59 シリーズ装備は他にもあるらしい
白竜と決着がつきました。
少し待っていると白竜が戻ってきた。
ちなみに蒼炎の魔神の効果はもう切れている。
『はぁっ、はぁ。み、見事だ……』
「まああれだけ時間があればな、あんなの普通の戦いじゃ通用しないよ」
普通に戦ったらオーバードライブを使った戦闘に持ち込まれていたはずだ、俺の3倍魔神モードのパンチでも立ち上がるタフさを見るとかなり苦戦したと思われる。
パーティ戦であることを考えても勝率はこちらが4割、あちらが6割といったところかな、たぶん。
それに3倍魔神モードを使ってみてわかったが、あれは練習しないと一直線にしか進めない。
パワーがありすぎてコントロールできないんだ。
仮に過去の勇者が相手だったとしたら避けられて負けの可能性も見えるし、やっぱ通常の魔神モードが一番バランスいい。
『いや、それでもだ。勝負において与えられた条件をできる限り駆使するのは当然だ、そしてそれができる下地がそなたらにあったというだけのこと。状況的に見ても我の負けは明らか、認めよう、強き者達よ』
やったぜ。
「もうっ! せっかくやる気でしたのにゼノンが一人で終わらせてしまいましたわっ! まあそれでこそですが」
「いまの僕じゃまだまだだってことが分かっただけでも収穫かな。新しい目標が見えたよ」
次はちゃんとみんなで戦おう。
「えへへ、ボクはきっとこうなるんじゃないかって思ってたよ?」
この、「我、理解せしっ!」みたいな表情久しぶりにみたな。
あの時よりもニマニマしているが。
「とりあえずこれで、ブレイブソードの件と観光の件は何とかしてくれるってことでいいの? 俺たちがもらってばかりなようにも思えるけどね」
『もちろんだ。我らにとって強き者との戦闘はなによりの褒美、当然その対価は払わねばなるまい』
つまり、ドラゴンにとって戦闘っていうのは娯楽の一つってことなんだろう。
「じゃあ解放の方を先に頼んだ」
「……よろしく頼むよ」
エレンが剣を引き抜くと同時に、白竜の額が輝きだした。
なんか剣と共鳴している感じだ、オーラが間で増幅されていっている。
『強き者よ、その剣に魔力を流し込め。……それで定着は完了する』
しばらく待っていると白竜がエレンに声をかけた、魔力を流し込んで定着ってことは魔力認証機能みたいなのが搭載されているのかな。
……ワカラン。
「こうかな?」
……キィィイイン……
エレンが魔力を流し込むと同時に、剣の魔力とエレンの魔力が混ざり始めた…なんかオーラがエレンに浸透していく感じだ。
「……っ。すごい力だ、常にブレイブモードの時のような力を感じるよ」
『恐らく、それは剣の力が宿主に流し込まれているのだろう。剣を持つ資格のあるものならば、終わったころには新しいスキルを習得しているはずだ』
あ、それ知ってるわ、ダウンロードって奴だろ。
覇者のグローブでも同じことあった。
っていうか、ダウンロードつながりで見ると覇者シリーズとかもあったりするのかな?
後で聞いてみよう。
……その後数分ほど共鳴が続き、収まったころには剣が以前とは異なる形状をしていた。
『……フム、どうやら定着が完全に終了したようだな…もうそなたも分かっているはずだ』
「あぁ、物凄い力を感じる。それにこの状態ですら剣は本気を出していないようにすら思えるよ」
なんやて!?
さっそく鑑定してみよう、たのむぜ鑑定さんっ!
【ブレイブソード】
└強化エネルギーチャージLv.10
└自己修復Lv.10
└剣術効果上昇Lv.8
└体術効果上昇Lv.3
└シャイニングロードLv.--(ダウンロード済み)
└聖剣解放Lv.--(ダウンロード済み)
魔力残量[無限]
(武器スキル)
【シャイニングロード】
聖剣に認められた証。
光の剣を空中に無尽蔵に作り出し敵を殲滅する。
なお剣の強度と作成速度は本人の剣術スキルに依存し、スキル発動中は剣を媒介に高速飛行可能。
【聖剣解放】
聖剣に認められた証。
<ブレイブソード>の魔力を解き放ち、一時的に強化の段階を数段引き上げる。
聖剣の本気。
なんかやばいことになっていた。
こんなスキルがいくつもくっついた500年前の勇者ってのは、いったいどんな奴だったんだ。
そりゃあ魔王や勇者に達人が束になっても勝てない訳だよ。
『フム。ブレイブシリーズは宿主を選ぶ装備なのだが、無事認められたようでなによりだ。だが剣に認められたからといって、他のブレイブシリーズに対し同じような結果になるとは限らない。心しておけ』
そうなのか。
あとダウンロードの件もあるし覇者シリーズなんかあるかも聞いてみよう。
「ところで質問なんだけど、俺のしているこのグローブなんかもシリーズ物だったりするの? なんか装備したときにスキルとか得られたんだけど」
『……ム? グローブだと……。お主、それをどこで手に入れた?』
「なんかまずかったか? これは帝国の武器屋でみつけたんだが」
『いや、まずくはない。ただその覇者シリーズはほとんどがギラ、といってもわからないか。闇竜の拠点だった煉獄界に保管されているのだ。装備としての価値はブレイブシリーズと同じくらいだが、一つ一つにクセがありすぎて誰も使わんのだ』
やっぱシリーズだったのかコレ。
あとギラって煉獄界出身だったのか、どこだか知らんけど。
「クセがあるのは知ってる、装着したときに魔力が大量に吸われたからな。普通の人じゃ装備しても効果が発揮されないくらいの量だった。それに手に入ったスキルも燃費が悪すぎて強いんだけど普通は使えないよな」
『そうだ、それが覇者シリーズの欠点なのだ。しかし、お主ならそれも使いこなせそうではあるがな』
まあ愛用してます。
その後聞いた話では、これらのシリーズ他に<賢者シリーズ><破壊シリーズ><魔王シリーズ>…etcなんかが数多く存在するらしい。
その中でも<ブレイブシリーズ><覇者シリーズ><魔王シリーズ>は頂点に位置するらしいが、覇者だけは使い勝手が悪すぎて誰も使わないとのことだった。
『それと観光の件だが、それは泉に住む占い師にでも頼めばよかろう。我が友の願いとあれば快く引く受けてくれるはずだ』
あの泉か。
「わかった、ならさっそく泉にいってくるよ、いろいろありがとなルクァンっ!」
『またいつでも来い、いつか対等な条件で勝負するのが楽しみだな』
まあ成長したらそれでもいいよ。
「あと、ここ見つけたのギラの背中に乗っているときだから知り合いだぞ?」
『……なにぃ!?』
「じゃ、あばよっ!!」
なんかライバル関係っぽかったから、いまのいままで伏せといたんだ。
そうして俺たちは来た道を引き返し、光る泉へと走り去って行った。
「なんであそこで爆弾投下するんですのっ!」
悪いな。
普通にガチで白竜と戦ったらまだ分が悪いです。
シリーズ装備の頂点は使い勝手も考慮したら勇者と魔王が最強装備です。




