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22 パーティ結成のヨカン…

宿に戻りフィッテのオアシスを直視して叩き出された俺は、ほとぼりが冷めてから今日の出来事をフィッテとメイドさんに語っていた。


「まずそもそも、ピンキーラビットってのがまったく見つからなくてさ、探してたら昼になってたわけだよ。そんで今話しにでたイケメン君と遭遇したわけだ」

「ほぇ~、でもすごそうなスキルだったけど、結局はゼノンくんが勝ったんだよね?」

「ん~。途中で中止したから決着はお預けだけど、続けてたらそうなるな」

「えへへ」


なにが嬉しいのか、俺が勝ったと聞くとにやけ始めるフィッテ。

おま、メイドさん怖くないのか。

砂糖を吐きそうな顔で、目からハイライトを消してるぞ……。


「(ハァァァ)……坊っちゃま、僭越ながらその方とパーティを組まれるのが宜しいかと(ハァーッ)」


メイドさんがこの世界を憂うかのように、分かりやすくため息を見せつけてアドバイスしてきた。

くっ、異世界のみんなァ!

メイドさんに婚期を分けてくれぇっ!


あっ、すんませんメイドさん。

今の冗談です、睨まないで下さい。


「……うんっ、ボクもエレンくんって子に会ってみたいよ。迷宮の制限もなくなるんだしパーティは賛成っ」


フィッテは納得してくれたようだ。

じゃあ明日はギルドで待ち伏せだな、そのうち来るだろ。

ピンキーラビット、お前はまたこんどだ。

首を洗って待っていろ 。



翌日、ギルドのクエストボードの手前で待ち伏せしていたら、エレンがミーシャを連れてやってきた。

待っている間、昨日の騒ぎで有名になった俺はかなりの人から勧誘を受けたが、今日はエレンと組むことを伝えると納得してくれたようだ。


おや、エレンがフィッテにだれおま視線を向けている。

あっ、そうか紹介してなかったわ、唐突すぎたか。


「やぁゼノン、奇遇だね。両親にはもう許可はとっておいたよ。それで、えっと、君は?」

「……?」


フィッテはすでに紹介してもらっていると思っていたらしく、質問の内容がわかってない。


「あー、悪い。紹介してなかったな、隣にいるのはフィッテ。俺の故郷の幼なじみかな、たぶん」


……たぶんね。

だってまだ2年だし微妙なラインだ。


「へぇ、ゼノンのね。……期待していいってことかな」


エレンは実力が拮抗しそうな相手と見たようだ、顔がかなり嬉しそうである。


結局、その場はお互いの自己紹介をしておいた。

ミーシャは奴隷紋も解除されたらしく、正式にエレンの付き人になったようだ。


フィッテに関してはまだ迷宮の申請をしてないが、エレン曰く「あとから押し通しておく」らしい。

まぁ、パーティメンバーならどうとでもなるだろ。


その日は迷宮の一層行きで決まった。



迷宮に直行していると、昨日の少女シスターちゃんが猛ダッシュで接近してきた。

真っ赤な赤毛も相まって通常の3倍速に見える。


「はぁはぁ! そこの! 黒髪の! 方、アッ!」


バタンッ


「「「「………」」」」


……コケた。

いちいち強烈なシスターちゃんだ。

しかし、何事もなかったかのようにムクリと起き上がり、再度ダッシュで詰め寄ってきた。

連邦のシスターは化け物か。


「はぁっ、はぁっ。……ん、ゴホンッ。あの、昨日は申し訳ありませんでした。本当に、あなたのことを勝手に決めつけてしまい、わ、私は、ヒドイ事を。……ごめんなさい!」


あー、なんだその事か。

また昨日の魔王ごっこの続きかと思ったぜ。

まぁあれは決闘中じゃなければそこそこ楽しめそうなノリだったがな。


「あー、なんだ。その、時と場合ってやつだな。なかなか面白い発想ではあったと思うよ?」

「時と、……場合。(深いです、お姉さまもいっていた通り、絶対なんてないのですね。きっと許してくれた上で、その可能性もあったと言ってくれてるのね)……ですが、私に非はあるのは事実、この通り謝罪をさせていただきます、今後はこのような事は致しません」


シスターちゃんは何度も頷いていた。

きっと俺のアドバイスを元に、新しい遊びの考察をしているのだろう。

いい向上心だ。

間違いに素直なのもグッドだな。


「ムゥー、ゼノンくんはああいってるけど、ボクはあんまりいい気はしないな。……ウムゥ」


フィッテは俺のことを勇者だと思ってるからな、魔王ごっこが嫌いなんだろう。


「あの、私にできることがあれば仰ってください。今すぐでなければ、だいたいは教会にいますので」

「ははは、謝ってくれてたんだし、別にそこまでしなくてもいいと思うよ。ゼノンもそう思うだろ?」

「まぁな」

「ではせめて、怪我をしたときは誠心誠意治療させてください。……まだ見習いなのでお金は取れませんから」


シスターちゃん、いいこ過ぎやろ。

ただ遊びたがりなだけなんやな、おじさん涙腺ゆるいねん。

……うぅっ。


「わかった、じゃあ帰りにでも寄るよ。俺たちは迷宮に潜るから、夕方くらいになると思うけどね」


そういってシスターちゃんと別れた俺たちは、迷宮に潜っていった。

入り口に警備の衛兵とギルド関係者がいたけど、王子パワーで顔パスだった。


エレンおまえ、慣れ過ぎやろ。



シスターちゃんと盛大に食い違いました。

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