読めぬなら 殺してしまえ ほととぎす
古今東西のホトトギスの漢字表記
・杜鵑
・杜宇
・杜鵊
・杜鵙
・杜魂
・杜魄
・帝魂
・濁魂
・蜀魂
・蜀魄
・蜀鳥
・蜀天子
・楚鳥
・望帝
・聖帝
古代中国の蜀の第4代君主の名「望帝杜宇」から。家来である鱉霊の妻と不貞をはたらいたために望帝を退位させられ、国を逃れた杜宇。ついに復位が叶わず亡くなってしまうが、亡魂をホトトギスの姿に変えたという伝説がある。このことから、四川省周辺の地域では、今日までホトトギスが鳴き始める毎年2月に杜主君が祭られている。中国語で「鵑」は「クェン」と発音し、ホトトギスの鳴き声を表している。
・不如帰
・不如歸
・催帰
・思帰
・思帰鳥
・怨鳥
・怨魄
「不如帰」は本来「不如帰去」と表記し、「帰り去くに如かず」と読む。これは、ホトトギスとなった杜宇の魂の、帝位を取り戻したいという想いに由来する。実際のホトトギスの口が赤いのは、帰りたいと鳴いて血を吐いたからだと考えられている。また、「不如帰」や「思帰」はホトトギスの鳴き声に由来するとも言われている。
・魂迎鳥
・迎魂鳥
・玉迎鳥
・冥途鳥
・無常鳥
・魂九十九鳥
杜宇の伝説から転じて、やがてホトトギスが此岸と彼岸を行き来する鳥と見なされるようになったことから。「恋し鳥」・「戀し鳥」といった別名もある。三十六歌仙の一人である紀貫之は、「ほととぎす けさ鳴く声に おどろけば 君を別れし 時にぞありける」(今は亡きあなたの命日の頃にホトトギスの鳴き声を聞いた)という句を詠んでいる。
・時鳥
・初時鳥
・山時鳥
・時津鳥
・春生鳥
・卯月鳥
・三月過鳥
・夏鳥
・夏雪鳥
・勧農鳥
・勸農鳥
・早苗鳥
・死出田長
・四手田長
・土田田長
・田鵑
・田長
・田長鳥
・田中鳥
・田歌鳥
冬は雪、秋は月、春は花、夏はホトトギスと言われるように、日本では古来より夏の訪れを告げる鳥としてホトトギスに親しんできた。このことから、「勧農鳥」や「早苗鳥」などは田植えの時期を知らせる鳥という意味を込めて名付けられている。
・菖蒲鳥
・文目鳥
・橘鳥
ホトトギスが鳴く頃と同時期に咲く花から。季節と結びつけられた異称はそのほとんどが日本の歌人によって名付けられている。
・妹背鳥
・姉帰
・姊帰
ある貧しい姉妹が芋を焼いていたとき、姉が芋の周りの硬い部分を食べ、内側の柔らかい部分を妹に食べさせた。しかし、妹はこれを姉が先に柔らかいところだけ食べたと勘違いし、包丁で姉を殺してしまう。後で自らの過ちに気付いた妹はホトトギスに姿を変え、「包丁かけた」と鳴くようになったという岩手県の言い伝えから。
・沓手鳥
・沓代鳥
・沓直鳥
・沓公鳥
・沓公
・沓乞
「沓」は「くつ」と読み、靴や履と同義。日本の民話「モズとホトトギス」で、ホトトギスが沓を作る職人とされていたことから。出典は「古今和歌集・灌頂口伝」。
・霍公鳥
・霍鳥
・保登等藝須
・貌鳥
・鳲
・呼子鳥
・容鳥
「万葉集」・「古今和歌集」に収められた歌から。「保登等藝須」はそのまま万葉仮名である。「鳲」・「呼子鳥」は「よぶこどり」とも言い、古今伝授の三種の鳥の一つを指す。
・鵊
・䳌
・鶗
・鴂
・嶲
・子雋
・嶲周
・尸鳩
・峡禽
・寃禽
・鶗鴂
・鴶鵴
・鳲鳩
・鷤䳏
・鵯鵊
・鷶(危+鳥)
「漢書」「史記」「思玄賦」「広雅」などの古代中国の文書から。当時の発音ではほぼ全ての名前が「キ」の音で終わることから、これらの表記は鳴き声に由来していると考えられている。ちなみに、「雋」には「うまい鳥の肉」という意味がある。
