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その昔、トマトには毒があった

作者: 犀星ゆき


あと、俺は死んだ奴の面倒は頼まれなくてもみるくせしてそこの路地裏の隅っこの彼女のことを一ミリも気にかけない世の中のことについては許してやることはどうにもできる気がしないな


偶に俺は、死んだ奴の声が聞こえてるみんなには聞こえないまだ動いてる奴の声がそいつが言わずとも聞こえることがあるんだけど


まあ、それは不思議なんだろうけど


俺には死んだ奴の声が聞こえるみんなの方が摩訶不思議


日曜日の夜に近所のバイト先の糞イカレポンチのベッドにその純潔を散らした彼女の耳にも


やっぱり死んだ奴の声なんてものが聞こえてるんだろう


偶に俺は死のうとした奴の直前の風景を見ることがある


みんなは彼女にやっぱり同情的さ


なんたって彼女の頭は潰れちまったトマト


そうなって初めて真っ赤なトマトはみんなから認められるんだ


薄情な俺はそれを馬鹿らしいって思って見てんだけど


やっぱり悲しんだりなんかしてやらない


絶対にそれだけはしてやらない


あいつらそれが目的なんだから


俺はコンクリートに汚い汁をぶちまけてる真っ赤なトマトをそれ以外のなにかだなんて言ったりしてやらない


それを彼女自身に誓ったはずもないのに


やっぱり俺は悲しんでやらないんだ











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