真実②
「ようこそ、第十四代騎士王、幼井好児」
仙人の長がそう言った。
「やあ、仙人の長、深野律いや、不能王と呼んだ方がいいかな?」
好美は仙人の長、律にそう言った。
「知っているとは驚きだ」
律は驚いたそぶりをした。
「国によって秘匿されていたからな」
好美はそう言った。
「俺も騎士王権限で調べるまでは知らなかったからな」
「そうか」
それで律は納得したようだ。
「律でいいぜ」
「じゃあ、俺は好美で」
好美はこの場でも好美で通すようだ。
「好美」
「何だ?」
「仲間にならないか」
「は?」
突然の勧誘に好美は固まった。
「何で?」
「お前の力が欲しいからだ」
律はそう答えた。
「俺の力が必要な事態なのか?」
好美は律に問いかけた。
「そうだ」
「そうなのか、とりあえずここに来た理由を教えてくれるか?」
好美はそう言った。
「そうだな、教えよう」
律はそう言うと、外に出て二人の男を連れてきた。
「何なんだ?」
好美は困惑していた。
「こいつらはお前の大切なものを持っている」
律はそう言った。
「大切なもの?」
好美は律に聞いた。
「お前の記憶だよ」
律はそう言った。
「は?」
好美は分からないというように首をかしげた。
「こいつは『特定の記憶を任意の人物から消す』力を持っている」
二人の内一人を指さしてそう言った。
「こいつは『力を制限する』力を持っている」
もう一人を指さしてそう言った。
「まさか、俺の記憶を?」
好美はそのことに気づいたようだ。
「そうだ」
律はうなずいたb、
「記憶だけではなく『取引』の発動タイミングも制限している」
その言葉に好美の表情はひきつっていた。
「それって、もっと簡単に取引を使えたってことか」
「そう言うことだ」
律はうなずいた。
「今からそれを解除しよう思う」
「そうしてもらった方がありがたいけど、いいのか?」
好美は記憶を取り戻してもいいのかが気になるようだ。
「ああ、それがこちらの提案だからだ」
好美は今の言葉で思いいたったようだ。
「俺がそちらの仲間になる代わりにお前達は俺の消されている記憶と制限されている力を提供すると」
好美は自身の考えを伝える。
「もしかしたら、俺の消されている記憶にそちらの仲間にならざるおえない理由があるのかもしれない」
好美がそう言うと、
「すごいね、正解だよ」
律が好美を褒めた。
「さっさと、記憶を戻したいんだけどここで一つその記憶の中で一番大切なことを話そう」
律はそう言った。
「話?」
「そう、話だよ」
律は一拍置いて話を始めた。
「好美はペドフィリアがどういうものか知っているかな?」
律は好美に問いかけた。
「幼女に害をなす存在だろ」
好美は答える。
「じゃあ、害とはなんだろう?」
律は再び好美に問いかける。
「それは犯すとか、性的なものだろ」
好美はそう答えたが、幼女の口から「犯す」という言葉を聞くのは少しシュールな光景だった。
「そうだね、ペドフィリアが犯そうとする、ロリコンが護る、それが一連の流れだよね」
律はそう言った。
「それがどうしたんだ?」
好美は疑問を伝えた。
「ペドフィリアは犯す、ロリコンは犯さず護る、じゃあロリコンの性欲と呼べるものはどうなっているのだろう?」
律は好美に問いかけた。
「まさか」
好美はどうやら気づいたようだ。
「気づいたかい? そうだよ、ペドフィリアとはロリコンが抑えている性欲を形にしたものなんだよ」
律は世界の真実を語った。
「俺達、桃源郷はもう性欲がなんて湧くことはないが、騎士団は違うだろ」
律はそう言った。
好美はその真実に唖然としているようだ。
「まあ、そうなるよな」
律はそう言った。
「この真実が今の世界を壊す可能性を秘めていることは分かるよな」
律はそう言った。
「それじゃあ、俺達がしていたことは」
好美が絞り出すような声でそう言った。
「無駄だよ」
律ははっきりとそう言った。
「そうか」
好美は消え入りそうな声でそう言った。
「よし、じゃあ記憶の回復と力の制限解除をしようか」
律はそう言って、後ろの二人に話かけた。
「それがあったな」
好美はどうやら気分を入れかえたようだ。
「「「切り替え早っ」」」
後ろの三人がつっこんだ。
「よし!」
好美は気合いを入れた。
律達、三人が近づいてきた、どうやら準備ができたようだ。
「始めるぞ」
律の掛け声と共に二人が力を解除した。
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