53 魔力眼の前では伏兵などただのカカシだな
ステータス更新回になります。
領主からの依頼も受けたことだし、ここからはひたすら俺たちの殲滅力にかかっている。
さっそく偽装した騎士とワイバーンたちの殲滅に向けて、その準備をしているところだ。
領主はもう明日中には出発するとのことだったのでとりあえず必要なものだけ買っておくことにする。
本来移動中の食料などは依頼者持ちであることが多いのだが、俺たちはたぶん別行動になるだろうからその食料の用意だな、途中までは一緒だけどね。
それにしてもいつの間にフィッテはギルドランクをあげていたんだ、まあ3年も人間大陸であちこちいってたんだから当然といえば当然だけどさ。
そして翌日、出発の時がきた。
このジャングル地帯で地形に慣れた相手の罠を見破るのは少し困難だと思ったので、専用のスキルを取得しておく。
ジャングルといっても馬車の走る道はあるが、道から少しでも外れればすぐに林のなかなのだ。
でもって俺の更新されたステータスはこんな感じだ。
【名前】ゼノン・クロスハート
【種族】人族
【Lv】42
【ステータス】
魔力量:(20204)→20248
筋力:(164)→209+100
耐久:(196)→250+100
持久:(160)→205+100
敏捷:(263)→335
賢さ:(983)→1047
精神:(39405)→39449
【スキル】
(ノーマル)
アクティブ:
New!!元素魔法(火:Lv.8/水:Lv.9/風:Lv.10/土:Lv.10/雷:Lv.9/光:Lv.9/闇:Lv.10/無:Lv.10…圧力:Lv.9)
隠ぺいLv.10
鑑定Lv.10
体術Lv.10
オーバードライブLv.--
New!!魔力眼Lv.--(50P消費)
New!!格闘術Lv.10(54P消費)
New!!剣術Lv.5(18P消費)
New!!槍術Lv.5(18P消費)
パッシブ:
New!!無詠唱Lv.10
New!!魔力感知Lv.10
New!!魔力操作Lv.10
New!!言語理解Lv.8
New!!筋力増強Lv.10(80P消費)
New!!耐久増強Lv.10(80P消費)
持久増強Lv10
New!!テイムLv.10(108P消費)
(エクストラ)
アクティブ:
遺伝魔法【魔法反射:Lv.3】
パッシブ:
遺伝スキル【ワイルドセンス:Lv.5】
(ユニーク)
アクティブ:
ステータス振り分け
└ポイント:353
蒼炎の魔神
パッシブ:
不死身の情熱
地球の創造神の加護
およそこんな感じだ。
3年の間にできるだけレベル上げは行ったが、匿われていたりその辺の魔物じゃ頭打ちになっていたりとでレベルそのものはそこまでじゃない。
ただ、勇者たちと比較してわかったが、俺にとってのレベル43っていうのはおおよそ成長補正がついてない人間の1.5倍だ、レベル64あたりだな。
もうオーバードライブや魔神モードなどのアシストがなくてもA級の上位に食い込んでいると思う。
レベルだけならA級上位は70~90なんてごろごろいるのだが、ユニークスキルである【ステータス振り分け】の効果でスキルの所持率・熟練度は異常な数となっているのだ。
こんな異常なスキル欄をもった人間なんてA級クラスでもあまりいないと思う。
だってスキルレベル10ってそのスキルの限界点だなんだぜ。
まあ体術なんかでも同じだけど、剣術一つだけで剣の道とかが完成するわけじゃないけどね。
ステ振りに【心眼】とかあったし、そういう剣の達人スキルも持ってる人はいるだろう。
他には所持していた増強系は全部MAXまであげておいた、地味に強いからなこのスキル。
全部とってたら消費が大変なことになるのがネックだが。
テイムはお察しの通りMAXレベルだ。
テイムの効果はモンスターのテイム成功率アップとテイムしたモンスターの基礎能力上昇効果、意思疎通効果がある。
よって、スラキューはチタンスライムの限界を超えたチタンスライムということになる。
恐ろしい子っ!
