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閑話 召喚された者達①

勇者召喚がはじまりました。

黒龍ギラの話から半年前になります。


少しムナクソ展開なので、めんどくさい方は勇者が召喚されたことだけ覚えてれば問題はないです。


ゼノンが転生する前、ちょうど体を張って殺人鬼と相対している頃。

日本のとある路地裏にて、夜のバイトを終え帰宅中の高校生が居た。


「あーぁ、時給のいいバイトだから期待したのに、これじゃ原付も買えないじゃないかよ。外に関してなんかしら切っ掛けがあれば、俺も根暗ヲタクなんて言われずに済むかもしれないってのに」


彼の名は[羽藤はどう ぎょく]根っからのインドア派であり、かつヲタクであった。


高校のクラスメイトからはヲタクと根暗のレッテルをはられ、少しでもアウトドアになれれば自分は認められると思っているのだ。

原付を買っても乗るかどうかは分からないが。


そのとき、誰かが彼にぶつかってきた。


「まぁ、仕方ない。この金は明日発売の魔法聖女プミリーのDVD代にするか。原付なんてやめだや「そこをどけ!」め、うあっ!」


盛大に衝突した。


「勇ちゃん大丈夫!? あの殺人鬼まだ追ってきているかもしれないよっ! どうしよう!」

「大丈夫だ凛。そこの君! 今急いでいるんだ、すまない。ん? お前、羽藤か?」

「うっ。あ、あぁそうだよ勇さん、偶然だね。こちらこそごめん、ハハハ……」


彼らは同じ高校のクラスメイトであり、知り合いだった。

主に彼ら4人が狩る側で、羽藤が狩られる側でではあるが。


「おい勇、羽藤を囮にしようぜっ! そうすれば逃げ切れるかもしれねぇ!」

「そうだよ勇くん! こいつならちょうどいいって!」

「……うん、そうだね。こういうときの犠牲は少しでも抑えないと。僕たち全員が死ぬか一人が死ぬかでは考えるまでもない。羽藤、すまない! 君のことは忘れないっ!」


彼らは羽藤を囮にして逃げようとするが、その口実は完全に加害者の物であった。

忘れないとは言っていても、数日後には自分がそう言ったことすら忘れているだろう。


「は? え? どういうこと? って、なんだ!? 地面が!」


彼らが逃げようとするやいなや、突如として地面が光出した。

光る地面は彼らを縫い付け、動こうとしても一歩も前へ進めない。


明らかに異常事態だった。


「なんなんだよ急に! おい勇! このままじゃ追い付かれるぞ! あの突然現れたオッサンだっていつまでも持たねえ!」

「知ってる! くそ! こんなときに……」

「勇ちゃん!」


瞬間、全員の視界が真っ白に染まり、その場から消え去った。



「……えますか? ……きこえますか?」

「……ん? え、誰!?」

「気づかれたのですね! ……よかった! みなさん、勇者召喚の成功ですっ!!」

「「「ワァァァアアアアアアア!」」」


羽藤が目覚めた時、そこには豪華絢爛な王城と思われる大部屋と、数多に並ぶ人たちの姿、まだ気絶しているクラスメイト4人の姿があった。


「くっ、ここは?」

「……ん。あれ? さっきまで裏路地にいたはずだよね、勇ちゃん」

「勇さん、これはいったい」

「いちちち、頭討った。なんだここ?」


数秒後、彼ら4人も目覚め王城はさらに騒然となった。


召喚された勇者は5人、まさに歴史上最大の人数である。

喜ばない者などいるはずもなかった。

その将来における反動を知る者以外は。


「静かにしろ貴族ども、聖女マリー、ここは俺が取りまとめる。召喚の件ごくろうだった」

「……わかりました、ですがここを離れるつもりはありませんので。最後まで責任は持ちます」

「好きにしろ。さて、お前たち。ここがどこだかは分からないだろうが、ここはお前たちからみれば異世界だ。異世界にある人間の国、カーデリオン王国ってことになるな」


(……異世界!? ってことは俺は召喚されたのか! だが、いくら力が付与された可能性があるといっても急に調子にのるのは禁物だ。こういう話には裏があるか、もしくは自分のチートがどこまでも通用するとは限らないケースがある)


羽藤は知っていた、ヲタクと呼ばれるだけあっていくつもの異世界小説を読んできたのだ。

当然召喚されればチートが付与されるのは、彼の常識となっていた。


……しかし、羽藤はそれ故に冷静だった。


「急に失礼します、僕の名は[大谷 勇]ユウと呼んでください。異世界といいましたが、僕たちは何かの目的があって召喚され、それを実行しなければならないと言う事ですか?」

