勇者と魔王
「初めまして、魔王様。」
「ええ、初めまして勇者様。」
ここは魔王城20階層。
部屋には、煌びやかな装飾を施された椅子に腰かけた少女が一人と、
いかにも場違いな装いをした少年が一人。
「仲間はお連れしていないのかしら」
「あいにくお友達がいないもんでね。そちらさんこそ、護衛の騎士様はいないのか?」
「お生憎様、あなたにすべて潰されてしまったわ」
「なるほど、んじゃあ後は魔王様だけか、」
「まあ、そういうことになるわね。ところで、一つ質問をいいかしら?」
「ん?なんだ?」
「その場違いな服装は何?」
そう、彼の場違いな服装とは。
見るからに普通のズボンとTシャツ。フード付きの黒っぽいローブ。腰にかけた地味な片手剣。
のみである。
「普通は、勇者といえば高そうな剣に高そうな鎧をきているものでしょう?!それなのにあなたは、、
ばかにしているのかしら?」
「いやいや、んなこたねえよ。これが俺の一張羅ってだけさ」
「ここまで来られたのだから実力は認めるけど、、普通ならあなた死ぬわよ?」
「まあ、見た目はあれだが性能は一級品だよ。安心しな」
「そう、まあ、あなたが死のうが生きようが私には関係ないのだけれどね。」
「そっちから聞いてきたくせにひでえな。まあ、いいけどさ」
「あなたはいつもみたいにいきなり突っかかってきたり、罵声をあびせたりしないのね。」
「まあな、俺は魔王を倒しに来たわけじゃないしな。」
そういうと少年は腰のバックから一枚の洋紙を取り出した。
「俺と契約しないか?」