女学院③
今日、転校生が来るらしい。
それはプリンセス女学院の今日一番の話題だった。
「ねぇ、愛ちゃん」
「なに?」
「今日、転校生がくるんだって」
「そうなの?」
愛は同じクラスの親友、新堂千恵と話していた。
話題は転校生の話である。
「このクラスにくるんだって」
「そうなんだ」
二人な仲良く話を弾ませていた。
「友達になれるといいな」
愛は楽しそうに話す。
「だよね」
千恵も同意した。
「そういえば愛ちゃんこの前たいへんだったんだって」
千恵が話題にしたことはこの前、愛が迷子になった話だ。
「そうなんだよ、でもお兄ちゃんが助けてくれたから大丈夫だったよ」
「お兄ちゃん?」
千恵が聞いた。
「お兄ちゃんってのは幼井好児っていう人で」
愛はその日あったことを話した。
「そうなんだ」
「格好よかったんだよ」
愛は楽しそうに話した。
「ねぇ、愛ちゃん」
千恵はやけに楽しそうに話す愛にある言葉を投げかけた。
「愛ってそのお兄さんのこと好きなの?」
愛は瞬時に顔を赤らめた。
「やっぱそうなんだ」
千恵は全て分かったようにそう言った。
「な、なんでわかったの?」
愛は慌てたように千恵に聞いた。
「いや、分かりやすすぎでしょ」
「そうかな?」
「そうでしょ」
千恵はあること聞いた。
「その人ってどんな人なの?」
「えーと、白髪で金色の目をしてて紳士的でな人だったよ」
愛は顔を赤らめながら笑顔でそう言った。その笑顔は正に女も魅了するほどの笑顔だった。
「そんなに好きなんだ」
「うん」
愛は恥ずかしそうにしながらもしっかりとそう答えた。
「そうなんだ、応援するよ」
「ありがとう」
愛は弾んだ声でそう言った。
その話が終わった後二人は他愛ない話をした。すると先生が教室に入って来た。
「みんな席に着いて」
先生が言うとその場の皆が即座に行動した。
「今日からこのクラスに新しい生徒が入ります」
先生はそう言うと教室の外に出てまた戻って来た。後ろに一人の白髪で金色の瞳をした少女を連れて。
「この子が転校生の幼井好美です」
先生が紹介すると少女、好美は「よろしくお願いします」と頭を下げた。
皆が物珍しそうに見つめるなかたった二人、違和感を抱いた者がいた。天使愛と新堂千恵だ。このときの二人の思考は一致していた。
『幼井』という名字についてのものだった。
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