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72 ヴァニエが起きない…

俺が来た時はルーシーがパジャマ姿だったため、いったん泉の外に出る事にした。

それにしてもすごい寝相だったな。


「じゃあ俺はいったん外出てるわ」

「変なところに気を遣う小童じゃの。子供に着替えを見られてもなんとも思わんわ」


俺が困るんだよ。

ルーシーの発言を無視して外で待機した。


俺が空間魔法のレベル1を習得したことで出来るようになったのは<収納>と<空間把握>だ。

まだレベルが低いのでどの技術も微妙な感じだけどな、収納はサイフ替わりにしかならないし空間把握は半径1mくらいだ。


そして10分ほどしてからまた部屋に戻った。


「で、お主はまた何をしにきたのじゃ。今回はテイムモンスターも仲間もいないみたいじゃし…」

「それはだな、俺が空間魔法を習得したことを自慢しにきたんだ」


ストレートに言ってみた。


「なんじゃって?」

「自慢しにきたんだ」

「そこじゃないわっ!なんで空間魔法を自力で覚えられるんじゃっ!?あれは魔道具の補助と適正があってようやく習得できる魔法なのじゃっ」


そうだったのか。

さすがステ振りさんだ、難しい過程をすっとばしてくれる。


「まあまだサイフ替わりの収納とかしか使えないけどな」

「覚えるきっかけが一番大変なのじゃ、せっかく儂が弟子にしようとしたのに……」


ルーシーが拗ねた、なんだか悪い事をした気分になるので弟子入りの話しをしてあげよう。

……といっても適当に来て覚えて帰るだけだけどな。


「そのことなんだけど、一回弟子になってみる事にした。時空魔法まで覚えたいしな」

「なにっ弟子入りじゃと! カカカ、最初からすなおになっておればよいのじゃ。やっと儂の偉大さに気づいたようじゃの」

「いつものことながら復活するのが早いなこの人」


その後今できるだけの空間魔法をルーシーに披露した。


「ふむ、確かに空間魔法じゃのぉ、まだ元素魔法のレベルは1といったところか。というかなぜお主は詠唱がないのじゃ?」


あれ、ルーシーも時空魔法が無詠唱だったからてっきりこの魔法はこれが普通なんだと思ってた。

ていうか空間魔法の詠唱なんて知るわけがない。


「ルーシーも瞬間移動を詠唱なしで使ってたじゃないか、空間系の特性なんじゃないのか?」

「そんなわけなかろ、儂の時空魔法は魔道具の効果で詠唱がなくなっているだけじゃ。それも瞬間移動限定でな。ほかの時空系魔法は全て詠唱から入るぞ?」


確かに杭の魔道具もかなり高性能だったしな、移動系の魔法だけ魔道具を開発できたんだろう。


「まあ詠唱しなくても魔法が使える理由は俺もわからない、結果的にできてしまうとしか。それで空間魔法って、他の元素魔法と同じ感じで使ってたら伸びるの?」


地球で鬼と悪魔を相手にしてたからっていうのはやめといた。

ルーシーだと理解できちゃいそうだけどね。


「ふむ、特異体質というやつかの? わからんが、まあそれはおいおい調べていくかの。それと空間魔法は使っていても伸びん、まったく伸びなくはないが効率が悪いのじゃ。膨大な魔力があれば別じゃが、消費魔力が高すぎて一日に練習できる限度が限られておるのじゃよ。だから基本は儂が作った魔道具で習得を補助するしかないのじゃ」


つまり、普通の人は空間魔法を使い続けるだけの魔力が足りなさ過ぎて、練習にならないわけだ。

それでルーシーの魔道具で空間系の認識を補助して、1回使う時の経験値を増加させるってことかな?

でもこれ魔道具がなかったルーシーはどうやって習得したんだろ、って思ったら600歳だったわ。

そりゃ600年あれば習得できるわ。


「苦労したんやな」

「なんじゃその憐れむ目は、なぜか背中がむず痒い」


その後2時間ほど空間魔法と時空魔法の基本的な技術なんかを紹介されて初日は終わった。

もうちょっと居たかったけど俺も寝なきゃいけないしな、明日アカデミアだし。



─翌朝。



「ヴァニエ起きろっ、今日はお昼寝の日じゃないだろっ」

「う~ん、今日はお昼寝の日ですわ~、最近起きてばかりでしたもの~」


魔法学校に行けることになって安心したヴァニエがいつものお昼寝モードに入っていた。

ここ最近ずっと起きてたからおかしいとは思ってたが、その反動がきてるっぽい。


「どうするんこれ」

「まだ時間があるとはいえ、これはあと数時間起きそうにないね」

「ヴァニエちゃんってお昼寝が好きだったんだね」


仕方ない、闘技場にいくときも使ったあれをやろう。


「秘儀、布団ひっぺ返しっ!」

「キャァア!?」


すまんなヴァニエ、初日で遅刻するわけにはいかんのだ。

悲しき元サラリーマンの性だ。


その後布団がなくても頭が寝てるヴァニエを担いでアカデミアまで向かった。

そこまで寝たいのかお主……。

ちなみに制服はフィッテが強引につけていた。



結局ヴァエニは学校付近まで寝てたので、寝たいんじゃなくて本気で眠いだけらしい、ヴェルゼブブ家の生態なのかもしれないな。

まあ人間に似てるっていっても魔族だし構造は違うんだろう、こういうのはしょうがない事だと思う。



ヴァニエはここ3週間ほどがんばって起きていたので、その反動です。

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