地震③
「ここは?」
好美は知らない場所で目を覚ました。
「保健室だぜ」
友也の声がした。
「起きたか」
友也が声をかけてきた。
「どのくらい寝てた?」
好美は友也に問いかけた。
「五時間くらいかな」
友也は答えた。
「そうか」
好美は起き上がろうとしたが起き上がれなかった。
足に重みを感じたようだ。
愛が好美の足に手を乗せて寝ていたのだ。
「愛?」
好美は驚いた。
「ん? 好美ちゃん?」
愛が起きた。
目を擦り「ふぁ」と声を漏らした。
可愛い。
「お前を心配してくれてたんだよ」
友也はそう言った。
「そうなのか」
好美はいとおしげな目線を未だ寝ぼけている愛に向けた。
「俺は律に教えて来るよ」
友也はそう言って、保健室から出ていった。
「おい、愛」
好美は愛の目の前で右手を振った。
「あ、好美ちゃん」
愛は気がついたようだ。
「寝顔、見た?」
愛は顔を赤くして聞いた。
「可愛かったよ」
好美は思っことをそのまま言った。
「何をっ」
愛は真っ赤になった。
「赤くなってるぞ」
好美はからかう。
「夕日せいです」
愛は照れたようにそう言った。
「愛、あのときは助けてくれてありがとう」
好美は感謝の言葉を言った。
「そのあと、私のことも助けてくれたでしょ」
愛は別にいいよという感じで言った。
「愛、俺はお前のことが好きだ」
好美はまっすぐ愛に好意を伝えた。
「何? 急に」
愛は真っ赤を越した真っ赤になった。
可愛い。
「えっと、私も、好き」
愛は恥じらいながらも上目遣いでそう言った。
可愛い。
夕日が輝く中、二人は初めての口づけを交わした。
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