女学院⑥
好美は友也との話が終わった後、自身の部屋にいた。
そして、目の前にある二つのスマホの内、好美のスマホをいじっていた。
「これでよし」
メールの送信のボタンを押すと、もう一つのスマホ、好児のスマホが鳴った。
「届いたな」
打ったメールは愛のメールアドレスだ。これで好美のスマホから愛にメールを送り、好児にメールを送ったと言って、それから好児のスマホから愛にメールを送る。
見事な偽装工作であった。
「よし、これで準備は整った」
好美はそう言って好児のスマホから愛にメールを打った。
幼井好児
件名 元気?
愛? 元気かな。
お礼言いたいんだっけ? わざわざありがとう。
「来た」
愛のスマホに一通のメールが届いた。
たった一通だがその一通は愛にとって飛び跳ねたくなるほど嬉しかったようだ。
愛はジャンプしながら喜んでいた。
愛はジャンプをやめると一番最初に伝えたかったことをメールで打った。
天使愛
件名 Re,
元気です。
こちらこそ、この前は本当にありがとうございました。
愛がメールを送信してしばらくするとスマホが鳴った。
愛はウキウキしながらメールを開いた。
幼井好児
件名 もう
もう迷子になってない?
妹が何も迷惑かけてない?
天使愛
件名 Re,
大丈夫ですよ。
好美ちゃんとは仲良くやってます!
好児さんは元気ですか?
幼井好児
件名 元気だよ
元気だよ。
そう、好美のことよろしく。
天使愛
件名 いいですか?
質問いいですか?
幼井好児
件名 Re,
いいよ。何でも聞いて。
「ませてるって思われるかもしれないけど」
愛は今一番聞きたいことを聞いた。
天使愛
件名 いるんですか?
好児さんって彼女いるんですか?
愛はドキドキしながら返信を待った。
幼井好児
件名 Re,
いないよ。
何で?
「よっし」
愛は小さくガッツポーズをした。
「良かった」
愛は心の底から安堵した。
そして愛は自身の願いごとを打った。
天使愛
件名 お願い
予約していいですか?
あなたの彼女の枠を。
愛は自身の願いを語った。
しばらくして愛のスマホが鳴った。
愛は緊張した面持ちでメールを開いた。
幼井好児
件名 Re,
いいよ。
そのメールを見て愛は真っ赤になった。
天使愛
件名 いいんですか?
いいんですか?
幼井好児
件名 Re,
いいよ。
愛はこのメールを読んでとても喜んでいた。
好美は緊張しながらメールを返していた。
まあ、いきなり彼女の枠をくださいと言われたのだからしょうがない。
好美はなんとか愛とのメールを終わらせた。
「今回は慣れてる大人な感じで受け流したがこれが何回も来るとなるとヤバいな」
好美は嬉しい感じていた。
「まあ、君とは絶対に会えないんだけどね」
このときになって好美は『取引』に応じたことを後悔していた。
「俺はもう自由の身だが幼女と恋をする訳にはいかない」
そんな葛藤にさいなまれながら、好美は眠りに落ちた。
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