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ボクノワタシノひとこま。  作者: 磨雄斗
4/9

写真と甘さとスマイルと

スマイル


笑顔ってやっぱええ。

見てると幸せおすそ分けされるし、元気になる。

特に、ああいう人のは……

てか、笑顔って輝くん?

なんてことや。


ウチは、スマホの中の写真を見て驚いた。

ここが塾の休憩室で、しかも1人でおらんかったら絶対叫んどった。


笑顔が…笑顔が、輝いとる!


ついこの間終わった学園祭。その直後に撮ったクラス写真が、クラスのメールグループに送られてきた。


そこに写る男子生徒の1人が、その、気になってて、な、その人の笑顔がめっちゃ輝いとるわけ。

あ、気になってるだけやからな?ここ大事。


まぁそれより、ほんっまに笑顔輝くとかアホちゃうか思っとた。姉さんの少女マンガのやつとかほんまバカにしとった。謝るわ。ほんますんません。


「なぁに1人で頷いてんだよ、ナオ」

「!ハヤ!」

「……ふぅん、3組楽しそうだな」

右手をウチの頭に置き、そうつぶやく幼なじみ。田邊迅(たなべはや)。焼けた肌と高身長のサッカー部で、ノリもいいから男女共に人気が高い。


「んで、なに、好きなヤツでもいるの?」

「なあっ、おらんわ!」

「ナオがなぁっ、って言う時は大抵当たってんだよ。ツンデレ下手か」

「せやからツンデレしてへんってやっ、ちょ、スマホ!!」

ぶぁっとスマホを取られる。


「うーん、お前好みなのは……」

「やーめーえー!まだ好きな人おらんのー!」

「どーだか。お前、写真見てた時()()()みたいにニコニコしてたじゃねぇか」

「してへ……してへん……よ?」

自信がなくなってく。

確かに、写真を見てた時、あの時みたいに幸せな気持ちに包まれてた。まだ完全に「好き」の気持ちになってないって思っとった、けど………もう、なっとんのか?


「……認めんの?」


静かに声が聞こえる。

ウチは何も答えられへんかった。


失望されたかな……やって、早すぎるもんな。まだ半年しか経ってへんのに、もう心変わりしてるなんて。

い、いや、こっちの方から別れを申したんや。心変わりしたなんて当たり前やろ。別に下向くことなんかない!ない………


「なに、落ちこんでんの?」

「……な、落ちこんでへん」

「また『な』って言った。分かりやすいんだよ本当……」

ぐ、と顔を上げさせられる。


まだ、見つめるのも苦しいハヤの顔。またそんな、幼なじみじゃないような表情する。

なんやそれ。もうウチらは何ともないやろ?ただの幼なじみやろ?なぁ?

なのになんで、なんでそんな近づいて、く、る、ぅ?


「ん」


……



…………



…………………



…………………………


…………………………………な



長い長い長い姉さんの少女マンガが顔負けするくらい長いんやけどてかハヤ何しとんここ塾やよ塾誰か来たらどないすんねんほんまつきあってたときより深いんやけどめっちゃ甘くなりゅる


「るぁめぇ!!!何するんや!!」

「ふは。あ、悪い、なんか想いがどうしようもなく溢れて」

「そ、そういうとこや!そういうあーるじゅーはち的なことやるのがほんま嫌なんや!ウチらまだ17にもなってへんよ!?もー、やから離れたんよ!これ以上やったらウチ戻れへんから!」

「……は?」

「やから気になる人頑張って作ってみたんや!けどどーっしてもハヤのこと忘れられへんかったの!せやからウチ、一生ハヤ以外には好きやと思う人できひんやろーなーって思ってたんや!けどところがどっこい好きになってたんやよその気になる人!でも今ハヤがそのキ、チュ、せっぷ、くちづ………ぅあー!もー分かるやろ!?今やったやつやったから想いが戻っできたっぽいんやよどないすればええのウチほんっ、ぐずっ、ほ、ほんまにぐっ、ウチ……」


「ウチ、誰が好きなんや……?」


立ち上がったウチはなんか涙流して、意味わかんないことを語り終わってハヤを見つめていた。苦しさはまだあった。


ハヤは、固まっていて、けどしばらくして、一旦下を向いてまた、ウチを見た。


「好きな人、いるんだ」

「……うん」

「でも、俺のこともまだ、想ってくれてるんだ」

「……うん」

「じゃあ、それでいいんじゃね?」

「……ええの?」

「だって自分で分かってるんだから。俺待つよ、ナオが答え出るまで」

「……ほんまに?」

「ま、あまりに遅かったらまた襲うけど」

「……それは、勘弁して欲しいわ」

「ムリ。俺たぶん、ナオ以外恋できない病だから」

つぶらな愛しい目で、ハヤは微笑む。


きゅい、と胸がなる。

あ、ハヤの笑顔もほんのり輝いとる。

ぴかぴかきらきら。

あの「好きな人」と同じくらい、ずっと見ていたい。


「じゃあ、な、待っててもらうわ」

「うん」

「おおきに……田邊迅」

「はは、本名かよ」

また笑う。

この笑顔に心からの想いを重ねられるのは、まだまだ先やな。

けど、待っててくれるなら。


彼の右手が、ようやくウチから離れる。

答えが出るまで、という風に、優しく。


「どういたしまして、海野楠央統(うみのなおと)

初めて苦手なBLっぽいの書きました。

案外楽しかった。

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