23 魔法職だし近接職でもある
このパーティ回復役がいないんじゃ!?
迷宮内部に入ってきた…
現在の戦力を確認しよう。
フィッテ Lv.12
装備:鉄の棍・革の胸当て
主なスキル:棍術(3)・身体強化(無魔法3)・ウィンドアクセル(風魔法2)・ウィンドカッター(風魔法2)・精霊さんの声(???)
エレン Lv.11
装備:体のわりにはでかい剣・かっこいいミスリルの鎧
主なスキル:光騎士(2)・剣術(4)・体術(2)
ミーシャ Lv.3
装備:豪華な毒ナイフ・豪華で軽い革鎧
主なスキル:体術(1)・短剣術(1)・バーサーク(1)
俺 Lv.15
装備:覇者のグローブ・革の胸当て
主なスキル:いつもどおり。なお、レベルはあがってないがロードのポイントが少しだけ入った。
ざっとこんな感じだ。
…うん、ゴブリンを相手にしてもしょうがないなこれ。
修行にならない。
やっぱり、さっさと1層は終わらせよう。
この迷宮は層ごとにモンスターが変わる、あとランクも上がる。
現在は14層まで攻略されており、まだ踏破されていない。
ただ、魔素の濃度的にあっても20階層だろうと予想されている。
ちなみにポイントはためている。
武器スキルは見送ったため、特殊系列で手に入れたいスキルがあるのだが、ポイントが結構するのであとちょっとだけためとく。
特殊系列スキルはぜんぶ高い、高価なだけあって絶大な威力だけどな。
まだ買う気はないが、魔力を視認できて少し吸いとれる【魔力眼】とか、魔法防御が1割落ちるが防御が2倍になる【鋼鉄化】とかとか。
めっちゃ強い。
あと特殊系列にレベルはない。
体質みたいなものらしい。
いまのやつらはポイント50だ。
高すぎィ。
エクストラは解放されてない、遺伝系列はこれより強いからな……
エレンの光騎士はレベル2で無魔法の身体強化レベル4くらいの出力がある。その他光属性の強化とオーラ付与だ。
はやくエクストラは取得しておきたいな。
鑑定も済んだところで、ゴブリンを蹴散らしていく。
もはやゴブ相手ではなんの足しにもならない、ミーシャはレベルアップしそうだけどね。
俺たちは無双を続けていきながら、道なりを覚えているエレンに2層を指示してもらう。
ミーシャは初心者なのにも関わらず、レベルで少し差があるゴブリンを堅実に倒していた。
「ついたよ、ここからが2層だね。ここから先に関しては僕もわかってないんだ、1層は調べ尽くしたけどね」
「まぁマッピングしながらでもまだ余裕があるな。気配的にはだけど」
1層は洞窟だったが、2層は平原だ。
……迷宮の構造が謎すぎる。
2層のモンスターの質はE程度が大半だ。
ゴブリンロードくらいのやつはそこまでいないだろう。
いてもボス級の扱いだろう。
フィッテもエレンも1vs1ならロードとタメをはれるので、危険はない。
問題はミーシャだが、俺らの数を考えれば余裕だろう。
平原系は周りを見渡せるので罠が極端に少ない、まだ2層ということもあって引っ掛かってもたいした罠はないけどね。
……そしてしばらく平原を闊歩していると、俺のまだ会っていないモンスターに出くわした。
見た目は羊のようだが、結構な群れのくせに1匹1匹の間隔が遠い、群れのようで群れじゃないのかもしれない。
しかもめっちゃカラフルだ。
あと甘い香りがする。
「なんだあいつ、わたあめかよ」
「ワたあ↑め……?」
「いや、なんでもない」
フィッテの発音がおかしい。
やっぱりこの世界にはそんなものはないっぽいね。
とりあえず俺は、迷宮に潜ってからは油断せず身体強化は常時かけている、このくらいなら魔力の消費量より回復量のが多いしな。
とりあえず見るからに属性魔法を使いそうな羊だったため、前衛が接近して囲まれないように魔法で釣ることにした。
こいつらはもうパーティメンバーだし、魔法を隠し通すのも無理だろうな。
仮メンバーとはいえ信頼してるし、ユニークと圧力魔法・鑑定・隠蔽以外は気にしないことにした。
どうせ迷宮で狩ればポイントでスキルが増えていくんだ、大事なカードだけ伏せとこう。
「とりあえず、俺が魔法で一匹釣ってみる」
「えっ?ゼノンは前衛じゃなかったのかい?」
「へっへ~。チッチッチ、まだまだ甘いねエレンくんは。ゼノンくんに不可能などないのだよ」
いや、あるだろ。
おま、その自信はどこからくるんだ。
おじいちゃんは君の将来が心配だよ……
「まぁ、俺の奥の手ってやつだ」
うそだけど。
「【ライトニング・ボルト】……」
バチィッ!
「クルルルルッ!」
おお、青いわたあめがビックリしたあと走ってきた、水属性の羊だな。
これならいままで使ってなかった元素魔法とかも修行できそうだ。
その後、エレンが盾となり向かってくる羊の魔法と突進を受け流し、ウィンド・アクセルで速度強化したフィッテの打撃とバーサーク化して攻撃力を上乗せしたミーシャの斬撃で安定して倒せた。
うーん、結構余裕で倒せるな、人数のせいもあるけどね。
俺とか釣ったあとはやることないし、2匹くらい釣るか。
俺は射程が長い雷系統と風系統を中心に、2匹ずつ釣っていくことにした。
おらおらおら!
俺のパトスがほとばしるぜ!
ようやく元素魔法解禁だからな、テンションがおかしいが気にしない。
結局、最初に平原で見えてた羊は昼までに狩り尽くしてしまった。
まあまた出現するんだけどね。
ふと仲間をみると、「なんやおまえ魔法職やったんか…?」みたいな顔をしていた。
いや、そこは特に気にしたこと無いんだけどね。
そうして、わたあめの魔石なんかを回収しつつレベルも何回かあがったので切り上げた。
まだ昼ちょい過ぎだったけど、魔石がもう持てないんや。
それに、俺たちの異常戦力のせいだろうが、レベルに対して経験値効率がやばい。
……夜とか抜け出してこっそりこようかな。
最後に教会のシスターちゃんの手腕で、メンバーのかすり傷を治療したあと各自解散となった。
魔石は売ったけど、数が多くて大きさと属性がバラだったため時間がかかるそうだ。
明日、現金受け取りってことらしい。
そしてその夜、俺はこっそり抜け出した。
取得したスキルを試したいわけだ。
おや、ゼノンのようすが。




