04 言語理解による0歳児の魔法学
魔法習得回です。
─起きた。
さて、言語理解Lv.2により周りの言っていることが多少理解できるようになった俺だが、結局会話はできてない。
俺が喋れないのだ。
ま、当たり前だけどな、生まれたばかりだし。
まだ筋肉が発達していないのか、発音する方法を分かっていても体がついてこないのだ。
だがまぁモーマンタイだ、この時点でペラペラ話してても何かとトラブルになりそうだしな。
最悪のケースとして、悪魔の子よ!なんてことになったら詰みだ、せめて2歳までは慎重にいかねばなるまい。
では結局なんで言語理解なんてスキルを取ったのかといえば、それは本を読むためだ。
全て推測だが、現在期待できている条件としてこの家は貴族であるということ、貴族であれば本があるだろうしここは剣と魔法のファンタジーだ、であれば…もちろん魔法書などもあるだろう。
俺がいま居る部屋を抜け出し、うまく書斎などに入り込めれば0歳から魔法を学び他者への圧倒的なアドバンテージを得ることが可能だと考えたわけだ。
次に、俺の魔力量がその魔法訓練に耐えられるだけの基盤が整っていたということ。
これが0歳として自然だと思われる魔力1の状態であれば、こんな事をしても物の役には立たないだろう。
自然に言語理解を習得し、ポイントで魔力量増加系統のスキルを習得したほうがまだマシなはず。
以上の事から、俺が現在もつアドバンテージを生かすために言語理解からの魔法書チートを企んでいたわけだ。
だが、その書斎にいくまでの道のりがどうにも険しそうだ。
なぜなら俺は0歳。
運よく赤ん坊用のベッドでは無いようで普通のベッドも落ちるから危ないという理由から、段差の低い所に布団を敷いてくれていた事で部屋を抜け出す条件は整っていた。
しかし、抜け出した後が問題だった。
やはりというべきか、部屋の扉の傍にはメイドさんが常駐しており、とてもじゃないが隠れて抜け出せそうな雰囲気ではなかった。
ちなみにメイドさんは銀髪クール系のツリ眼美女だ、メガネがきっと似合うだろう。
目は良さそうだが。
そんなわけでイチャラブ両親の抱っこ責めとメイドさんの完全監視態勢により、俺はの計画は実行に移すことができずにいた。
しかし、チャンスは夜に訪れた。
「(ばぁ~~、ぶぅ~~……)」
「スゥ、スゥ……」
……よし!完全に寝ている!!
……現状を説明しよう。
結局、夜まで待ったが抜けた出すチャンスは訪れなかった。
だが、メイドさんによほどの信頼を寄せているのか、イチャラブ両親は別室で寝ており、メイドさんは扉をあけたまま部屋の通常ベッドでおやすみ中だったのだ。
扉に違和感を覚えるかもしれないが、別にこの家に対して害意をもっている者がいるわけでもなく気温も暑いくらいであったため、閉める意味がなかった。
むしろ閉めたら暑い。
よって俺の書斎チート計画がこの時をもって幕を開ける。
家の中、いや、屋敷だな。
屋敷の中を縦横無尽に駆け巡り超スローハイハイで書斎を探していた。
レベルが1である恩恵なのか、まだ生まれてまもないというのに前世での赤ん坊のスペックを大幅に凌駕していた。おそらく肉体スペック(Lv.0)+レベル補正なのだろうと推測する。
そんなこんなで書斎を発見した……。
やはりというべきか、書斎の本には手が届かない部分が多く、転がっている本とか一番下の段からしか読める本はなさそうだった。
まぁ、これは仕方がない、物理的にね。
では転がっている本はということで漁ってみると、政治・歴史・数学(前世での算数くらい)の本が中心で、魔法に関する本はほんとうに僅かだった。
一応、使い古された基礎魔法学のような本と、なんらかの魔法言語辞典が見つかった。
まずは基礎魔法学から見てみることにする。
【基礎魔法学論 属性編】
─はじめに
─魔力とは
─……
…
.
─属性とは
…etc
通してみた感じで、要約するとこんな感じであった。
順を追って説明すると、「はじめに、この本は魔法とは何かを解説する本であり、習得を目的とした内容ではない事を記する」というこだった。
まあ、俺はいざとなれば強制的に魔法は覚えられるので知っておいて損はないだろう。
そして、魔力とは世界中に存在するエネルギー、魔素を体内に取り込み、指向性をもったエネルギーに変換したもののことを指すらしい。
ようするに、魔力になってようやく「属性」がついたエネルギーになるという事だ。
属性とはそれ単体意味を持ち、現在確認されている属性は【火・水・風・土・雷・光・闇・無】だけで、人によって使える属性とその属性数がことなるとかなんとか。
そして次の【魔法言語辞典】だが、ここで思わぬ事が発覚した。
言語理解Lv.2だが。「魔法言語」もそのまんま理解できてしまったのだ。
言語理解の「言語」に相当する範囲広すぎだろぉ……。
なのでまず全属性を試してみることにした。
まずは火だ、最初に火を使わないのは日本人ではない。
たとえその危険性を理解していてもだ、それこそがロマンであr(略)。
「あいぁ…(ファイア…)」
ボッ……。
(……うおぉおお!?マジで使えてるじゃん!)
そこには小さいマッチ棒ような火種がゆらゆらと揺らめいていた。
(こいつはスゲェ……。で、これでどうやって止めるんだ?)
と思ったら火は消えた。
どうやら魔法言語は一定の威力で一定の時間発動するようだ。
これで調子にのった俺は、結局全属性を試したあと、全属性が使えることが発覚したのだった。
完全にチートだな。
そしてふと思った「詠唱なしでもイケるんじゃないか?」と。
実は魔法言語で魔法を使っている間、ずっと魔力の流れを感じていたのである。
これを意識的に再現できれば、魔法言語を使わずとも魔法の発動はできるのではないかと思ったわけだ。
結果、できました。
いや、あっさりできたみたいにいってるけど、ちゃうで。
何十回と失敗したうえで、1時間くらいかけてようやく成功したんや。
まぁできたときは嬉しくて床を転がりまわったけどな!
そんなこんなで魔法の習得をした俺は、脱走に関する安全マージンをとるため早めに寝室にもどるのであった。
04話終了後のステータス
【名前】ゼノン・クロスハート
【種族】人族
【Lv】1
【ステータス】
魔力量:20002
筋力:1
耐久:1
持久:1
敏捷:1
賢さ:801
精神:39203
【スキル】
(ノーマル)
アクティブ:
元素魔法(火:Lv.1/水:Lv.1/風:Lv.1/土:Lv.1/雷:Lv.1/光:Lv.1/闇:Lv.1/無Lv.1)
パッシブ:
無詠唱Lv.1
魔力感知Lv.1
魔力操作Lv.1
言語理解Lv.2
(ユニーク)
アクティブ:
ステータス振り分け
パッシブ:
不死身の情熱
地球の創造神の加護