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35 別に魔族が人型である必要はないらしい

闘技場で無双を目指す主人公

王都ゲイム到着から3日ほど経った。


1日目はとりあえずハンターギルドへの登録を済ませた。

ハンターギルドのランクは10から1まであるらしい、1が最高ランクだ。

もう一つ違ったのは、冒険者ギルドのときのような試験とかはなかった事だな。

ただ魔銀貨のかわりに魔石を提出して終わりだ。


ここらへんは魔族と人間の考え方の違いだと思う。

冒険者ギルドも自己責任の塊とはいえ、一応テストで基準を設け安全マージンを取る。

だがハンターギルドの場合となると完全な「結果主義」だ、どんな奴でも最初はランク10、成果をだせば報酬が出る…それ以上でもそれ以下でもないといった感じだ。

冒険者ギルドなら、失敗してもまともな理由があれば多少は話を聞いてもらえるが、ハンターギルドにそんなものは無いらしい。


ようするに俺たち全員ランク10って事だ。

その後は宿にとまって寝た。


2日目、俺は闘技場の情報収集をした、エレンはハンターギルドの依頼で資金調達、ヴァニエはお昼寝だ…お昼寝につっこんではいけない。


どうやら闘技場はモンスターや戦闘奴隷、闘技場参加者同士の決闘方式で行われるらしい。

1vs多数の試合なんかもたまにあるらしいが、そういうのは闘技場のめずらしいイベントとして闘技場の主催者が決めているようだ。


そして肝心の景品についてだが、闘技場での勝利ポイントと交換してもらえるらしく、勝利ポイントはハンターギルドの依頼達成ポイントにも変換できるようだ。


景品には【ポーション類】【ドーピング類】【装備類】【金銭類】【称号類】などがあった。

ただ【称号類】は特殊で、ポイントではなく闘技場ですごい奴に勝ったらなんかしら貰えるらしい。

あと、ハンターギルド上位ランカーか闘技場の高ランク称号所持者になると、人間の大陸への進軍依頼が発生するらしい。

当然、教国に向かう訳だ。

俺はそれに便乗して戻ろうかと考え中だ、エレンも賛成した。


ちなみに参加料は一律魔銀貨1枚(Dランク魔石20個)だった…そろそろ魔石も心許ないのでエレン待ちになる。


3日目、とりあえず闘技場に余裕をもって参加していくために、寝ているヴァニエをひっぺ返しエレンを連れて依頼をこなした。

王都ゲイム周辺のモンスターはCランク中位まであがっており、エレン一人では効率が悪すぎたからだ。


そしてその日は依頼をこなしただけだ。

しただけだが、しすぎたようだ。


俺たちはランク7まであがり、注目の的となった。

だって一匹ずつ狩るのめんどくさいし!

しょうがないし!圧力魔法チートで一網打尽だし!


……まぁ、うん。


どうせ闘技場で目立つしな、早めに対策しとこう。

ヴァニエのおかげで、俺たちを人間か疑うやつはいなかった。


最後にヴァニエが役に立った。



以上がこの3日だ。


そして翌日、現在闘技場へ向けて進軍中ってところだ。


「よし、とりあえず拠点での活動資金は稼いだ、あとは闘技場でバンバン試合するだけだな」

「正直、あの依頼以外に戻る手段がないからね。全員が高ランクになるのが現実的さ……」


エレンと話したが、ただの船に乗ろうものなら教国の賢者に沈められて終わりだ。

それならいっそ、魔族軍に便乗していったほうが現実的だと結論が出た。


「人間の国はどんな所なのかしら。きっと杖の一振りで海を割る大賢者や、素手でランク3モンスターを倒す猛者がごまんといるはずですわっ!」


ヴァニエが俺のダウンロードした伝説の種族一般常識に華を咲かせていた。

すまんヴァニエ、それ全部ウソだわ。

ちなみにランク3モンスターとはケロベロスである。


どうやらヴァニエは本気で人間の大陸までいくつもりらしく、闘技場にも積極的だ…。

ちなみに王都へ着く前にヴァニエを鑑定したところ、やはりというか当然というか…脳筋公爵に相応しい遺伝スキルがあった。


それがこちら……。


(エクストラ)

─遺伝スキル【フルパワー:Lv.8】


レベル高すぎやろ。

いや、わかるけどな、この子いつもフルパワーだったし。


効果は魔法スキルが完全に使えなくなる代わりに、筋力・持久・敏捷を爆発的に上昇させるらしい。

……まさに脳筋専用のスキルだった。


ちなみに無属性魔法も使えない、身体強化ができないのはデメリットになるが、上昇量がフルパワーすぎて何の問題にもならない。

まあこれアクティブだから、魔法使いたければエクストラスキルを使用してなければいいだけだ。

そしてそもそも、ヴァニエは他に魔法スキルを覚えていなかった…きっとエクストラのみで過ごしてきたんだろう。


闘技場に参加するにあたって、俺たちの戦力を一度把握しておく。


エレン Lv.27 C級上位

ヴァニエ Lv.20 C級中位

俺 Lv.30 A級下位(オーバードライブ使用時は限定的にA級上位)


となっている。

上級魔族は周囲の魔素(マナ)を吸収して自動でレベルがあがるので、レベルだけ高い。

ちなみに魔神モードの俺のランクはわからない、S級には出会ったことないしな。


さて、準備が整ったところで闘技場の受付をしよう。


「すみませーん、選手登録お願いしまーす」

「ヶヶヶ、また無謀なやつがきたか。これだから魔族はやめられねぇ、登録は無料だが出場には魔銀貨1枚かかるぜ、わかったなら子供はかえんな。……ヶヶヶ」


言動と見た目は変な薬を捌いてそうな人だが、めっちゃ優しいなこの人。


「銀貨ならもってるって、はいこれ」

「……ヶヶヶ。お前たちの試合は30分後だ、今回は奴隷の剣闘士が相手となる。降参するか戦闘不能になるか、死んだら負けだ。危なくなったら降参しな、ヶヶヶ」


あ、うん。

やっぱりこの人親切だわ、俺たちに気をつかってるぞ。


そうして親切な人に見送られ、30分が経過した。


「やーっと出番か、1番手は俺みたいだしいってくるわ」

「我が家臣の力をみせつけてやりなさいっ! 負けたら減給ですわっ」


いや、給料もらってないし、家臣じゃないよ。


「はは、まぁがんばりなよゼノン」


俺は2人に見送られ闘技場に立った。


……そしてそこには、槍を持ったタコがいた。


「おい!モンスターじゃねぇか!」

「モンスターではないっ!」


絶対うそやん。

タコだけどしゃべるし、魔族です。


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