大通連』を触ってみたいですね。もしよければ1太刀くらいは振らせて欲しいです。もしよければですけど。
「えぇ!?『SSS +』なんて初めて聞きました!まさか、こんなにも素晴らしい刀があるなんて!持ってみてもいいですか?」
「んー多分触ることしかできないと思う。使用条件が私限定だし。」
使用条件がある刀とは…初めて聞きました。しかし、是非とも触らせて欲しいです。
「触ってみてもよろしいですか?」
「もちろんいいよ。」
では、触らせて戴きます。
結果から言うと、びくともしませんでした。まるで、そこの空間に貼り付けられているとでも思ってしまいそうでした。コレには少し驚いてしまいました。
「凄いくらいびくともしませんでしたし、少し驚きを隠せません。」
「まぁ、元々クルハ用の刀も作るからそれで我慢してね?」
なら、この刀の色違いにしてもらいましょう。我儘かもしれませんが、寛容なご主人様なら、きっと承諾してくれる筈です。
「なら、もしよければこの刀の色違いにしてもらってもいいですか?」
「わかった。じゃ、作ってるから、少し待ってて。」
どうやら、今から作り始めるようです。集中しているようですし、じっと見ていましょうか。
ん…どうやら私は寝てしまっていたようです。ベッドで寝かされていますし。ふと、左手が動かないことに気がつくと、横にはご主人様がいました。無理に手を退けて起こしてももうしわけないですし、もう一度寝ましょうか。
お読みいただきありがとうございます。よかったら評価、ブクマもしてってくださいね。投稿をサボらなくなりますよ。