24 特殊スキル
主人公のソロモードが発動します。
─俺は迷宮の2層に来ていた。
夜だというのに迷宮の中は相変わらずだ、昼間のように明るい。
俺のレベルは2つあがり17、フィッテとエレンは3つあがりそれぞれ15と14だ。
ミーシャだけはレベル差があって上昇率が激しい、5つあがって8レベルだ。
やはり迷宮はレベル上げの宝庫だな。
まあ普通の冒険者があんな大量に釣ったら即死だけどね。
じゃあさっそく、ここで俺の取得したスキルを紹介しておこう。
ちなみに、能力はいつも通り平均+6が2回あっただけだ。
<特殊スキル>
└オーバードライブ(120P消費、残り10P)
レベルもないくせにバカ高い買い物だ。
効果は魔力とスタミナをコストした、基礎能力の極限的な強化だ。
身体強化と違うのは、持久が低下するが筋力・耐久・敏捷・精神・賢さの上昇効果が見込めるということだろう。
身体強化は筋力と敏捷しか上がらない。
あと上昇率が違う。
しかも発動したら最後、消費コストに対して調整が効かないらしい。
説明ではそこまでしかわからなかったが、実際どの程度のスキルなのか試してみたくてしょうがなかったのだ。
さっそく2層にいるモンスターに試してやる。
わたあめはダメだ、あいつは魔法系のモンスターだから属性への耐性は高いが耐久がない。
別のモンスターを探す。
2時間くらいウロウロしていると、平原地帯の終わりまで来てしまった。
遭遇したモンスターはカラフルモンスターばかりで、ロクに試せそうになかったから逃げ回ってたんだよ……。
終わりっていっても岩肌で行き止まりになっているだけで、3層への連絡口ではないようだ。
いわゆる隠し部屋みたいな所らしい、岩の洞穴部屋みたいになっている。
2層への連絡口は扉式だったからな。
扉をあけたら空間が変わってるんだ、ドコデモ◯アかよ。
洞穴に入ると階段があり、降りたら誰かの研究資料みたいなのが散乱していた。
ん?
隠し部屋にしては人間味があるな。
と、疑問に思っていると魔力感知に反応があった。
「ゲームのイベントみたいなノリだな。迷宮っていったいなんなんだろうな」
振り向いた俺の先にいたのは、培養カプセルのようなところからでてきた悪魔みたいなヤツだった。
いや、実際あくまかは知らないが…頭が羊で体が人間なんだよね、典型的なヤツ。
「何だお前は。まだ人間が来ない程度の結界は機能しているはずなんだがな、それにお前のうまそうな魔力、かつての勇者を思い出す。しばらく眠っていた間に人間はずいぶんとご馳走になったものだ」
やっぱ悪魔だった。
悪魔には嫌なイメージしかないんだよなあ。
「で、あんたはなんなんだ?…悪魔だとは思うが、こんなとこに居る意味がわからない。あと俺も黙って食われる訳にはいかないんでね、抵抗はさせてもらうよ。まぁ、負ける気はないけどね」
雑談の目的は鑑定の時間稼ぎだ。
あいつの名前とスキルは隠ぺいかなんかで弾かれていたが、レベルと基礎能力への鑑定は通った。
レベルは30と高めだが、スキル次第だな。
能力は若干しか差がない、爺さんの加護ヤベェ……。
とりあえず半殺しにできたら色々聞いてみるか。
「愚かな、人間が舐めた口を聞くようになったものだ」
魔力を震わせているようだ。
おろ、怒っちゃった?
短気はよくないよ短気は。
悪魔は手から爪を伸ばして切りつけてくるが、俺をただの子供だと思っているのか身体強化すら使っていない。
……舐めてんのはどっちだ、俺は迷宮の1層から発動中だぞ。
軽く回避した俺は羊悪魔の腹部にカウンターフックを決めた。
「ぐぬぉおっ! ……ゴフッ、ゴハァッ!! き、貴様ただの人間では、な「まだまだいくよ」い……?」
ぶつけ本番だが、さっそくオーバードライブを使ってみるか。
いい堅さの敵も目の前にいるしな。
使った瞬間、俺の視界が真っ赤に染まった。
うおぅ!なんだこれ!ガリガリエネルギーが消費されてるぞ!
だが、周りは時間が止まったように見えるほど緩やかな動きになっていた。
こりゃすごい……。
じゃ、いままでの恨みも込めてぶっとばしてやるか…地球の悪魔ではないけどね。
「っらぁ! 爆裂拳・改!」
もちろんそんな技はない、適当だ。
名前を言うと気合い入るんだよ。
俺の拳は悪魔の全身に打ち付けられた、空気の破裂音が遅れてやってきている…すごいなこれ。
しばらくして、オーバードライブの効果を切り攻撃を止めた時には、悪魔の変死体が転がっていた。
「……えぇぇ」
オーバードライブ、マジかお前。
予想以上に特殊スキルの効果が高すぎたようだ。
魔力もこの短い時間で数百も減っている。
ユニークスキルがあってこれか、切り札が増えてしまったが、こいつは普通に使っていこうと思う。
「せっかくだし資料でもみとこっと」
俺の言語理解も3歳のときよりは成長している。
ま、読めるだろ。
俺は部屋内を漁っていくのだった。
悪魔を倒してまたレベルあがってます。




