選定①
友也は新人の福居兄弟とともに兵士の中から合宿に行く者を選定していた。新人は合宿よりもやらなけばならないことがたくさんあるので留守番だ。
友也は今回、町の警備をしなければならないので留守番組だ。
今、選定しているのは合宿に耐えられる強さを持たない兵士のことだ。合宿はとてもハードでおよそ半年の間に入った者には無理だと判断している。
しかし、努力と研鑽を積み重ねてきた者もいるはずという意見が出た。その意見を考慮し今、選定をしているのだ。
「どうですか?」
今、選定が終わったばかりの兵士が友也に問いかけた。
「もう少しだ、一週間後にもう一回やることにするから」
友也は少し足りないことを伝えた。
この兵士には再びチャンスが与えられたようだ。
友也は兵士に「頑張れ」と言って立ち去った。
「兵士長、先ほどの先輩は十分強かったと思いますが」
平正は兵士長に質問した。
「確かにそうだが、戦っている時に少しブレがあった」
兵士長はそう答えた。
「ありましたか?」
平正は首をかしげる。
「そうか、俺しか見えなかったんだったな」
友也はそうつぶやいた。
「どういうことですか?」
平正は友也に質問した。
「俺の力に関係しているかからな」
「失礼ですが、兵士長の力とは?」
平正は『力』について聞いた。
「俺の力は『異常を正常に直す』能力だ」
友也は自身の力について語る。
「その副次効果として異常を感知できる」
友也は説明を続ける。
「例えば、先ほどの兵士は俺が認識している基準に達していないことを異常と感知したわけだ」
「そうでしたか」
平正は納得したようだ。
「この力の使い方は」
友也はそう言って懐からナイフを取り出し自身の左腕を切断した。
「「兵士長っ!」」
平正とこの話を黙って聞いていた勝が声を上げた。
「落ち着け」
友也は二人にそう言った。
「見てろよ」
友也はそう言って血が滴っている左腕をナイフを持っている右手で指さした。
「発動」
友也がそう言った瞬間、辺り一帯が白く光った。
すると、兵士長の左腕が治っていたのだ。
「「えっ」」
その光景に二人は開いた口が塞がらないようだった。
ロリコンは治癒力が優れているが、欠損部位にまでは及ばないものだ。
「とまあ、こんなものだ」
周りには血の一滴も落ちていなかった。
「今回は切断されたことを異常だと判断し、正常な切断されていない状態に治した、いや直した」
切断されていた左腕も周りには落ちていなかった。
「これは好児の攻撃も直したからな」
友也は口を滑らした。
しかし、これが好児をそうしたのだった。
「騎士王様のですか」
平正がそう答えたののだから。
ミニコーナー 正常編
異常な状態を正常に直せる。
結果にしか作用しない。
異常を認知し、正常をイメージしなければ使えない。
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