そして今回とったのがこの【魔力眼】だ。
魔力感知だと垂れ流しになった魔力の大きさしかわからないからな、隠されたりするとわからない欠点を魔力眼が克服している。
相手がどこにいても、これからは魔力さえ視認できてれば問題ないのだ。
魔力眼は障害物や隠ぺいを透過して内包魔力まで形と色で視認できるから、もう奇襲は通用しないと思っていいだろう。
あ、でも背後からグサリは勘弁してくれよ。
それと魔力眼には多少だけど魔力吸収機能もついている、発動中なら相手が放った低級魔法程度なら自分の魔力に還元できちゃうスーパーアイだ。
【魔法反射】もあるし、もう俺は魔法系に関しては無敵を目指せるかもしれない。
「よし、馬車と護衛の者たちは揃ったな…それでは出発するとしようか」
「「「オォ!」」」
どうやらエドガーさんと冒険者のみんなが揃ったらしい、俺たちも準備万端だ。
馬車は3台で、先頭に多くの冒険者が乗った馬車、真ん中に領主とその護衛が載った馬車、後方に俺たちとその他少数の冒険者が乗った馬車という並び順になる。
今回は後方からの襲撃が一番怖いので、俺たちは後方に乗せてもらった。
背後に対しては魔力眼使えないし、順当な配置だと思う。
そしてしばらく向こうの領主の元へ移動していると、一緒に乗っていたあのときの兄ちゃん冒険者が声をかけてきた。
「今回集まった冒険者は40人ほど、そのほとんどがこの国や町を拠点としている冒険者だ。いくら報酬がいいとはいえ、ワイバーンの群れが出るかもしれない依頼につっこむような命知らずは俺たちだけかと思ってたよ。君たちには感謝している」
「僕たちにも目的があってのことさ、そんな畏まらなくてもいいですよ」
「そうだよっ! それにワイバーンくらいじゃボクたちは負けないよっ、これでも結構すごいんだ」
「あの下級竜種ごときにこの私が遅れをとるはずがありませんわっ、見くびらないで欲しいですわね」
兄ちゃん冒険者は俺たちのことを心配しているようだったが、みんなが言っている通りそれは杞憂ってやつだな。
そもそもワイバーンの討伐推奨ランクはC上位~B下位くらいだ、ハッキリいってこの人数と俺たちのパーティ合わせて負ける道理はない。
たとえ相手側に小国の騎士が参入していたとしても、こちらには奥の手なんて山ほどあるからな。
一網打尽まったなしだ。
というか、そんなことより俺ははやく空島にいきたい。
こんな騒動はとっとと終わらせたいのが本音だ。
そして昼前に出発してしばらく、夕方に差し掛かろうとしていた頃、伏兵と思われる隠ぺいの魔道具かなんかをつけた集団が隠れている地帯をみつけた。
ワイバーンの姿はまだ見えないが、おそらく遠くからこちらを認識していそうだな。
さっそくひと暴れしてきますかね。
「先頭の馬車と領主の馬車に知らせてくれっ! ここから先を囲むように伏兵が隠れている! おそらく魔道具かなにかで隠ぺい済みの状態だっ!」
「「なにっ!?」」
よし、少し驚いたようだが兄さん冒険者たちが急いで報告をしに行った。
俺たちを信用してのことだろう。
じゃあ、こちらも戦闘モードといこう。
「フィッテ、エレン、ヴァニエは後方の警戒をしててくれ。おそらくワイバーンがまだどこかから来ると思うから、その対処を頼む」
「ああ、まかせてくれ」
「任せないさいですわっ!」
「ゼノンくんはどうするの?」
フィッテが俺と前方に行きたそうにしているが、前方の騎士よりワイバーンの奇襲のほうが恐ろしいので待機していてもらう方がいい。
「俺は単独で前方を蹴散らしてくる。正直いってワイバーンの奇襲のほうが怖いから、みんなには残っててもらいたいんだよね」
「わかったよ、まかされたっ! えへへ」
あぁ~、やっぱりこの子はオアシスや。
そうして俺は前方へと駆け出して行った。




