75 もうコロコロはいやや…
サイコロを振り始めてから3時間後、スキルレベルを確認すると空間Lv.3に更新されていた。
この勢いなら1週間以内に時空魔法までたどり着けそうだな、魔道具はんぱない。
「まあ異常な魔力量の理由はあとで解明してやるわい。それよりもその調子ならマスターするのは数日から1週間でできるじゃろ。レベルがあがってきたらできるだけ遠くに転がして難易度を高くしておくのがいいじゃろうな」
遠ければ遠いいほど認識しにくいからな、1mで百発百中でもレベルはあがらないだろう。
ちなみに時空魔法の補助道具はないらしい、まあルーシーも最近開発したんだしそんな余裕はないんだろう。
だが、それにしては熟練度が高いのが気になるな。
「思ったんだが、時空魔法の補助道具がないのになんで使いこなせてるんだ?」
「使いこなすもなにも開発した側がスキルのことを把握していないわけなかろう、新元素として成り立った時点からスキルレベルは最大じゃわい。これから覚えてく者のために練習用の魔道具は開発中じゃが、それもいつになるかわからん」
なんだと……
どうりでやたら使いこなしているわけだ、なんというチート幼女。
そのあと聞いた話によると、時空魔法の汎用的な習得方法はまだ研究中らしいので直接教えることはできないそうだ。
空間魔法のレベルMAXなんていうのはルーシー以外にはいないので、ここからはステ振りさんに頼った領域になるだろう。
ステ振りで低レベルを取得してちょっとずつ使って行けばいずれマスターできると思う。
数年はかかりそうだけどね。
さて、コロコロの続きでもしますかね。
……その後4日ほどルーシーの部屋で修行し続けた。
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ゼノンがサイコロ修行をしている頃、アカデミアではファイスが取り巻きを引き連れ動き回っていた。
まず最初のターゲットとしてゼノンを探し回っているのである。
「くそっ、あの黒髪がどこを探してもいないだとっ」
「ファイスさん、奴が申請している寮部屋や取りそうな授業を確認しましたがどこにも居ませんでしたっ」
「そんなことは知っているっ!」
(一体なにが起きているんだ、あいつの態度からして逃げたってことはありえない。それに奴の仲間が学校に平気な顔できているとなると俺たちの追跡をわざと躱しているってのが妥当だな)
「……舐めやがって。いいぜ、あいつがその気ならこっちも方針を変えるまでだ、いったんターゲットを変更してエレンとかいうやつを狙うぞ。あいつの冒険者ランクはCのはず、俺の本気と互角くらいだがこの人数で押されることはない」
そして光魔法の幻術系やその他応用を学ぶ訓練場にファイスはやってきた。
エレンの光魔法は強化において他の追随を許さないが、それはあくまでもその範囲だけのことであり応用や幻術といった魔法の可能性を引き出し切れていないのだ。
故に今後の成長に必須と思われるこの授業を選択したのである。
「なるほど、僕が今まで使っていた強化系・光剣術系はスキルのアシストによるところが大きかったんだね。実際に幻術系を使用してみるとこの属性の難しさがよくわかる」
主に光属性の授業は教師による指導ではなく、学校側から貸し出された資料や魔道具によって自分で習得していくスタイルなのでエレン一人の作業となっていた。
あくまでも教師は理論でわからないところがあれば答えてくれる程度なのである。
「おい、そこの金髪、ファイスさんがお呼びだ。少し面かせ」
「……やっと来たようだね」
エレンはファイスがいつか仕掛けてくるだろうことを知っていた。
ゼノンを探し回っている様子から彼が見つからない場合、次のターゲットとなるのは自分だろうと考えていたのだ。
「それで、何の用だい?」
「相変わらず余裕って感じだな。だがそれでいい、お前俺と組む気はないか? もしその気があるなら好待遇を約束してやる。もちろんターゲットはあの黒髪だ、あいつなんざ俺とお前が組めば一瞬だぜ? そうなりゃあの美少女2人も俺たちのものだ」
「………」
「だんまりってことは少しは乗り気ってことか!そりゃそうだよな、あの美……ガハァアアッ」
エレンがファイスに一撃を入れた。
顔は笑っているようにみえるが、その目の奥は笑っていない。
「……僕が標的なら話し合いで済まそうと思ったんだけどね…」
エレンは最初から手を出すつもりはなかった。
しかし親友を愚弄され、大切な仲間たちを物かなにかのように言うファイスに対して怒りが抑えられなかったのだ。
「なっ! てめぇ!」
「おいお前ら時間をかせげっ!この俺を敵に回したことを後悔させてやるっ!」
ファイスが攻撃を受け戦闘が開始されたと思った取り巻きたちが暴走し、エレンに襲い掛かかった。
ファイスも立ち上がりエレンに向けて魔法を放とうとしている。
「……来るなら倒させてもらうよ。僕の仲間に手を出す前にね」
そして5分後、訓練場には気絶した生徒が山のようにつまれていた。
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あー単純作業シンドイ、だがこれで空間魔法もLv.7だ…もう少し頑張れば時空魔法がまっているハズ。
「ふわぁ~、よく飽きずに何日もやっていられるのぉ。たいした精神力じゃわ~」
くっ、ルーシーがコロコロにあきてお昼寝をはじめたっ!
俺も寝たい、めっちゃ寝たいけどあと少しだ、絶対に時空魔法をおぼえ(略
その後さらに2日、俺はついに空間魔法をマスターした。
もうサイコロは見たくないというトラウマを代償に。
「コロコロ、コロコロは悪夢や……」
「一気にやりすぎじゃ馬鹿者」
やり過ぎ申した。
コロコロの悪夢が終わりました。
ファイスはC級下位です。
取り巻きはE~Dなど様々です。




