03 とりあえず最強になっか!
本編突入です!
その日の夜、王国のとある公爵家に黒髪黒目の赤ん坊が産まれた。
王国を支える4大公爵家の中でも、武官として突出した戦力を持つ特殊な家系だ。
しかし過去の記録をたどっても、黒髪黒目の赤ん坊が生まれたなどという事例はなく、数百年前に魔王を討伐した伝説の勇者がそうであった記録を、僅かに知るものが居る程度であったのだとか。
……だが、その誕生を祝福するように、夜空には闇を照らすほどに輝く流れ星が、とめどなく降りそそいでいたという。
──────
目の前に巨人がいた。
……なるほど。
どうやら無事に転生出来たみたいだな。
内心は心臓ばくばくだし、見た瞬間にビビってちょっと泣いちまったけどな!
何はともあれ、目の前の美男美女がイチャイチャしながら俺の世話を甲斐甲斐しくしているあたり、この二人が今生の俺の親なのだろう。
何を言ってっか全然分からんがな!
「××××××!!」
「○○○○○○!」
うん、わかんね。
でも嬉しそうでなによりだ。
とりあえず言葉は現状どうしようも無いので、俺は神様から貰った3つのユニークスキルを確認する事にした。
【名前】ゼノン・クロスハート
【種族】人族
【Lv】1
【ステータス】
魔力量:20002
筋力:1
耐久:1
持久:1
敏捷:1
賢さ:801
精神:39203
【スキル】
(ノーマル)
アクティブ:
パッシブ:
(ユニーク)
アクティブ:
ステータス振り分け
パッシブ:
不死身の情熱
地球の創造神の加護
爺さんに説明して貰ったとき、念じればユニークスキルの加護で確認ができると言っていたが、なるほどこれは便利だな。
この世界で俺だけが持つアドバンテージのひとつだろう。
確認して分かったが、俺の名はゼノン・クロスハートと言うらしい。
ゼノンが名前っぽいな、たぶん。
まぁどちらにせよどっちかが家名だろう、それに家名があるということは貴族か?
ここら辺はあとででも確認できるが、この御大層なイケメンネームから察するに恐らく貴族だろう。
階級までは不明だけどな。
種族は普通だ、前世で言うところの人間だな。
いちいち種族欄が儲けられているということは、まず間違いなくエルフやドワーフなどがいるだろうな。いて欲しい……。
レベルは産まれたから1なのだろう、上昇比率がずいぶん低く見えるが、0→1、1→2、……etcが同じ上昇率とは限らない、これは保留だな。
結局たいしたことは把握できなかったが、当初の目的であるスキルに目を向けてみた。
まず【ステータス振り分け】についてだ、このスキルは自分のレベルが上昇するときの与えられる隠しボーナスと、魔物を倒したときに得られる魔素をポイントに還元して記載されている任意のスキルと交換できるらしい。
これは使いようによっては無限の可能性を秘めたスキルだな。
任意ということは、本来は覚える条件が困難なスキルを「組み合わせて」シナジーさせることができる。
成長に縛りが無いということだ、……と、思うよ。
使ってないし分からないけどな。
次に【不死身の情熱】だが、こいつの効果は単純明快だった、魔力量・スタミナ・肉体損傷の回復速度を極限まで高めたものらしい。
欠損部位も時間をかければ自然治癒可能らしい。
倍率は100倍、効果がキチってるな……。
最後に【地球の創造神の加護】だが、こいつは広く浅くといったスキルだったようだ。自身のステータス完全把握能力と、呪いや魅了・石化・虚弱といったマイナスエネルギーへの完全耐性、毒と麻痺は別らしい。
さらにおまけでレベル上昇に対する基礎能力への成長補正がかかっている。
以上だが、なんだかオラわくわくしてきたぞぉ……。
前世で苦しんだマイナスエネルギーへの耐性は本当にありがたいな、今生では悔いの無いように生きよう。
とはいっても、力がなければやはりどうにもなら無い不幸もあるだろう、となればやることはひとつだ。
俺がオレであるために、とりあえず「最強」になっか!だな。
うむ、ひとまずの漠然とした目標じゃ定まった。
して次にどうするかだが、やはりポイントは現在のレベルが「1」であることだろう。
どういうことかというと、爺さんと話していた時は「0」だったのだ、要するにステ振りのボーナスポイントが貯まっているはずなのだ。
確認してみると、やはりボーナスポイントが貯まっていた。
【ステータス振り分け】
ポイント:10
購入可能スキル:
<生活スキル><強化スキル><技能スキル><魔法スキル><特殊スキル><????(閲覧不可)>
思った以上にカテゴリーが多彩で慣れないと眩暈がしそうだ。
とりあえず俺は、現状最も必要だと思われるスキルを習得する事にした。
<生活スキル>
└言語理解Lv.1/10
これかな、俺が選ぶとしたら。
試したところ、選ぶスキルはどのカテゴリーから選んでも現状では消費ポイントは変わらなかったようだ。
また、スキルはLv.10まであることが分かり、Lv.1で2ポイント、Lv.2で4ポイント、Lv.3で6ポイントが必要だった。
Lv.3にしようとしたとき2ポイント足りませんと出たのでそういうことだろう。
言語理解Lv.2までを取得し、今日は親の会話を聞けるようになったことに満足し、明日からはポイントを使わずに成長できる方法を試そうと思うのだった。