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55 えっ。浮遊スキルじゃないよ、浮遊魔法だよ

ちょうど騎士が館の3階あたりで報告しているときに、外から窓をノックをしてみた。



……カンカン。


「失礼しま~す」


あれ、みんな固まってる。

重要な話の最中だったからかな、タイミング狙い過ぎたわ。


「浮いている、だと?」

「ひぃいい、ば、化け物ぉ! 化け物が追いかけてきたぁッ!」


違った、俺が浮いているのが問題らしい。

それに俺は化け物じゃないぞ、れっきとした人族だ。

まあノックもしたしとりあえず中に入っちゃおうか、みんな固まってるしチャンスだ。


「固まってるところ失礼するけど、そちらの騎士さんがカイムの領主に攻撃をしかけてきたから追いかけてきたんだよ。まさか騎士が偶然盗賊の恰好をして、偶然馬車の進路に待ち伏せして、偶然攻撃してきたなんていうつもりはないよね? ここで騎士が領主に報告している以上もう言い逃れはできないぜ」


とりあえず逃げ道を一気に塞いでおいた。

追い詰めておけば実力行使にでるか謝罪するかになるが、相手はまだ報告を受け始めたばかりだ。

現場を見ても居ない相手の実力を判断するのは難しいだろうし、舐めている段階なのは変わらないだろう。


恐らく実力行使に出るはずだ。



……するとやはり領主の態度が攻勢に出た。


「フンッ! ガキ風情が、ちょっと特殊なエクストラスキルかなにかを持っている程度で粋がりおって。だが、部屋に侵入した以上その浮遊スキルも効果を発揮できまい。おい冒険者共、ガキを始末しろ」


いや、これ別にスキルじゃないんだけどな、無詠唱によるギラの模倣だったりする。

ちなみに冒険者の数は4人。

大剣・剣と大盾・ヒーラーと思わしきシスター・魔術師っぽい女性だ。

バランスのとれたいいパーティだな、うちも見習いたい。


「まじかよ。騎士が遠征にでるから用心棒として雇われたが、ガキを殺さなきゃいけないなんて聞いてないぜ」

「仕方あるまい。それが仕事である以上、この状況では動かざるを得ない」

「神よ、お許しを」

「まぁアタシは金さえもらえればなんでもいいけどね~」


どうやら冒険者の人たちは騎士が居ない間の護衛として雇われたらしい。

来るなら倒すしかないけど、どうするかな。


「来るなら来なよ、あんたたちも仕事の立場上引けないんだろ? だが、その場合は殲滅させるしかなくなる。来るなら心してかかってこい」


そういって俺の膨大な魔力の一部を開放させた。

実力差がわかればたぶん引いてくれると思う、なにせ冒険者は依頼の達成より命の方が大事だからな。

失敗してもランクダウンや罰金で済むんだから、当たり前っちゃ当たり前だが。


「フンッ! 何が来るなら来いだガキめっ、あんな見え透いたハッタリに乗るんじゃない。大金を支払って雇ったB級パーティなんだ、さっさと片付けろ!」


領主のおっさんには魔力を感知する能力がなかったらしい、ある意味物凄いタフさだ。


「……おいおい、ちょっとまて。あのガキやばいぞっ! 完全に俺たちの次元を超えているっ」

「……っ」

「……ひっ、ひぃぃい」


だがどうやら冒険者の方は俺との力量差を認識できたみたいだ。

シスターと魔術師の女性なんて、腰を抜かして戦闘どころではない。


まあ冒険者にとって力量差を見極める力は生命線みたいなものだからな、これならいけそうかな?

みんなが到着するまであと数時間ほどだろうし、敗北した騎士たちを見れば領主も戦力差がわかって大人しくなるかもしれない。


……かもしれない。


……いや、無理っぽいな。


「なっ、なんだと!? くそっ! これだから冒険者は役立たずなんだっ。おい衛兵! あのガキを始末しろっ!」


領主の方は俺を見た目で判断しているから納得がいかないようだ、残った僅かな戦力でかかってくるというなら倒すしかなくなるが、せっかくだし派手にいきますかねっ!

見た目でわからせたほうが効果があるだろう。


「来るなら殲滅するって忠告したからな、融合魔法【ライトニング・フェニックス】」


俺が意味もない適当な魔法名を唱えた瞬間、目の前に雷をまとった不死鳥が現れた。

この不死鳥魔法の特徴はなんといっても火力と派手さだ、不死鳥の姿を象った炎に光属性の魔力で強化を促し、雷属性で速度を上げているのだ。


基本的に光属性は何かを強化する事に向いていて、雷属性は射出速度がハンパないんだよね。

そして、不死鳥が残りの衛兵たちに向けて放たれる。

おら、これが俺のハッタリ魔法だっ!


……数秒後、そこには体から煙を上げた衛兵たちが転がっていた。


ま、まあ手加減したし大丈夫だろ!

今回は派手さを重視したからな。


だが死んだなら諦めろ、命のやりとりをする以上、本来はどちらかが死ぬまで続くんだからな。


「ひっ! ひぃいいい」


どうやら領主もこれで懲りてくれたみたいだな。

やっぱりこういう輩には派手なアクションを起こすと効果てき面っぽい、今後も使っていこうっと。


「だから言ったじゃねぇか領主さん。俺たちが束になっても勝てないんだから素直に諦めとけって」

「ウム、こちらから手を出さないなら向こうも何もしないと宣言している。無暗に抵抗するのは逆効果だな」


やはり冒険者のほうは判断が正確だ、戦いに関する経験値が違いすぎる。


そして3時間後、エドガーさんたちの馬車が領主の館まで到着した。

てかもう夜だし眠い、本来なら宿をとって次の日ってなるんだろうけど、今回は騎士たちの件があるからそうもいかないんだろう。


あと少しだけ付き合うしかなさそうだ。

まあ領主がこのことを報告すれば国も慎重になるし、ほとんど解決したと思うけどね。


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