・子規
・子鳺
・子鵑
・秭帰
・秭鳺
・鵜䳏
・甎鳩
・布谷鳥
・布谷
・布穀鳥
・布穀
ホトトギスの鳴き声を漢字に当てた擬声語。「子規」は、明治を代表する俳人の一人である正岡子規の名前の由来となった。結核によって喀血した自身と、鳴いて血を吐くという言い伝えのあるホトトギスを重ね合わせ、これを俳号とした。
・射干玉鳥
・常夜鳥
・夜直鳥
ホトトギスの体が射干玉のように黒いことから。「射干玉」は「ぬばたま」と読み、ヒオウギという植物の黒い実のことを指す。また、黒の連想から夜の字も当てられた。
・偶鳥
・玉鳥
あまり人目につかないことから。「たまさかどり」とも読む。「偶さか」は「稀」や「偶然」と同義。
・夕影鳥
・黄昏鳥
夜によく鳴くことから。「黄昏鳥」には、この世とあの世を繋ぐホトトギスのイメージをなぞらえて名付けられたという説もある。
・陽雀子
・阳雀子
・豆仔鳥
・周燕
中国で用いられる表記。由来は不明。
・郭公
・山郭公
カッコウと容姿が似ていることから。実際、ホトトギスは生物学的にはカッコウ目カッコウ科に分類される。
・仙客
本来の「山中に住む仙人」という意味から。「せんかく」とも読み、鶴のことを指す場合もある。
・鴛鳥
「おしどり」と読むのが一般的。由来は不明。
・百舌鳥
「もず」と読むのが一般的。ホトトギスもモズも神の使い・魂の救済の鳥として同一視されていたことから。
・倶伎羅
・倶尸羅
・瞿翅羅
・拘耆羅
・拘枳羅
・居枳羅
・鳩夷羅
・苦歸樂
・好声鳥
・妙音鳥
・美音鳥
・逸音鳥
・黄鳥
本来は「迦陵頻伽」という仏教の想像上の鳥のことを指すが、日本ではホトトギスと解釈される。「くきら」や「くしら」という読み方がある。後から音に合わせて漢字が当てられたために表記に種類が多い。また、鳴き声が美しいことから意訳で名付けられた表記も多い。
・襤褸鳥
ホトトギスの容姿がぼろを着ているように見えることから。「襤褸」は「ぼろ」とも読む。出典は平安時代中期の辞書「和名類聚抄」。
・鏡暮鳥
・五露鳥
・百声鳥
・百聲鳥
平安時代中期の勅撰和歌集「後撰和歌集」に収められた歌から。
・童子鳥
平安時代中期の勅撰和歌集「拾遺和歌集」に収められた歌から。「うないこどり」とも読む。
・謝豹
・謝豹鳥
室町時代前期の漢詩文集「蕉堅藁-山居十五首次禅月韻」から。中国の伝説上の生き物「謝豹虫」の天敵にあたる鳥で、ホトトギスの鳴き声を聞いただけで謝豹虫は脳が破裂して死んでしまうのだとか。
・網鳥
・賤鳥
江戸時代前期の連歌集「和歌呉竹集」に収められた歌から。「網鳥」は、万葉集の歌「霍公鳥聞けども飽かず網取に獲りて懐けな離れず鳴くがね」の「網取」を由来とする説もある。
・綱鳥
江戸時代中期の狂言本「大蔵虎明本」から。虎明本狂言では「つなとり」と読まれる。
・常言葉鳥
・常詞鳥
室町時代の連歌用語辞書「藻塩草」から。
・別都頓宜寿
平安時代末期の仏教の経典「地蔵菩薩発心因縁十王経」から。厳密には、この「別都頓宜寿」は鳥の名ではなく鳴き声を表している。
・杜鵑草
・杜鵑花
・郭公花
・油点
・油点草
・映山紅
植物の「ホトトギス」には、この漢字が使われる。花の模様がホトトギスの羽毛の斑点と似ていることからこの名前がついた。また、ホトトギスが鳴いて吐いた血によって花弁が赤く染められたという言い伝えもある。




