女学院④
好美は教室を見渡していた。
すると、その中に一人知っている幼女いた。
「では、幼井さんはあちらの席に座ってください」
示された場所は愛の近くの席だった。
好美はその席に座った。
ホームルームが終わると、好美の席に幼女が押し寄せてきた。
「ねぇねぇ、どこからきたの?」
「その髪、天然」
たくさんの質問をしてきた。
「外国からです」
「天然です」
好美は全ての質問に答えていった。
しかし、嘘を混ぜながら答えていた。
全ての質問に好美が答えたころとある二人組が近づいてきた。
「あの、私は天使愛です」
「私は新堂千恵だよ」
愛と千恵は好美に自己紹介をした。
「幼井好美です。よろしくお願いします」
「よろしくおねがいします」
「よろしくー」
三人は挨拶をした。
「あの、気になるんですが」
「何かな?」
好美は質問の内容を聞いた。
「幼井好美さんを知っていますか?」
その質問に好美は固まった。
好美は思考の海に落ちたようだ。
しばらくして、好美は動きだした。
どうやら結論にたどり着いたようだ。
「君達は兄さんの職業を知ってますか?」
それを確認するように質問をした。ちゃんと嘘を混ぜた好美だった。
「お兄さんなんですか?」
「はい、そうですよ」
好美はその設定を肯定する。
「好児さんについては何も知りません」
「そうなんだ」
好美は黙りこんだ。どうやら結論が出たようだ。
好美が悟った内容は『騎士王であるか』というものだ。
取引で対象とされたのは騎士王、幼井好児の記憶であって青年、幼井好児ではない。騎士王ではない青年の方を最初に記憶していたであろう愛にはほとんど効果がなかったのである。
「お兄さんはどうしてますか?」
愛は好美に質問をした。
「兄さんは海外にいるよ」
好美は海外にいると嘘をついた。
「そうですか」
愛は見るからに気分を落とした。
「えっ」
好美はこの状況に驚きを隠せなかったようだ。
「好美ちゃん」
千恵が好美を呼んだ。
「あのね」
千恵は好美に愛の想いなどを伝えた。
しかし、この情報は好美だけには伝えてはいけないものであった。好児である好美にだけは。
その話を聞いて好美は赤くなった。
「そうなんだ」
「なにかいい方法ないかな」
千恵は好美に聞いた。それは友人を元気づけようという思いの込められた言葉だった。
「そうだねえ」
好美は必死に考えていた。
「あっ!」
好美は叫んだ。
これには落ち込んでいた愛も顔を上げた。
「メールならできますよ」
その言葉に愛は顔を輝かした。
可愛い。
「できるんですか?」
「はい、そうです」
やったとばかりに愛は笑顔になった。
「あの、幼井さん」
「はいっ」
好美はたじたじになった。まあ、誰でも自分を好きだって言う女の子が話かけてきたら緊張するだろう。
「友達になってください」
愛からのお願いだった。
「よろしく」
この日、愛と千恵、そして好美は友達となった。
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