「そうだ。こちらとしては頼みづらいことなんだがな、この世界に魔王が誕生した。魔王といっても分からないだろうが、とんでもない悪の親玉とだけ認識してもらえればいい」


一息ついたあと、王は続ける。


「それで、そんな悪の親玉はとてつもない力を持っていてな、正直、強靭な人間が束になっても勝てるかは怪しい。しかもそんな親玉が組織だって動いているって訳だ、手に負えん。だからこそこうやって勇者召喚を執り行い、お前らにはその討伐を頼むという訳だ。おそらく、そのための力は既に付与されているはず」


王として冷静であるようで、ギルバートは苦虫を噛む思いだった。

いくら力があるとはいえ、まだ年若い少年たちを戦場にかりだすなど王として不甲斐なかったのだ。

魔王に通用する最強の手だからといっても、相手はこの世界の住人ですらないのだから。


「魔王はわかります、僕たちの世界にもそういう話はありましたから。ぜひ、その討伐をさせてください。それが僕たち力を持つ者の義務だと思います」

「「「なんと!?」」」

「……まぁ(……ッポ)」


その場はまた騒然となった、異世界から来た者達は魔王の情報を得ていただけでなく、その討伐まで積極的だったのだから。

王国の聖女など、すでに顔を朱に染めていた。


(あいつ何バカなこといってるんだ!? ここで、はいそうですか。なんて鵜呑みにしたらなんの情報も引き出せないじゃないか。まして俺はやるなんていっていない、勝手に俺が承諾したことにしてるんじゃないぞ)


「そうか、それは頼もしいな。それではお前らの鑑定を行うとしよう。どんな力も何があるか理解しなければ意味をなさないからな。……教会の鑑定機での測定では無理があるだろから、聖女マリーに鑑定してもらえ。牢から出たとはいえ、また以前のような勘違いはするなよ」

「えぇ、承知しております」


王国の聖女は一時期牢屋へ幽閉されいた、もちろんゼノンの件がバレたのだ。

しかし召喚するにあたって、この国の聖女の鑑定が一番精度が高いことと反省の件もあり釈放されていた。


そして鑑定結果が出た。


【名前】大谷(オオタニ) (ユウ)

【種族】人間

【Lv】1


【ステータス】

魔力量:1000

筋力:30

耐久:30

持久:30

敏捷:30

賢さ:800

精神:1200


【スキル】


(ユニーク)


聖なる輝き(女神の加護)

└闇を除く全属性の魔力を身に纏い、最高効率の武器の強化・自身の強化が可能。また纏っている属性魔法が使えるようになる。



【名前】(ハヤシ) (リン)

【種族】人間

【Lv】1


【ステータス】

魔力量:1100

筋力:10

耐久:20

持久:30

敏捷:30

賢さ:1200

精神:1000


【スキル】


(ユニーク)


魔法王の理解(女神の加護)

└全属性の魔法が使用可能。またスキルレベルが上昇しやすく威力が若干あがる。



【名前】美代(みしろ) 刹那(せつな)

【種族】人間

【Lv】1


【ステータス】

魔力量:800

筋力:30

耐久:20

持久:40

敏捷:40

賢さ:800

精神:800


【スキル】


(ユニーク)


光の道しるべ(女神の加護)

└光属性の弓矢を作成可能。また、弓術関連のスキルレベル上昇速度が大きく上昇。飛距離が極端に伸びる。



【名前】近藤こんどう) げん)

【種族】人間

【Lv】1


【ステータス】

魔力量:750

筋力:50

耐久:50

持久:30

敏捷:30

賢さ:700

精神:800


【スキル】


(ユニーク)


剣王モード(女神の加護)

└剣術関連のスキルレベル上昇速度が極端に上昇。また、打たれ強くなる。


【名前】羽藤はどう) ぎょく)

【種族】人間

【Lv】1


【ステータス】

魔力量:800

筋力:10

耐久:10

持久:10

敏捷:10

賢さ:800

精神:800


【スキル】


(ユニーク)


巻き込まれたもの(女神の加護)

└???


???(???)

└???


(おいおいおい! なんだこのゴミステータスは!スキルもなんにもわからないじゃないか……)


「ハハッ見ろよ羽藤のステータス!」

「ククッ。近藤、今はそれどころじゃないだろ」


場は騒然とした、本来召喚でステータスの強化が行われる勇者ではあるが、羽藤のステータスがあまりにも貧弱だったのだ。

王国の聖女の眼もユウにばかり向けられており、羽藤は相手にされていなかった。


「よしっ! 全員の鑑定が終わったな、おまえらはこれから王都で訓練を積んでもらう。いくら勇者とはいってもレベル1では何にもならないからな、全員そのつもりでいろ。各自に個室は割り当ててある」


そうしてその日は解散した。

既に魔族が潜り込んでいるとも知らずに……。


これがおよそ半年前、ゼノンが匿われていた頃である。

閑話が続きます。

次で巻き込まれが強くなります。

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