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不思議な関係

「どうぞ」

 好児はぎこちない仕草でお茶を友也にだした。

 友也の方はなにかとても聞きたげに好児を見ている。

「で、一応聞くがお前は好児だよな?」

 友也は好児が席に着いた途端、即座に質問した。

「そうだ」

 好児は幼女の声で男らしい口調でそう答えた。

「何でそうなったんだ」

 好児は頭を掻きながら答えた。

「取引した」

 友也は飲んでいたお茶を喉に詰まらせむせた。

「ごほっごほっ、何て?」

「取引だよ、取引」

 好児はもう一度言った。

「またか」

 友也は呆れたようにそう言った。

 友也は前にもこんなことがあったのを覚えている。

 好児は自分が10歳のときの記憶を持っていた友也に起こったことを全部話していた。

 このときに好児はとても救われたのだ。

「昨日お前が俺にそのままでいいのかって聞いただろ」

「それで、口に出して願望というか愚痴を言った訳さ」

 友也は好児が何をしたのかを悟っていた。

「それで、自由でも与えるから何か寄越せっていう取引に応じたんだろ」

 友也がそう言うと、好児は図星を突かれたという顔をした。

「何を差し出したんだ?」

 白髪の幼女となった好児は言いづらそうにしながらも、ゆっくりと言った。

「可能性」

「そこだけはしっかりしてんのなお前」

 友也は意図に気づいたのか好児を褒めた。すると急に好児は自画自賛を始めた。

「ああ、それはもういいから」

 友也は喋っている好児を黙らした。

「願った内容をもう一回正確に教えろ」

 好児は少し思い出すようにしながらもしっかりと答えた。

「責任が存在せずただ幼女を側で護り愛でられる状態だ」

「つまり幼女だな」

 友也はことの真相が掴んだ。

「他に変化はないのか?」

「それな」

 そう言いながら好児は手を上げた。すると好児は手を上から下に振り下ろした。

 ブォン

 たったそれだけで強い風が吹き荒れた。

「とまぁ、こんな感じだ」

 好児はそう言った。

「凄いな」

 友也は驚いた様子でそう言った。

「おそらく可能性に回っていた力が身体能力と治癒力に変換されたんだろうね」

 友也は冷静に分析した。

「だろうな」

 好児も同意する。

「でだ、お前に頼みがあるんだが」

「何だ?」

「俺の保護者にならないか」

「は?」

 友也は訳が分からないという感じでそう言った。

「俺の情報が全部消えたせいで生活出来なくなったんだよ」

 この国では子供、特に幼女は保護者がいないと何もできない。

「自由に行動したいのか?」

 そう友也は聞いた。

「そうだ」

 好児は肯定した。

 友也は少し考えるようにしたがすぐ結論を出した。

「いいぞ、今日から俺は親戚のおじさんっていうことだから、外では自然にしろよ」

 好児の願いを承諾した。

「ありがとう、友也」

 好児は笑顔で感謝した。

 笑顔、こと幼女の笑顔は見るものを虜にする。それがいくら元男だと知っていても。友也はその笑顔を浴びてしまった。

「危ねぇ、こいつが家族と割り切らなかったらヤバかったな」

 好児は笑顔を止めた。

 そして、

「いやぁ、お前にも効くんだな。これ」

 と言った。

「てめえわざとかよ」

 友也は好児に突っかかった。

「よろしく、おじさんそれともお兄ちゃんがいい?」

 友也は二三なのでお兄ちゃんの方がいいのかと思い好児は二択にしたのだろう。

「お兄ちゃんで」

 友也は即答した。

「じゃあ、お兄ちゃんこれからは好美このみって呼ぶようにね」

 好児、好美は幼女ぽくそう言った。

「お前、完全に自分を使いこなしてるな」

「お前が来るまでに練習したからな、最初は俺も自滅しそうだったぜ」

 好美はそう言った。

「まあ、これからもよろしくな。友也」

 そう言って立ち上がり右手を差し出した。

「ああ、よろしく。好美」

 立ち上がり手を握った。

 親友であり家族でもある、二人不思議な関係が始まった。

読んで頂きありがとうございました。

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