少女からの依頼
少女の名前はルーと言い、ザラマル男爵の奴隷で2年ほど前から奴隷として働いているらしい。
依頼主はもともとザラマル男爵で、冒険者と昔いざこざがあったらしく、ギルドには依頼を出したくないということでこのような形での依頼になったという。
ルーに任せた理由については、ルーにはよくわからないとのことだった。昔から使えているわけでもないのになぜ自分にまかせたのかはルーも不思議に思っているそうだ。ただ、男爵はとても焦っているようだった。という。
「それで、場所は、、ルドラ平原?」
「はい、ルドラ平原の奥に大きなゴブリンの集落があるのです。」
「でも、そこは帝国管理地で近くに村もあるから、帝国が対応するんじゃないのか?」
ルドラ平原とはバレット帝国の南に位置し、イガルガンド将軍に帝国から報酬として与えられ、イガルガンド将軍の軍が管理しているため魔物の発生率が1%未満という、帝国1安全な平原として様々な村が移住してきたことで有名だ。そんなところで大規模なゴブリンの集落ができるとは思いにくい。
「すみません、詳しいことは私はわかりません、、。しかし、このままだと近くの村の人たちが、、」
「まあ、事情は分かった。とりあえずは、ルドラ平原に向かえばいいんだな。」
最悪の場合はエレナも呼び対応すればいいだろうと思い、依頼を受けること改めて決意した。
「は、はい!依頼達成時は男爵様のお屋敷までお願いします。」
そういうと少女は2枚の紙きれを渡し、路地へと去っていった。
紙切れの内容を確認すると1枚目は男爵が用意したと思われる丁寧な字で書かれた依頼書。
2枚目は先ほどのルーが書いたと思われる字で、つたないながらも書かれた地図であった。
地図をよく見ると小さな字で「がんばれ」と書いてあるのを見つけた。
先ほどまで、少女を疑っていた自分が恥ずかしくなるような少女の健気さに微笑みながら、俺はルドラ平原へ向かった。
「やりすぎたかな、、」
私は家で一人悶々としていた。
確かに、アルは働かないし、ぐーたらばかりしているし、ちょっと無責任なところはある。
しかし、アルにはアルなりに何かわけがあるかもしれない。
それなのに、いきなり打って、外に出すのはどうなのかと考えると明らかにやりすぎである。
「アルが帰ってきたら謝ろう!」
ビシッと自分の頬を叩いて、気を引き締める。今日はアルの好きなお菓子でも作ろうと決めた。
「アル、だいじょうぶかな、、」
自分で外に出しておいて随分な言いようではあるが、一人になると幼いころの魔界を思い出し、とても心配になる。幼いころ、魔界では自分の周りの人が1度出ていくと帰ってくることは少なかった。
アルは、歴代最強と言っても過言でもないほどのとても強い元勇者である。なので心配する必要はあまりないのだが、とても心配だ。
「もしかして、私のこと嫌いになって出て行ってるかも、、、。」
一度悪いことを考えてしまうとずっと悪いことを考えてしまうことは私の悪い癖である。
そんなことはないとわかってはいても考えてしまう。
「んー、、、。」
そんなこんなで私は悶々としたまま、アルの帰りを待つのであった。