真実③
思い出された記憶は騎士王に成り立ての頃だ。
十五の頃の好児は今よりかは大人しかった。
最強騎士王となって横暴な態度になっていることもよくあることだが好児は違った。
その理由は言うまでもなく、取引で得た強さを使ったからだ。
ズルをして手に入れた最強という地位にも何か後ろめたさを感じていたのだろう。
騎士王になったことで好児は世界の真実を知った。
その後、少し落ち込んでいたが、立ち直った。好児は切り替えるのだけはとても早かったのである。
しかし、好児はこのことを忘れさせられた。桃源郷によって。
桃源郷は好児に二つの力を使用した。
「お前が知るのは早すぎた」
律はそう言った。
「第十四代騎士王は特例とします」
律はそう言った。
「何故ですか?」
その場にいたったようだ友也が律に聞いた。
「それは取引が危険だからです」
「取引が?」
友也は律に聞いた。
「はい、あの力の真価は」
好児は意識を落とす寸前その言葉を聞いていた。
「魂を使うことだからです」
「今のが記憶か」
好美は全てを思い出していた。
「思い出したか?」
律は好美に問いかけた。
「ああ」
「そうか」
「なあ、一つ聞いていいか?」
好美はそう言った。
「何だ?」
「魂の取引って何だ?」
好美は律に質問した。
「悪魔の願いと同じものだ」
律はそう答えた。
悪魔の願い、それは今の世界を作った力だ。
それによってこの世界が始まり今に至る。
その力と同じものが好美の取引である。
「魂を三分割することで、どんな願いも叶えることができる」
律はそう説明した。
「そうやって願いを叶えたのが『神』だ」
律はそう好美に言った。
「神と同じか」
好美は説明を聞いてそう言った。
「このタイミングでそのことを言ってきたということは何か問題でもあるのか?」
好美は律に聞いた。
「よく気づいたな」
律は好美を褒めた。
「ペドフィリアの大量発生が起こることが予知されている」
律はそう言った。
「何だと」
好美は驚いていた。
「桃源郷には『予知』の力を持っている奴がいるからな」
律はそう言った。
「で、それはいつなんだ?」
好美は律に問いかけた。
「今日だな」
律はそう言った。
「今日だと?」
好美は唖然としていた。
「だから今日ここに来た」
律は今日ここに来た理由を言った。
「そうだったのか」
好美は納得したようだ。いつの間にか気分を入れかえていた。
「もう一度言う、第十四代騎士王、幼井好児、俺達の仲間にならないか?」
律は好美に提案した。
「ああ、いいぜ」
好美は了承した。
「いいのか?」
律は聞いた。
「いいぜ」
好美はそう言った。
「だけど」
と、好美は続けた。
「何だ?」
「友也達も参加させてくれないか?」
好美は条件を出した。
律は少し考えるようにして言った。
「まあ、大丈夫だろ」
律が条件を飲んだことで、好美と律、騎士団兵士棟と桃源郷は仲間となった。
ミニコーナー 取引編
悪魔と取引をする力。
対価を差し出すことでそれに値するものを手に入れる。
対価はもう戻らず、取引は絶対である。
魂を使う場合はどんな願いでも叶えることができる。
対価は平等である。
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